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その16 ミノ戦

 ふぅ・・・大変な目に遭ったぞ。


 ちなみにさっきの話の続きになるが、もし近くで好きなが痙攣を始めたらさっき言った理由で合法的にそのの口に指を突っ込むことができるぞ、童貞の男子諸君。指の未来は保証できんが。実際はベルトか何かを挟むと良いらしい。


 さて、話を戻そう。さっき流れた声によると配下強化、スライム経口摂取経験値増加、小隊指揮というスキルが手に入ったらしい。早速どんなスキルなのか確かめてみよう。


【配下強化】

【魂によって繋がれた配下の全ステータスを微量強化する】

【強化の量は配下の元のステータスとこのスキルのスキルレベルによる】

【このスキルが手に入った時点で配下にはこのスキルの対となる、支配主還元が手に入り、配下のステータスの一部がこのスキルの持ち主に還元されるようになる】


【スライム経口摂取経験値増加】

【スライムを食べた時に獲得できる経験値を増やす】

【増加率は非常に高いものの、もともとが雀の涙程度なので実感可能な差は少ない】


【小隊指揮】

【10人以下の部隊を指揮するときに情報伝達がスムーズになる】


 便利そうなスキルばかりだ。正直に言うと、今ここで一番俺の助けになりそうなのはスライム経口摂取経験値増加だと思う。セレニティのミノタウロスを倒すには俺は圧倒的に力不足すぎる。そこを解決してくれるのがセレネ様が言ってたスライムを食べることでの経験値獲得だが、如何せんそれで手に入る経験値は微々たるものだ。それを解決してくれるのがこのスキル、スライム経口摂取経験値増加だ。


 説明文を見る限りでではあるが、このスキルがその微々たる経験値を当てにできる場所まで持って行ってくれるはずだ。


 とりあえず一先ずは魔法の練習でもしながらレベル上げ、そして進化を目指そう。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 さて、魔法の練習とか開発をしながら自由気ままに過ごしてたらあっという間に約3ヶ月が経った。レベルも上がったしスキルレベルも上がった。進化もしてレインボーエレメントも、戦闘において軽い支援を期待できる程度には強くなった。


 よって今日は!遂に!外に出てみようかと思う!!


 レインボーエレメント点呼!


「「「ピュピューーーーイ!!」」」


 まあさすがに点呼の概念はわからないよな。返事をしただけでも上出来だという事にしよう!


 よし、行くぞ!


「ブモォォ!!」


 うひゃぃっ!?


 うう、ビビらせないでくれよ・・・。でもまあ、俺は前と比べてかなり強くなったはずだ。今ならきっと勝てる。


 とりあえず周囲をしっかりと確認する。戦ってる途中にほかの敵に乱入されでもしたらたまったものじゃないからな。パッと確認した限りではミノタウロスはこの一体だけだ。このまま戦闘に移ろう。


 この約3か月間セーフゾーンの前を行き交うミノタウロスを観察しててわかったことがいくつかある。そのうちの一つ、それぞれの長さに細かな違いはあれど、ミノタウロスは標準で長めの斧を持っている。今回のこいつはその中でもかなり長いものを持ってる。いわゆるハルバードというやつだろうか?広い空間で戦おうものならリーチの面で俺はかなり不利になってた可能性があるが、この狭い通路ではむしろ逆、ミノタウロスの攻撃はほぼ縦ぶりだけに限定されるからこっちが圧倒的に有利だな。ラッキー。それじゃ、後方確認、退路をしっかりと確保して・・・よし、やりますか。


「はああぁぁぁっ!」


 レインボーエレメントに援護してもらう事も考えたが、今回は俺一人で戦って勝ちたい。よって、俺一人だけでミノタウロスに向かって突進する!長物は間合いの内側に入ってしまえば一気に有利になれるからな。


 だがそれはミノタウロスもわかってる。いやそれとも、その長物の使い手だからこそ誰よりもよくわかってると言うべきだろうか、俺を進ますまいとブンッという音を立てながらハルバードを上段から振り下ろしてくる!


 ガキィン!


