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破鏡の世に……  作者: 刹那玻璃
江東だけではなく、様々な場所で、思惑、策謀と日常が移りゆきます。
273/428

これが孔明さんの本性であり未来予想図です。※

公瑾こうきんと、共に部屋にいた子敬しけいは縄を打たれ、宮城きゅうじょうに引っ立てられた。


その間に宮城から使いが来、呉国太ごこくたい尚香しょうこう花蘭からん木蘭もくらん、そして、孔明こうめいたちが呼び出される。

一応、病人だと周囲は孔明を止めるふりをしたが、孫仲謀そんちゅうぼう直々の頼みに、仕方なく出ていくという風を装う。

そして、睡蓮すいれんが子供たちのことを見るという言葉に、お願いし出ていく。


「まぁ……じゅん玉蘭ぎょくらんも、来ると言わなくて良かった……」


孔明の言葉に、周囲は頷く。

一応馬車は、呉国太たち女性陣と孔明たちと分かれている。


「それにきょうもごねずに良かったよ」


子瑜しゆの言葉に、子明しめいは、


「着いていくと言えば、循と玉蘭、とうこうまで着いてくると思ったのでは?喬は、賢いし、判断力があるし」

「でも、家の子たちは結構やるときにはやる子たちなんです……少し、心配です」


孔明の言葉に、


「大丈夫……だといいねぇ?りょう

「だといいねじゃないでしょう!?一番冷静そうに見えて、暴走するのは喬ですよ!!兄上に一番似てるでしょうが!?」

「何言ってるの!!失礼な。私のどこが暴走系なの!?私は暴走してるのは亮に対してのみ!!他はほとんどバッサリ切り捨て系なの!!」

「そんなのいりません!!」


孔明は言うが、子瑜は無視して、


「だから暴走系なのは亮でしょ!!どこをどうやったら、曹孟徳そうもうとく軍の武将と一騎討ちに、蹴り飛ばしに、猪呼ばわりするの!?」


子瑜の返事に孔明は言い返す。


「兄上が姉上たちを猪娘って言ってるじゃないですか!!」

「あれは猪だよ!!どこをどうすれば、人間なの!?狂暴で突撃、一撃必殺!!じゃないか!?私なんて何度殺されかけたか!!」

「兄上、私を人身御供ひとみごくうに差し出して逃げ出してたじゃないですか!!死にかけは私の方です!!」


孔明に、しれっと、


「そうだっけ?お兄ちゃん覚えてないよ?小さかったから、亮の勘違いじゃない♪」

「私は覚えてますからね!!大体2才の頃からの、兄上や姉上たちに受けた仕打ちの数々を!!物心つく前から、耳元で『論語ろんご』に『六韜りくとう』、『孫子そんし』に『墨子ぼくし』を語り続けるというよりも、まじないのように呟く兄上。姉上たちは、歩き出した私の両手を拘束して、走り回り……死ぬかと思いましたよ!!その上、兄上は廃墟に置き去りとか、姉上たちは自分達二人でやってのけたんだから出来るわよ!!とかいって、猪に暴れ馬、暴漢退治……殺す気ですか!!」

「だって、亮。やったじゃない。全部。だから、上がっていったんだよ~難易度が!!よくやった!!さすが私の弟!!」


子瑜の珍しい程の軽口に、孔明はガウガウと噛みつくように食って掛かる。


「じゃないとご飯抜きに、水なし、その上家に帰れないじゃないですか!!」

「大丈夫。亮は私の弟!!天災の弟は変人!!」

「誰が変人ですか!!」


子瑜の嬉しそうな顔に、つい伯言は、


「子瑜どのは、孔明どのとはそんな風にお話を?」

「そうだよ。だって、からかうと面白いんだもん!!」

「兄上!!」


きっとにらむ弟に、子瑜はニコニコと、


「亮は可愛いから!!素直だし、表情豊かだし……」

「えっ!?」


子明が義兄を示す。


「え?あんまり変わらないでしょう!?」

「あぁ……そっか、二人とも琉璃りゅうりがいない時の亮見てないし、知らないんだ。琉璃の前ではニコニコデレデレだけど、亮、元々すねすね体質。負けず嫌いだし、喧嘩上等!!って言ってたでしょ?あれ本性だから」

「本性!?」


伯言と子明に平然と、


「だって、琉璃の前で、本性見せたら泣きますよ?だって若かった時代には、私の敬兄けいけい元直げんちょく兄を見下し、馬鹿にしていた塾の兄弟弟子たちをぶん殴って……数人……?もっとかなぁ、追い出したし……襄陽じょうようで、結婚前は姉上たちが暴れまわってたので、しばらく大人しくなっていたならず者があちこち悪さをするので、一人一人を殴り飛ばすのも面倒なので、ねぐらにならず者が寝てる白昼堂々と乗り込んで、壊滅しましたね……それに……琉璃の父上の護衛とか……やってましたからねぇ……いやぁ若かった!!」


然程昔でもないというのに、ずいぶん昔と言いきった孔明に、


「……い、いつ頃から……?」


伯言の恐る恐るの問いかけに、平然と、


「やんちゃ盛りの16からですよ。20になって琉璃が来てからは、う~んそうですねぇ?暴漢退治と、塾の講義に熱心に取り組まない弟弟子を殴り飛ばし……いつもお世話になっているので、義父の護衛はやってましたけど?」

「いや、変わってねぇし!!」


突っ込む子明。


「昔と最近じゃ違いますよ?昔は棒か拳か強弓ごうきゅう。今は拳にぼうげき連弩れんど!!違います!!」

「武器の話じゃねぇって……」

「え?だったら……琉璃に黙って、色んな暗器あんき(暗殺武器)を、月英げつえいきんと作って売り払ったり……他には、家の回りに外敵用の罠以外に、琉璃に内緒で、逃げたらすぐ解るように罠の数々を仕掛けておいたとか……は?駄目ですか?」


真顔の孔明に、硬直する2人。


「そっか~それもあったか!!亮、偉い!!それこそ諸葛家しょかつけの人間!!やれ!!もっとやれ!!」


あおる子瑜に、にっこりと、


「当然です!!琉璃は誰にもやりません!!琉璃を泣かせた奴等は、叩きのめすよりも潰します!!さってと、ここが済んだら、向こうに戻って、向こうを潰しにかからないと……ふふふ……待ってろ10年後!!殿に関雲長かんうんちょう季常きじょう幼常ようじょう関平かんぺいにも地獄の底の底まで見せてやる!!苦しんであがいても、笑って見下ろして諸葛家の家訓を実行してやりますよ!!兄上!!見てて下さいね!!」


楽しげに笑いながら、何を想像しているのか……子明と伯言は、絶対に諸葛家……特に孔明は敵に回すまいと誓うのだった。

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