表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破鏡の世に……  作者: 刹那玻璃
引きこもり竜が穴蔵からおいだされるかもしれません。
44/428

孔明さんは、本当に紫の上育成計画を実践するつもりです。※

 門の中に入り、隙間から呆然と立ち尽くす親子を見、黄承彦こうしょうげんはケラケラと笑う。


「婿殿、見られたか? あのつらを、久々に楽しい物を見せて貰った」

「私はドキドキでしたけど……」


 孔明こうめいは苦笑する。

 実は黄承彦の体を支えていたのは孔明である。

 義父の怪我を心配しているのだ。


「そうですのぉ、婿殿はもっと迫力のある……」

「いえいえ、先程の衣装は着ませんから」

「それは残念。でも、婿殿は派手な色よりも、落ち着いた色の方が似合うからの」


 ふむふむと、何度も頷く。


「おっ?宮城に帰ろうとしておる。ふふふっ。この後の宮城が楽しみですなぁ。見てみたい気も……」

「止めて下さいよ。義父上。かなり乱暴にはねのけられて、したたかに肩を打っているではないですか。今日は湿布をしてお休み下さい」

「うん? 可愛い琉璃りゅうり月英げつえいに比べれば大丈夫、いだだだだ!! 」


 うめき声を漏らす。


「だから、言っているのです。休んで下さいね? 月英も、ひどい捻挫ですよ。琉璃と3人、怪我人親子ですよ」

「おや、それは嬉しいねぇ。仲良し親子っぽくて」

「ひどい怪我人が、喜んでどうしますか。早くお休みしましょう」


 孔明は、使用人が先導する道をついていき、黄承彦の部屋の前で待っていた付き人に預け、月英の棟に移動する。


 孔明と琉璃は、黄家こうけで滞在する際は、義兄月英の棟に用意された部屋を利用するのである。

 まずは、琉璃を迎えにいく為に月英の部屋にいく。

 そっと扉を開け、中を覗くと寝息が聞こえる。

 二人とも眠っているらしい。


 起こすのも悪いと、琉璃の体を抱き上げると熱い。

 痛み止めの薬を飲ませているが、熱が出たのか、うつらうつらしている。

 これは……!

 出ていこうとした孔明の背に呼び掛ける声。


「大丈夫だ。さっきここに置いていたのを飲ませている。ようやく寝付いた。薬は多すぎると毒だと、お前が言ったんだろう? まずは落ち着け。どうだった? 」


 振り返り、近づくと、


劉景升りゅうけいしょうの次男とその母親が、謝りにきてやったと、言ってたね。母親は横柄、高慢だったし、次男の『ほう』は酒を飲んでた。義父上が、謝罪は受け取らない。と追い返したよ。でも、打ち付けた肩が辛そうだった。しばらく固めておいた方が良いと思う。月英もだよ」

「まぁなぁ……」


 包帯の巻かれた両手を持ち上げ、自嘲する。


「大事な職人の腕何てことしやがる……それに、悔しいな……あんな奴に馬鹿にされて」

「月英……」


 よしよしと頭を撫でる。


「こら、オレはお前より4才年上だぞ。それに、頭も痛いんだ。あんまり乱暴に触るなよ」


 包帯の巻かれた頭を示す。


「軽く撫でたでしょ、兄弟なんですから良いんです。それよりも月英。あんな奴らに負けなくて良かったね」

「……まぁな」


 枕の上に流れる髪を見て、呟く。


「この髪は、母上と同じ色だ。瞳も母上は琉璃と同じ青だった。親父は、母上の愛らしさ、優しさ、美しさが好きだと言った。オレは母上の息子なんだから、それを誇りにしろと。でも、昔は恨んだ。親父を」

「……」

「母上は、後から入ってきた親父の本妻で、あの女瓜二つの妹と、あの女にいびられ、虐げられ、蔑まれ、最後に自殺に見せかけられて殺された。オレと親父が遠い地での交渉事をしている間にだった。何時もだったら、親父は母上も連れていっていた。母上は、身ごもってたそうだ」


 苦笑する。


贖罪しょくざいかもな……親父にとっても、オレにとっても」

「良いんじゃないんですか? 母上の生んだ妹で……琉璃は、月英の妹でしょう? 」


 孔明は笑いかける。


「月英もそろそろ、可愛いお嫁さん見つけたらいいと思うけど? 良い年なんだし」

「義弟、しかも形式婚しかしてない奴に言われたくないね!! 」

「私はこの結婚楽しいですし、満足してますけど? 」


 真顔で返す孔明。


「嘘だろ!? 正気か!! 形式婚だぞ!? 」

「嘘じゃないですよ。毎日楽しいし嬉しいですよ。満足です。今のところ」


 孔明は首を傾げ、微笑む。


「それに、良いじゃないですか。自分の可愛い嫁を自分好みに育ててるんですよ。最高でしょう?私の好きなものを好きになって、私と同じ価値観、でも、当然全て一緒じゃなくて、意見が食い違ったりするのも楽しいでしょう? 成長していく、花なら双葉を見つけて、葉が広がり、茎が延びて、つぼみが出来て美しい花が咲く。それを見ていられるなんて、それが可愛い嫁だと思うと手塩にかけて育てたいと思いません!? 」

「うーん……いやぁ、オレそこまで気が長い方じゃないし、それに、お前それ絶対琉璃は、オレのもの宣言。してるだろう!? 自分好みに育ててウハウハ……」

「だって、私の嫁ですから。他人が何と言おうが、私好みの嫁に育てますよ!! 」


 孔明は宣言する。


「誰にも文句は言わせませんよ!! 琉璃は、私の嫁なんです。私が何をしようと構わないと思いません!? 」

「琉璃の年を考えて、倫理上……」

「ハイハイ、解ってます。じゃぁ、月英。お休みなさい。寝ないと良くなりませんよ」


 孔明は手を振り部屋を出ていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