これが孔明さんの本性であり未来予想図です。※
公瑾と、共に部屋にいた子敬は縄を打たれ、宮城に引っ立てられた。
その間に宮城から使いが来、呉国太と尚香、花蘭と木蘭、そして、孔明たちが呼び出される。
一応、病人だと周囲は孔明を止めるふりをしたが、孫仲謀直々の頼みに、仕方なく出ていくという風を装う。
そして、睡蓮が子供たちのことを見るという言葉に、お願いし出ていく。
「まぁ……循も玉蘭も、来ると言わなくて良かった……」
孔明の言葉に、周囲は頷く。
一応馬車は、呉国太たち女性陣と孔明たちと分かれている。
「それに喬もごねずに良かったよ」
子瑜の言葉に、子明は、
「着いていくと言えば、循と玉蘭、統に広まで着いてくると思ったのでは?喬は、賢いし、判断力があるし」
「でも、家の子たちは結構やるときにはやる子たちなんです……少し、心配です」
孔明の言葉に、
「大丈夫……だといいねぇ?亮」
「だといいねじゃないでしょう!?一番冷静そうに見えて、暴走するのは喬ですよ!!兄上に一番似てるでしょうが!?」
「何言ってるの!!失礼な。私のどこが暴走系なの!?私は暴走してるのは亮に対してのみ!!他はほとんどバッサリ切り捨て系なの!!」
「そんなのいりません!!」
孔明は言うが、子瑜は無視して、
「だから暴走系なのは亮でしょ!!どこをどうやったら、曹孟徳軍の武将と一騎討ちに、蹴り飛ばしに、猪呼ばわりするの!?」
子瑜の返事に孔明は言い返す。
「兄上が姉上たちを猪娘って言ってるじゃないですか!!」
「あれは猪だよ!!どこをどうすれば、人間なの!?狂暴で突撃、一撃必殺!!じゃないか!?私なんて何度殺されかけたか!!」
「兄上、私を人身御供に差し出して逃げ出してたじゃないですか!!死にかけは私の方です!!」
孔明に、しれっと、
「そうだっけ?お兄ちゃん覚えてないよ?小さかったから、亮の勘違いじゃない♪」
「私は覚えてますからね!!大体2才の頃からの、兄上や姉上たちに受けた仕打ちの数々を!!物心つく前から、耳元で『論語』に『六韜』、『孫子』に『墨子』を語り続けるというよりも、呪いのように呟く兄上。姉上たちは、歩き出した私の両手を拘束して、走り回り……死ぬかと思いましたよ!!その上、兄上は廃墟に置き去りとか、姉上たちは自分達二人でやってのけたんだから出来るわよ!!とかいって、猪に暴れ馬、暴漢退治……殺す気ですか!!」
「だって、亮。やったじゃない。全部。だから、上がっていったんだよ~難易度が!!よくやった!!さすが私の弟!!」
子瑜の珍しい程の軽口に、孔明はガウガウと噛みつくように食って掛かる。
「じゃないとご飯抜きに、水なし、その上家に帰れないじゃないですか!!」
「大丈夫。亮は私の弟!!天災の弟は変人!!」
「誰が変人ですか!!」
子瑜の嬉しそうな顔に、つい伯言は、
「子瑜どのは、孔明どのとはそんな風にお話を?」
「そうだよ。だって、からかうと面白いんだもん!!」
「兄上!!」
きっとにらむ弟に、子瑜はニコニコと、
「亮は可愛いから!!素直だし、表情豊かだし……」
「えっ!?」
子明が義兄を示す。
「え?あんまり変わらないでしょう!?」
「あぁ……そっか、二人とも琉璃がいない時の亮見てないし、知らないんだ。琉璃の前ではニコニコデレデレだけど、亮、元々すねすね体質。負けず嫌いだし、喧嘩上等!!って言ってたでしょ?あれ本性だから」
「本性!?」
伯言と子明に平然と、
「だって、琉璃の前で、本性見せたら泣きますよ?だって若かった時代には、私の敬兄の元直兄を見下し、馬鹿にしていた塾の兄弟弟子たちをぶん殴って……数人……?もっとかなぁ、追い出したし……襄陽で、結婚前は姉上たちが暴れまわってたので、しばらく大人しくなっていたならず者があちこち悪さをするので、一人一人を殴り飛ばすのも面倒なので、ねぐらにならず者が寝てる白昼堂々と乗り込んで、壊滅しましたね……それに……琉璃の父上の護衛とか……やってましたからねぇ……いやぁ若かった!!」
然程昔でもないというのに、ずいぶん昔と言いきった孔明に、
「……い、いつ頃から……?」
伯言の恐る恐るの問いかけに、平然と、
「やんちゃ盛りの16からですよ。20になって琉璃が来てからは、う~んそうですねぇ?暴漢退治と、塾の講義に熱心に取り組まない弟弟子を殴り飛ばし……いつもお世話になっているので、義父の護衛はやってましたけど?」
「いや、変わってねぇし!!」
突っ込む子明。
「昔と最近じゃ違いますよ?昔は棒か拳か強弓。今は拳に矛か戟か連弩!!違います!!」
「武器の話じゃねぇって……」
「え?だったら……琉璃に黙って、色んな暗器(暗殺武器)を、月英と均と作って売り払ったり……他には、家の回りに外敵用の罠以外に、琉璃に内緒で、逃げたらすぐ解るように罠の数々を仕掛けておいたとか……は?駄目ですか?」
真顔の孔明に、硬直する2人。
「そっか~それもあったか!!亮、偉い!!それこそ諸葛家の人間!!やれ!!もっとやれ!!」
あおる子瑜に、にっこりと、
「当然です!!琉璃は誰にもやりません!!琉璃を泣かせた奴等は、叩きのめすよりも潰します!!さってと、ここが済んだら、向こうに戻って、向こうを潰しにかからないと……ふふふ……待ってろ10年後!!殿に関雲長、季常に幼常に関平にも地獄の底の底まで見せてやる!!苦しんであがいても、笑って見下ろして諸葛家の家訓を実行してやりますよ!!兄上!!見てて下さいね!!」
楽しげに笑いながら、何を想像しているのか……子明と伯言は、絶対に諸葛家……特に孔明は敵に回すまいと誓うのだった。




