その28 リフォームの時間
ふう、何とか無事倒したぜ・・・魔力を半分以上使ってしまったがな。相変わらず物理超越は消費がすごいな。長期戦に持ち込まれたら負け確だろこれ。
クソ、しかもなんだったんだよあいつアブない単語連呼しやがって。ホモかよ。
・・・おっ、何か落としてるみたいだな。なんというか、オーブみたいなものか?ちょいと鑑定。
【漢尻の射手のオーブ】
【オーブは非常に強力な魔法用触媒として武器作成時に素材として重宝されており、また、オーブを用いて作成された武器はオーブを落とした魔物の性質を帯びる】
【このオーブの性質は漢尻特効:男性に背後から攻撃した時に、威力2倍】
名前はともかく、破格の性能だな。俺の鍛治の能力がもう少し成長したらこれを使って武器を作ったらなかなか面白い装備ができるかもな。まあ恐らく使い切りだろうから今は・・・エレメンタルスライムたちにでも持たせておくか。こいつら余分な物は体内に取り込んで運んでくれるからかなり便利なんだよな。
そうそう、ミノタウロスには使ってなかったけど今回の敵はミノタウロスに比べて圧倒的に強かったから今まで使ってこなかったアレを使おうと思う。
割と前に貰ったんだけど中々使う機会が無かったからな。転生法。
というわけで、ポン!
・・・おっ、俺があいつを消したあたりから光の玉のような物が発生してきた。この光の玉があいつの魂ってことだな。
そしてその光の玉が俺の方に向かってきて・・・一回止まって頷くような動きを見せた後、俺を迂回して俺の背後に回る?予想してた挙動とは微妙に違うな・・・。
途端、背筋に冷たいものが走る。ま、まさか!?
そこには、興奮したように激しく点滅しながら振動する魂があった。こいつは・・・死してなお男のケツを求めるというのか・・・敵ながら、天晴、ません。ふざけんなコラ。
直雷を何発かぶち込んで調子に乗らないようにしたらしぶしぶといった感じで俺の胸のところにすーっと溶け込むようにして消えていった。
無事転生は完了みたいだな。
転生させた存在については完全に支配下に置いたという事でそいつについての情報が結構詳しく見れるみたいだな。さっきのやつを見てみよう。
【ミスター・ハイサム】
【目をつけた男を公衆便所に連れ込みあんな事やこんな事をするのをイキがいとしていたが、遂には腸内出血による死者が発生してしまったため、騎士団に連行された】
【連行されている途中にも、少しでも目を離した隙に騎士団のメンバーが犠牲になってしまっていたので、魔王の支配域へ流刑となった】
【その後彼を見た者は居ないとされているが、噂によると彼は魔王に魂を売り、魔王軍の戦力になる代価として漢尻を受け取っているらしい】
【これまた噂であるが、魔王軍内では『男がミスター・ハイサムに目を付けられたら貞操はもう助からない』とまで言われていたらしい】
やっぱり、俺の貞操危機的状態にあったんだな〜。次会ったら問答無用で粒子まで分解してやろう。
じゃ、そろそろ行くか。
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さらに2日ほど経った。
この間の戦果はミノタウロスが数十だけだ。ミスター・ハイサムはあの後1人も出なかった。ボスキャラ扱いなのかな?
まあいいか。今までは代わり映えのない洞窟風景が続いてたんだが、やっと変化があった。何かの扉の前に着いたんだ。
高さは20メートル、幅は10メートルくらいはありそうな重厚な扉で、左の扉には口を閉じた龍が彫られていて、右の扉には口を開けた龍が彫られている。
ん〜。どっかで見たことあるような・・・。
あ、アレだ。口を閉じた龍が死を表現してて、口を開けた龍が生を表現してるんだ。左右の扉を合わせて生命の始まりから終わりの流れを表現してるとかなんとか。
まあ、どうでもいいか。
それより問題は、この扉が全く開かないことだ。うーん、ドラ◯エにはイン◯スで開く扉(6だっけ?)があったけどそんな呪文俺は知らないしな。
何か手がかりはないものか。
んー、見当もつかんな。とりあえずここで1回寝て英気を養おうか。しばらくしたら何か見つかるかもしれないしな。
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「ピュー!!ピューイ!」
あ〜スライムアラームが鳴ってる。声かわいいな〜。この頑張って声出してる感じが何とも。
説明しよう!スライムアラームとは、スライムの「寝なくていい」という性質を利用した、画期的なアラームである。
これはスライムが複雑な生体システムを持たず複雑な思考もしないからだと考えられる。
だが寝れないという意味ではなくアラーム業務についてないスライムたちはしょっちゅう寝てる。
ああ、ちなみにこんな感じの夜襲は探索中もしょっちゅう起きてたから割と慣れっこだ。
さて、今回の襲撃は・・・おぉ〜大軍だな。まだかなり遠いからよく見えないけど、100くらいはいるんじゃなかろうか。
六感強化に力を集中させて視覚を更に強化する。
えーと・・・見えた見えた。あの特徴的なピクセル体、角張った体の形にエキゾチックな緑色、なるほどなるほど。
今回の襲撃は、匠さんだな!
・・・え、匠さん!?
その瞬間、脳内を駆け巡る前世の記憶。初めてのリフォーム体験。トラウマ。
・・・いやああぁぁぁたすけてえええぇぇぇぇリフォームされたくないようぅぅぅ!!