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この美しくも過酷な世界の中で  作者: た~りぃ
第一章 幼年編
3/22

003話 ある侍女の事情

ほとんど人物紹介になってます。

私の名前はアリー。


ファーナム家に仕える侍女の一人です。ファーナム家は男爵位でこのトーラ村を中心にこの辺りの村々を治めています。

身内贔屓と言われてもしょうがないですが、他の領主様の土地よりは豊かで明るい土地だと思っております。


領主のグレン=ロジェ=ファーナム様は男爵様なのに偉ぶらず、私たち平民を大切にして下さいます。

収穫期には領主様自ら収穫を手伝って下さったり、村人に子どもが産まれれば直接お祝いのお言葉を下さったりする。

そんな領主様を嫌う村人がいるはずもなく、もちろん家人の我々からの人望も絶大です。


奥様のメヒティルト=ヘスター=ファーナム様は、その、なんといいますか、大変かわいらしい御方で、あの方が場にいらっしゃるとどんなに荒れた雰囲気でも途端に柔らかくなってしまいます。

真っ赤な御髪に、白磁の様に白く、そして柔らかな肌。

貴族の奥方にも関わらず、平民である私たちにも優しくして下さる。

あの方の方が年も身分も上なのですけれど、とっても守って差し上げたくなる、そんな御方です。


ラディス=サカリ=ファーナム様はメヒティルト様譲りの真っ赤な御髪に、グレン様譲りの黒い瞳を持つ、ファーナム家の跡取り様に御座います。

今年で5歳になりますラディス様は、大変聡明で、かつ活発な御方です。

ちょっといたずらが過ぎることもありますが、御両親と同じく、私たち家人にも大変お優しい。

きっと将来は立派な御領主様とお成りでしょう。


シルフィーナ=エリデ=ファーナム様は、もう一言で天使様です!

可愛らし過ぎて御家族様のみならず、家人の誰もがその魅力にめろめろです!

こちらもメヒティルト様譲りの、いえ、それ以上に鮮やかな紅い御髪に、ルビーの様なきれいな瞳。

真っ白ですべすべでぷにぷにな御肌なんてもう食べちゃいt…はっ、取り乱しました…。

もうシルフィーナ様が微笑まれたらその先3日間、いえ、10日間は幸せになれるでしょう!

私がシルフィーナ様付きの侍女になったとき、どれだけ喜んだか!他の家人から凄い目で見られましたけど関係ありません!不肖、私アリー!全身全霊を持ってシルフィーナ様の為に仕えましょう!


そして最後に、ファーナム家では一人の子どもを預かっております。

ウォルフ=ライガルド様。グレン様の御友人であるアッシュ=“ドラグニオス”=ライガルド様、メリッサ=“ドラグニアス”=ライガルド様御夫婦の御子息です。

正直な話、私はウォルフ様が苦手です。白銀の髪の毛に、サファイアブルーの瞳。

とてもお綺麗な御方なのですけども、ちょっと赤ん坊らしくないと言いますか、こちらを見られている時、何かじっと観察されているような、とても恐ろしい気持ちになるのです。

あの方は普通の赤ん坊とは違う。シルフィーナ様と御一緒に育てようというグレン様の御意向に反対しようとは露ほどにも思いませんが、私はとても不安になってしまうのです。



今からシルフィーナ様とウォルフ様の御様子を伺いに行くのですけれど、嬉しさ半分、怖さ半分です。


と、侍女が不安になってどうします!私の思い違いかもしれないのに、大事な御子様達に不安を与えてしまってはいけません!


気持ちを切り替えて、御二人の御部屋に入ることにします!さぁ、頑張るぞ!

読んで下さってありがとうございます。



2012/9/7修正

×アッシュ=ドラグニア=ライガルド → ○アッシュ=ドラグニオス=ライガルド

×メリッサ=ドラグニア=ライガルド → ○メリッサ=ドラグニアス=ライガルド

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