 俺の直剣にぶつかったミノタウロスのハルバードはわずかに軌道を逸れながら、そのまま地面に衝突して砂埃を巻き上げる。


 ・・・やっぱり流石にこの軽い直剣で受け止めるには少し重いな。はじき返すのは言わずもがな、俺が全力で受け止めたとしても多少軌道を変えるのが限界だ。


 このまま前に出てミノタウロスに直接斬りかかってもいいんだが、ミノタウロスが武器を手放して拳に変更したらそれはそれで困る。今回はほぼ初めての大きな戦闘だし、かなり慎重にいきたい。俺はバックステップで回避することを選択した。そして、俺が武器を構えなおすのと同時に、ミノタウロスも武器を肩に担いで構える。これで仕切り直しだ。


 しゃあない。魔力の回復は時間がかかるし、いざという時のために温存しておきたかったんだが・・・。


「炎よ、蛇となり敵の身を焦がせ!食らえ、『炎蛇フレイムスネーク』!」


 その言葉とともに俺の手から放たれた炎の蛇、炎蛇フレイムスネークが飛んでいき、ミノタウロスに絡みつく。うまくミノタウロスの意表をつくことができたようで、完全に無防備な状態で食らってくれた。ジュゥゥという肉が焼けるような音がして、ここまでいい匂いが漂ってくる。


 じゃあ次行くぞ!


「闇よ、暗黒の霧となりて敵を覆い尽くせ!『闇空間ダークフィールド』!」


「ブモォォ!?」


 よし、成功だ。どこからともなく出現した闇がミノタウロスの顔を覆い尽くす。直接的なダメージは一切ないが、光はその闇を通過することができない。ミノタウロスは今何も見えない状態だろうな。


 絶好の機会。よって、今のうちに攻めるっ!


 まずはミノタウロスに向かって全力でダッシュ!通り抜けざまに脇腹に一撃!そして、


「物理超越発動!慣性力ベクトルの向きを反転!」


 これで俺は、止まろうとするとほぼバランスを崩すことなく好きな方向に加速できる。この状態で方向を反転、回転のエネルギーを乗せた一撃でミノタウロスの右腕を切り落とす!


「ブモオオオオオォォォォ!!!」


 苦悶の声、効果は十分なようだな。


 と、ここで闇空間ダークフィールドの効果が切れてしまったようだ。もう一度撃って攻撃を続けたいところだが初見じゃなければ間違いなく対処されるだろう。不意打ちでなければかなり避けやすい。物理超越の残り時間も少ない。


 よし、さっさと終わらせよう。


 オーラ(火)を発動。すると、俺の周りに赤い粒子のようなものが集まり始める。その粒子を魔術師ウィザードを使って武器に集める。さらに武器自身にも魔力を流して炎の力を増幅させる。これで俺の次の一撃の威力が爆発的に増え、炎によるダメージも増える。


 もちろん威力が増幅した一撃でミノタウロスを攻撃することも大事だが、俺の本当の狙いはそこじゃない。本当の狙いは未だにミノタウロスに巻き付いてる炎蛇フレイムスネークだ。


 片腕になって威力が弱まった一撃を軽々と避け、そのままミノタウロスに絡み付いてる炎蛇フレイムスネークを思い切り切りつける!!蛇状に固められた密度の高い炎とも言える炎蛇フレイムスネークはその形を保てなくなり巨大な炎となる。そこに直剣に込められてた炎が重なり、爆発的に燃え上がる!


 バックステップで距離を取りながら思う、このまま焼け死んでくれと。


 しかし、俺がそう思ったその時だった。


 力を失いかけてたかのように見えたミノタウロスの体に再び力が宿り、ここで終わってたまるかと言わんばかりの大声を上げる!


「ブモォォォォォォォォァァァァアアアアア!!!!」


 ミノタウロスその燃え盛る体のまま思い切り踏み込み、ハルバードを手放して俺の直剣を鷲掴みにし、指を深く傷つけ血を噴出しながらも刀身をへし折る!


 くそっ、武器をやられたか。


「炎よ、ここに集まり我が敵を穿つ槍となれ!『炎槍フレイムスピア』!」


 ミノタウロスの豪腕が俺の右腕めがけて迫る。今の俺の体制では避けることは不可能。ならば、攻めるのみ!!!


「いい加減に、死にやがれぇぇぇっ!!!」


 俺の炎槍フレイムスピアがミノタウロス喉を貫くのと、ミノタウロスの拳が俺の右腕にその膨大なエネルギーを伝えるのは、全くの同時だった。


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