その23 6日目、7日目
6日目
ボーナスは再び白紙のみ。かなり無意味そうなこの白紙だが何かしらの意味を後から持ってくる可能性も否定はできないから一応燃やしたりせずに取っておいてある。今は無意味のように見えても未来においてはかなり重要だったなんてものはたくさんあるからな。
さて、傷の回復は順調だ。
ちょっとステータスの方を見てみよう。
【名前】カイ
【種族】リトルザコキメラ・上位種
【副種族】転生種
【性別】男
【年齢】0
【レベル】6
【ランク】F
【体力・回復力】0/155+14
【魔力】150+21
【攻撃力】150+7
【防御力】150+7
【敏捷性】152+7
【称号】クソザコナメクジ 転生者 運命の赤い糸 同族喰らい 外道 悪食 逃げ腰 引きこもり
【加護】転生神の加護 鍛冶神の加護 大魔王の加護
【スキル】
・通常:色欲者5 筋力6 魔術師2 集中5 六感強化4 高速機動2 下級鍛冶6 魔剣創造4 鍛冶確率強化4 配下強化1 スライム経口摂取経験値増加6 小隊指揮1 雄叫び2 筋鎧5 守護2 超回復強化1
・称号:臆病2 危機察知2 全経験値量上昇3 運命の赤い糸1 胃強化2 同族殺し1 敵痛覚強化1 死体冒涜1 解毒1 神蝕1 オーラ1 引きこもり4
・加護:神託5 神格上昇1 魂容量増加1
・ユニーク:鑑定2 合成1 転生法1
・種族特性:肉体変質2 強力吸収2 物理超越1 王権1
【魔法】炎魔法3 闇魔法3 雷魔法3 光魔法1 獄炎魔法1 雷光魔法1
【形態】角2 脳2
【被眷属化】ルナ2
体力は未だに0だ。腕が壊されてる状態が続いてるからだろう。でも毎日回復してくれてる実感はあるし今ではその腕で物を持ったりも出来てる。短くて今日中、長くても明日、明後日くらいには回復してくれるだろう。
それじゃあ、今日の魔法開発を始めよう、と言いたいところだけど、実は面白いアイデアがあるのに光魔法がないとそれが実行できない・・・。
だから、今日は光魔法の練習をしよう。まあ、聖魔銅刀を作った理由はある意味この為だったからちょうど良い。
魔法を増幅させてコツをつかんでしまおうという魂胆だ。
発動させるのは1番簡単な光を発生させる魔法。名前はない。
聖魔銅刀の効果は魔力と魔法の増幅、ただし魔力を通すか魔法を通すかで効率が異なる。ここで俺が通そうとしてるのは光だが、当然通し方は2通りあることになる。
1.魔力のまま通して増幅した後に魔法に変換して光を発生させる。
2.魔力を光に変換しながら聖魔銅刀に通していく。
1の場合は増幅の効果によって最終的に通常より2倍強い魔法が撃てる。ただし、一瞬で増幅が完了するわけではないから一貫の操作に2秒ほどのタイムラグが発生する。(ちなみに直雷はこのやり方でしか発動できない。闇属性の魔力を一旦配置してから魔法を発動する必要があるからな。)
2の場合は最終的に通常より1.5倍強い魔法が撃てる。この場合のタイムラグはほぼ無い。
戦闘において2秒というのはかなり大きいと思う。実用的なのは2の方だろう。だが、魔法を地雷のようなトラップに使いたい時や相手に大きな隙ができて時間がある時は1が良いだろう。
それじゃあ、増幅効果を利用して無理やり魔法を発動すればなんかコツがつかめるという希望の元練習開始だ。光魔法を発動してみる。
おぉ〜確かに豆電球くらいの光だったのが豆電球2個分くらいの光になってるな。じゃあこの調子で頑張っていこう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
7日目
いやー昨日は光魔法の練習に夢中になりすぎて記録書に練習の結果を書くのをを忘れてしまったぜ。
