その22 5日目
5日目
さて、今日のボーナスは・・・白紙1枚。よく考えたらこいつ鍛治セット以外まともなの送ってなくね?あとは白紙とくだらん手紙だけ。そう考えるとなんか腹が立ってきたぞ。絶対に許さん。
これから開発していく新魔法の数々をぶつけてやる。そのためにはしっかりと魔法を開発しなきゃな。
さて、ここしばらくでわかった事、魔法は想像力だ。
魔素操作とかのスキルで魔力の運用とか変換ができるようになる。魔法スキルで単純な魔力から属性魔力に変換した魔力を魔法、つまり物理現象に変換する。
この時にどういう物理現象が発生するかは魔力を魔法に変換する前の魔力の配置、密度、性質による。配置や密度はスキルの運用で、そのスキルの強度が許す範囲では簡単にできる。しかし、性質はそうはいかない。
それは、性質を操作するためのスキルがないからだ。
炎魔法を例にとってみよう。
この魔法を使えばこの前俺がやったみたいに炎を発生させる事ができる。蛇の形の炎が作りたければ、スキルを使って魔力を蛇の形に整えてから物理現象として発現させれば良い。
だが、それとは別に、この魔法では純粋な熱を発生させる事ができる。
昨日の雷炎鉄刀が良い例だ。あの刀には炎属性と雷属性のの魔力が込められている。
説明には高熱を発しているとか書いてあったが、実際あんまし熱くない。ただし、俺が刀を持つと熱を感じるようになる。これは、込められた魔力が粒子もしくはただ存在するだけという状態から熱をという状態に移るからだと考えることができる。
この時、刀身から炎が噴き出したりはしない。熱が発生するだけだ。それは、俺が炎魔力の性質を炎という状態ではなく完全に発熱のみにしたからだ。
だが、性質の変換は完全に想像力依存で現象の原理を知ってるとなお良いらしい。
つまり、スキルさえあれば誰でも魔法を発動できる。だがそこでは他人との差はつかない。いくらスキルを育てたって他人を超える事はできない。魔法で他人を超えるには魔力の性質を変化させ、使いこなす必要がある。
だから、魔法は想像力だ。ある意味才能と言っても差し支えないだろう。
まあ、理論に関する知識ももちろん大事だけどな。
それを頭に入れて、魔法の開発頑張っていこー。
とりあえずほとんど使えない光魔法は置いておいて、闇と炎と雷でやりくりしていこう。
ベースとしてどんな効果が欲しいかを決めて、それをこの3属性で作り上げていくイメージかな。
雷属性の魔法はまだ1つもないから雷っぽい魔法を作ろうか。前世のテンプレでは一般的だった、敵に雷を浴びせるやつなんてどうだろうか。
いろいろな作品で簡単にやってたが、実際にはそう簡単にはできないだろう。雷は狙った場所に飛ばすのがとてつもなく難しいからな。
雷の基本性質として、近いものに向かって飛ぶ、下に向かって飛ぶ、がある。
上に向かって飛ぶ雷を見た事があるだろうか?おそらくないだろう。まあ確か実際にはあったんだけどそんな珍しい事例はさて置いて。
雷は電気だ。そして電気は電子だ。電子は一般的な化学や力学、電磁気学では無視できる程度の量とはいえ質量を持っている。確か陽子や中性子の約2000分の1だったか。そして質量を持つ以上重力の影響を受ける。
これが、下に向かって飛ぶという基本性質の理由だ。
近いものに向かって飛ぶ理由は単純に雷がもっと流れやすい場所に行こうとする、とかそんな感じの理由だった気がする。
雷が敵に向かってまっすぐ飛んでいかないというのはわかってもらえたかな?
雷っていうのは割と扱いづらい奴だ。
まあ、俺の持ってる闇魔法を利用すれば1発で解決できるがな。
まず、雷を発生させる。この時、体から少し離れた場所に発生させるのがポイントだ。じゃなきゃ雷が自分に向かって飛んできて死ぬ。
さて、この時点では発生した雷は1番自分に近い物体に向かって飛んでいく。これじゃあ意味がない。
よって、次のポイント。
自分と敵の間の直線上に、吸収の性質を与えた闇属性の魔力を散らしておく。
こうする事で、雷を引っ張り通してくれる通路が完成するわけだ。
そうこうして、敵に雷を浴びせる魔法、完成。ちなみに名前は単純に直雷で。
早速実践してみよう。
的はスライム(もちろん俺が食料にしてたほうね)にしよう。そんじゃ、
「雷よ、闇に導かれ敵を貫け。直雷!」
手元に雷属性の魔力が収束していくと同時に、俺の手元とスライムの間の直線上に闇属性の魔力が散らばっていく。
闇属性の魔力が散らばるのに少し時間がかかってるな。これはスキルのレベルを上げていかないとどうしようもないだろう。
準備完了。魔法スキルを使って魔力を雷に変換。発射!
ドゴォォォォォォンンン!!!
スライム、消し炭。
俺の鼓膜、ヤバい。
ついでに魔力の消費もヤバい。
いってーー。何か耳栓みたいなものを作らないと、全く実用的じゃないな、この魔法。威力はすごいんだけど、音と消費が、ね。
この後に聖魔銅刀を使っての実験も予定してたんだが、キャンセルだな。確実に俺の耳が持たない。
まあ、今日はこれくらいで良いだろう。
明日も引き続き魔法の開発だな。