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迷惑な召喚(仮)  作者: エンデンタウン
1章
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二人 脱走を果たす

 日が地平線へ落ちようとする頃、奴隷商人に連れられた荷馬車が町に到着した。商人の御者が門で手続きを行っていた。

 馬車に乗せたれた町と比べて、活気が無い。城壁は低く、石ではなく木で組まれていた。

 木の門を潜り抜け、門の近くに設けられた広場で下ろされる。

 「お前たちはここで朝まで待機よ。食事は後で持ってこさせるわ。一晩中無言も可哀想だから、おしゃべりを解禁してあげる」


 奴隷商人達は町の奥のほうへ連れ立ってしまった。

 残された奴隷達は喧々諤々と話し合っている。ほとんどが英語の為、時々聞き取れないが俺が考えていなかったことを色々言っていた。

 ・奴隷の首輪であるのなら、奴隷の所有権はどのように今の奴隷商人に渡ったのか

 ・奴隷の首輪を使った条件付けがどのように行われているのか

 ・スキルによって現状を打破できないのか

 馬車移動で考える時間だけは多くあった。頭の切れる人たちは行動を移す為動き始めているようだ。

 『言葉によって拘束するという考えが正しければ。今の条件は奴隷商人から離れると死ぬ。』

 『言葉によって拘束するではなく、言葉によっても拘束できる。が俺の考えだ。気がついている奴もいると思うが、逃亡を前提に話をしているが苦痛が襲ってきていない。これは苦痛や死を与える条件は一つということだろう。ただ、振り分けられた時、何を言ったかわからないが、兵士が何かしゃべっただけで首輪が爆発した』

 『それは俺も見た』

 『何かの言葉で、コイツを起動させられると考えたほうがいい。これも振り分けられた時に気がついたが、相手に聞こえていなくても条件が付けられる。振り分けのとき、何も聞こえてなかったが、横を通った兵士の武器を奪おうとした瞬間、激痛が襲ってきた』

 『おいおい、伝えなくても条件の変更ができるというのか』

 『その可能性は高い』


 大きい声で話しているわけではなかったが、聞き耳を立てれば聞けた。

「弘樹、協力するという選択肢もできたけどどうする?」

 協力するメリットもいくつか考え付くが、デメリットが大きすぎる。

「皓太の案でこのまま進もう。大人数が脱出成功すると、追っ手がかかる。俺達だけなら全体を止めてまで捜索することも無いだろう。離れたら死ぬの条件が残っているからな」

「あの人達より先に行動を起こさないといけなくなったね」


 翌朝、パンと薄いスープを与えられ、食べ終わるとすぐに馬車に乗せられた。

 町を突っ切り、反対側の門を出る。昨日は荒野を走っていたが、町を離れるにつれ、草の割合が増えてくる。

 俺達は昨日と同じように、一番後ろの馬車に乗って、脱走のタイミングを計る。

 皓太の案はシンプルで、町を出て、川や水がある場所で隠れられる岩があるような場所。そこで奴隷として生きるくらいなら死んでやると叫んで馬車を飛び降り、少し離れてから倒れる。

 馬車が引き返してこなければ成功、馬車が止まり確認しに来たら逃げる、それだけだ。水があれば食べられる植物がある可能性がある。人体に有害であっても即死で無ければスキルで何とかできると考えたらしい。

 

 日が真上を通り過ぎるころ、馬車は林に向かって走っていた。

「弘樹、そろそろチャンスが来るかも」

弘樹が呟いた。

 地平線だと思っていた右手の丘が終り、その向こうに断崖が見えた。

「あの断崖が川の水で削られて出来たものだとしたら、林の向こうに谷を越える橋があるかも」

「チャンスだな」

「うん、最初で最後のチャンスかも知れないから、ここで決めよう」

 弘樹の提案に頷く。


 林が切り開かれ、馬車が通れるだけの道が続く。

 俺達は、水の音や匂いを必死に探していた。

 林の中は車輪の音が草に吸収され、回りの音が聞き取れるくらいになっていた。どこからか鳥の鳴き声が聞こえ、生き物が生きていける環境であることを伝えてくれた。

 『・・・なんて嫌だ!逃げて生き延びてやる!』

 二つ前の馬車に乗っている白人が大声を上げ逃げ出した。

 「皓太、行くぞ」小声で呼びかけ皓太の背中を叩き馬車を飛び出す。こんなはずじゃなかったが、ここで二の足を踏めばタイミングを逃す。皓太にも伝わったようだ。

 「このまま奴隷で生きるくらいなら死んでやる!」

 大声で叫ぶ。皓太も同じように叫びながら付いてきている。先に逃げ出した白人が急にもがき倒れた。俺も同じように距離を見計らいもがき倒れる。習うように皓太も倒れる。

 馬車が止まり護衛達が飛び出した。一番近くで倒れた白人の下へ行き、死体を引きずりながら馬車へ向かう。

 まずい、死体も持っていくつもりか。護衛たちに比べて俺と皓太の方が身軽だが、逃げ切れるとは限らない。

 護衛達が馬車に近づき奴隷商人に声をかけているようだ。

 死体を間近に見た奴隷達が息を呑む。

「次に誰かが脱走したら、全員殺すわ。だからお互いに見張りなさい」

 馬車から出た奴隷商人が死体を踏みつけながら声を張り上げた。

「鞭ばかりでもいけないから、飴をあげるわ。男娼として私が納得するまで働いたら解放してあげる。条件は王都へ帰ってから話し合いましょう」

 そう言い残し馬車へ乗り込んだ。そして、馬車は走り出した。


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