でも、おかげで光魔法は充分に扱えるようになった。ボーナスの確認は後でするとして事の顛末を軽く説明するとしよう。
増幅効果を利用して光魔法を無理やり使ったことでわかったことがある。俺がうまく光魔法を扱えなかった原因だ。
まあ、結論から言うと原因はセレネ様からもらった大魔王のかごだった。正確に言うとそのほんの一部分。
大魔王の加護と言っても実際は【大魔王の加護】というひとつのスキルがあるんじゃなくていろいろなパーツがたくさん集まって複雑に絡み合い相互に作用することで【大魔王の加護】は成り立ってる。ステータスを上げるパーツとか知識を得るパーツとか大罪系スキルを入手しやすくなるパーツとか。他にも細々としたものがある。
問題はこの細々としたものに光属性の適性を下げるパーツがあった事だ。この事は逆に光魔法のスキルが教えてくれた。ただし、光の適性が下がった状態の俺ではこの事は把握できなかった。
だが、ここで魔法スキルの面白い事実が発覚した。昨日俺は2倍の出力で光魔法を発動できてただろう?実はあの時魔法に使う魔力は通常の5倍くらい持って行かれてた。
ここで俺は、俺が何らかの理由で2倍の出力を支えきれないからだと仮説を立て、その理由が、魔法を発動するためには魔法スキルを何らかの励起状態にする必要があり、今の俺は魔法スキルを励起状態にするのに必要な魔力までもが魔法の強度に比例して大幅に増加しているからだと予想した。
つまり、残りの3倍の魔力はどこに行ったのか?それは光魔法のスキルだ。
魔法スキルは魔力を込める事で出力を上げる事ができる。この仮説のもと、俺は大量の魔力を光魔法のスキルそのものに込めた。
すると効果は劇的だった。
今までは取得してるはずの光魔法のスキルを自分の中であまり感じることすらできなかったが、大量の魔力をこめた瞬間、光魔法のスキルが、こう、訴えかけてきたのを感じた。大魔王の加護のこのへんがなければもっと出力上がるべ、って。
いや、別にそんな喋り方じゃなかったけどさ、ニュアンスの問題ね?
というわけで、魔力をこめて出力を強引に上げた光魔法を利用して大魔王の加護の光の適性を下げるパーツを中和して消した。
そのとき、スキルも獲得できた。
【スキル:実験者を獲得しました。】
はっ!?実験者とな。あれか、スキル弄ったからか。どれどれ、効果は?
【実験者】
【最大思考速度20%上昇】
【記憶効率50%上昇】
【どの世界にも知らない方が良い事はある】
【それらは禁忌などの名前で秘匿され、甘美な誘惑で人々を誘う】
【あなたの好奇心はきっとあなたを殺すだろう】
やっぱり怖っ!最後のとこ怖っ!俺は別に死んだりしません。まだ童貞だし。前世も今世も童貞フィニッシュなんてしてたまるか。
さて、話を戻そうか。
中和の作業はかなり慎重にやった。ミスしたら大魔王の加護ごと消えてセレネ様との繋がりが消えてしまう可能性があったからな。それは良く無い。というか俺が自分を許さない。
まあ、無事成功したんだから良いか。
おかげで光魔法もうまく扱えるようになった。というわけでもともと作ろうと思ってた魔法にも取りかかれるな。
すごくシンプルだから構想もほとんど必要なし。そんでもって即完成。
魔法名、発光。
光属性の魔力を空間内に薄く広げて魔法として光に変換する。光源を発生させて空間を明るくするんじゃなくて空間そのものを発光させる。こうする事で影が発生しなくて物が見やすいんだ。
ただし、この魔法は膨大な量の光魔力を同時に魔法に変換する必要がある。今までの俺では圧倒的に容量が足りなかった。作業自体は簡単なんだがな。
今日はこれくらいにしよう。ふー疲れた。
あ、ボーナスはまた白紙だった。いい加減この白紙の謎も解明したいな。