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第2話 始まりの街イニティウム

 鯖です。こちらも久しぶりです。


 とりあえずなろう無期限で休止させていただくことになりました。唐突に申し訳ないです。というわけで、これが実質最終話です笑 というのは冗談です。皆さんに認めてもらえるような話を作れるようになってきてから戻ってきます。

 

 今までありがとうございました。

「おい。やめろまじで。腕に絡みつくな」

「いいじゃないですかー。旅のパートナーでしょう?」


 現在俺たちは、ステータスプレートを作った後、門を通って始まりの街と呼ばれるイニティウムを散策している。ラナも200年ほど(本人、というか神からしたら数時間程度らしい)睡眠をとっていたのでこの世界も随分と変わっていてあまり以前の情報は意味がないものになっているらしい。

 この案内役とか言ってたのに、この結果であることを残念に思ったのだが、魔法を習う上でこいつはたぶん一番教わるに足る存在だと思ったから辛うじて同行を許す形となってる。


 いやしかし、こんなことは正直どうでもいいのだ。どうでもいいと言うわけではないが、あまり問題としていない。これくらいは容易に想像できるし、察していた。

 俺が今一番気になっているのは、周りの視線だ。ラナの美貌に見とれて、その隣にいる俺を嫉妬や羨望、その他諸々混じったような視線で見てくる。鬱陶しいことこの上ない。

 ラナはそんな視線を気にせず、俺にくっついてるため余計絡まれそうな雰囲気を醸し出している。


 もっとも、そんな視線を浴びているのはラナだけではない。何気に周りの女からの俺への視線が気になる。視力補正を施してくれたのか、視力が良くなり眼鏡が不要となった俺は以前愛用していた眼鏡を外しているわけだ。

 そしてそんな俺は、自分で言うのもなんだが普通に顔がいい。中一から眼鏡をかけ始めた俺は陰キャラっぽい見た目に大変身していたのだが、それより前の小学生時代は普通にモテていた。故にラナといるだけで余計に悪目立ちしてるのだろう。


以上、これが俺の感じている視線の内容であると推測される。


「そんなに緊張してないで、リラックスですよー。まわりの目なんか関係ないです」

「気づいてたのか」

「むしろこの視線に気づかない方がおかしいと思いますよ」

「ま、それもそうだな」


 黒に包まれたカナタと、それとは対称的に白いローブを羽織ってカナタの腕に抱き着いているラナ。不自然なほど目立っている2人は通行人の注目の的になっているが、そんなことを二人は気にせずに会話を続ける。


「で、これからどうすればいいんだ?」

「そうですね。この世界のことをいろいろ知りたいのなら冒険者が手っ取り早いと思いますよ」

「冒険者?」

「はい」


 一応その名称は知っているが、ラノベやweb小説でしか読んだことのない、いわば架空の職業。魔物を討伐したり承認の護衛をしたり、などその仕事内容は様々、という認識でいいのか。ラナに聞いてみる。


「はい、その認識は間違っていません」

「そうか」

「まぁでも、違うと言えば違いますけどね」

「どういうことだ?」

「冒険者の中でもランクと言うものがありまして、そのような仕事をする人は一定ランク以上の人たちです。つまり低ランクの人は便利屋のような仕事を低賃金で行うわけですね」

「そういうことか」

「もっとも、200年程前の情報ですから合っているかはわかりませんけど」

「それでも参考にはなる。ありがとうな」

「いえいえ。とんでもないです」


 ラナがはにかみながら俺に向かって言ってくる。。


「じゃあ、冒険者になれば、この世界の知識や魔法のこともよりわかりやすい環境になるわけだな」

「そういうことです」

「そうと決まれば、冒険者になるか」

「はい。200年前と変わっていなければ、冒険者ギルドという施設があるはずです。そこで手続きをすれば、冒険者になれます」


 ……まるっきり異世界転移系ラノベだな、おい。もしかしたら元の世界の知識も役に立つかもしれない。もっとも、その知識に慢心しすぎてはいけないわけであるが。


「じゃあ早速さがす……」

「あのーすいません!冒険者ギルドはどこにありますか?」

「ああ。冒険者ギルドならこの先を左に曲がって、しばらく直進したところにあるよ」

「ありがとうございます!」


 冒険者ギルドを探そうかと俺が思案していると、既にラナがそこらへんにいそうな、おっさんに話しかけて情報を得ていた。まじで速すぎて驚いた。


「場所がわかりましたよ!早速行きましょう!」

「お、おう。そうだな」


 ラナのコミュ力と行動力に驚きながらも(別に自分がコミュ障とか、そういうわけでは断じてない)俺はラナについていく。

 民衆からの視線を少しずつ浴びながら俺たちは進んでいく。そうして着いたのは外見は古びているがそこを出入りする人々によって活気づいている木造の建物であった。


「あの人が言うにはここですね」

「ああ。たぶん間違いないだろう」


 その建物の外には看板が建っており、そこにはカタカナで「冒険者ギルド」と書いてあった。全く、ご都合主義も大概にしてほしいものだな。

 もっとも、今さっき気づいたのだが民衆の言葉も聞き取れるし、文字もご覧の通りなので、心配事が一つ減って本当に良かった。ご都合主義万歳。


「とりあえず、受付に行ってみるか」

「そうですね」


 ラナの了承を聞いて俺は受付の方に進んでいく。無論、ラナも一緒に。このときも例に漏れず、大量の視線を浴びるが、気にしない方がいいな。

 にしても、後ろの酒場から感じる下卑た視線は何とも気に食わない。街中で感じた大半の視線は好奇や嫉妬など、そういう視線だったからまだ良かったのだがこのような視線は別である。気持ち悪いことこの上ない。


 だが、特に手を出してくるわけでもなく受付までたどり着いたので、何もしないことにする。穏便に済むのならそれが一番だ。


「冒険者登録をしたいのだが」

「え、あ、はい。冒険者登録ですね」

「はい、そうです!」


ラナが返事を返すと受付嬢はニッコリと笑みを浮かべる。俺たちが来た当初は動揺したものの、すぐに態勢を整え直せるのはさすがプロだと言えよう。


「ではこの用紙にお名前と特技などの記入をお願いします。代筆は必要ですか?」

「いや、必要ない」

「分かりました。私は少し席を外しますが、すぐ戻ってくるので大丈夫です」


 そう言うと受付に俺とラナが残された。ふむ、紙は普通に存在するのか。俺の思っていたよりも文明のレベルは高い。

 ……まだ提示を促されてはいないが多分必要になるであろう、あるものを頭の中に浮かべて、俺はラナに話しかける。


「おいラナ」

「はい、何でしょう。カナタ」

「俺の予想ではたぶんこの冒険者登録にはステータスプレートの提示は必須と見える。もちろん、この先もだ」

「はい。それがどうかしました?」


 ラナがそこまで思案していなかったことに頭を痛めながら俺は問いに答える。


「バカか。俺はともかくお前のステータスは異常だろ。絶対貴族とかめんどくさいのに接触を試みられたりするだろ。隠ぺいするしかない」

「カナタのステータスも大概だと思うけどね」

「でだ。ステータスプレートの偽造とかって出来ないのか?」

「あー。そんなことですか。ほいっと」


 一瞬ラナの掌からふっと淡い光が現れたと思ったらすぐに消え失せた。そして俺がリミットボックスからステータスプレートを取り出して確認すると、以前の値よりもMPの値が減少していることから偽造が完了したことがわかる。

 ラナもステータスプレートをひらひらと振っているのをみるとしっかり偽造しているのだろう。少し驚いたような素振りを見せるとドヤ顔で返してくるのが面白い。

 MP以外の値に何も変化がないことには少し虚しさを覚えたがそれはしょうがないだろう。


 そうしてしばらく用紙に記入をしていると受付嬢が戻ってきた。


「記入は終わりましたか?」

「ああ、俺は終わった。ラナは……」

「はいっ!終わりましたよ!」


 そう言って、俺と同じように、受付嬢に用紙を提出した。とりあえず、一つの段階は終わったか。あと少しだろう、と安心しきっていたのもつかの間。受付嬢が椅子をガタッとしてこちらを見てくる。

 こいつ、何か自分たちの力をばらすようなヘマをしたか。と対処法が頭のなかでグルグルと浮かんでいる。強大な力を持ちながら、目立たずに俺の知識欲を満たすことはやはり無理だったのか、と諦めの視線をラナの方に向けるとラナは何を言っているか分からないと言うような視線を返してきた。


「こ、これは……」


 受付嬢が恐る恐ると言った具合で問いかけてくる。あー、案内役なんかつけない方が良かったか?でも、そんなことを言ってももう遅いか。俺は覚悟を決めた。もうどうにでもなれ。


「ラ、ラナさんは、そちらのカナタさんのせ、性奴隷……なんですか?」

「いぃ!?」


 思わず俺は変な声が出てきた。そして溜息をこぼす。


 まだまだ俺の苦労は続きそうである。




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