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この美しくも過酷な世界の中で  作者: た~りぃ
第二章 学術院編
18/22

017話 測定しました

軽い気持ちで始めた小説でしたが、いろんな方々に読んで頂き、様々な御指摘を頂いております。

いずれ気軽に決めていた設定等、再考の上、修正したいと思います。


今週は以前告知した通り、更新が出来ない可能性があります。ご了承下さい。


それでは魔導力測定、お楽しみください。

「それにしても、みんな同じ教室でよかったな。」


「そりゃあ、私とウォルフが同じ教室なのは当然よね。」


「どこからその自信がくるんだか。」


「私はみなさんと一緒でちょっと安心しました~。」


魔導力測定会場へとやってきたウォルフたちは、先程の教室発表や身体測定について盛り上がっていた。


教室発表とは基本クラスの編成発表の事で、そこでは所謂ホームルームが行われたり、一般教養を学ぶ。


魔導術や武術の訓練はそれぞれの力量に応じたクラスに振り分けられる為、後日振分試験が行われる。


(しかし身体測定はホントに基本的なことだけだったなぁ。)


入学式からある程度予測していたが、学術院において、前世にあった物と同じ名前を冠しているイベントは内容も概ね同じようだ。


身長、体重、座高、胸囲と制服の採寸を行ったときに行ったものに加え、視力、聴力、握力等を簡単に調べる物だった。


至って平和に何事もなく身体測定を終えた一行は、いよいよ本日のメインイベント、魔導力測定にやって来たのであった。


「しかし魔導力測定ってどうやるんだ?」


「測定器を使うとは聞いていますけど。」


「ふぅん…(なんか、俺魔導力多いみたいだし、測定器壊れたりはしないよね…?)」


ウォルフは一抹の不安を抱えながらも会場の扉を開くのであった。








―――――――――――――――


―――――――――――


―――――――








魔導力測定会場。


そこは普段は室内闘技訓練場として使われていて、石造りのその建物は内部での魔導術戦闘実習を行う為に、広く、頑丈に出来ている。


天井の高さは30m程、500m四方の室内には、普段は市街地戦を想定して建物が配置されている。


が、今は魔導力測定の為に全ての建物は撤去され、大勢の生徒と教師が集まっていた。






「しっかし今年って特に新入生が多いんだろ?全員の測定とかやってたら、時間がかかりすぎないか?」


「あぁ、それについては今年は新入生を2班にわけて、身体測定と魔導力測定を同時に行ってるみたいですよ?」


「へぇ~。それなら時間は節約できるか。でも、測定器はもつのか?普段の倍以上の生徒を測定なんかして壊れたりしないのかな。」


「最高の技術と魔導力で作られたんじゃ。1日に高々2~300人を計ったところで、壊れることはないぞ?」


ウォルフの疑問に、聞き知らぬ声が答える。


ウォルフ達が声がした方向を見ると、そこには5歳くらいだろうか。スカイブルーの髪をツインテールに結わえた少女が立っていた。


「あら、かわいい!」


「お嬢ちゃん、迷子?」


「先生のうちの誰かの子どもかしら?」


「ええい!やめんか!頭を撫でるでない!」


よってたかってその少女を可愛がるシルフィーナたちから少女が逃げ出し、抗議の声を上げる。


「しかし本当にどこから入り込んだんだ?両親はどこにいるんだい?」


「子ども扱いするでない!儂はこう見えても200歳じゃぞ!?」


「へ?」


とんでもない事を言われた気がして、思わずウォルフは間抜け顔になる。


「儂が魔導力測定器、メディシオンじゃ!普段は魔導術基礎の講師もしておるのじゃぞ!」


えっへん!と胸を張るちびっこに、一同揃って悲鳴を上げてしまった。


「「「「「えええええええええええええええっ!?」」」」」








―――――――――――――――


―――――――――――


―――――――








驚愕の自己紹介も済み、落ち着いたところでメディシオンと手を繋ぎ、魔導力の測定を開始する。


どうやら測定はそれだけで済むらしい。2班に分けているのは身体測定の器具数の問題のようだ。


「マリア=シレリー=チャンドラ。魔導力は230。優秀じゃな。鍛錬次第ではまだまだ伸びるぞ。」


「ありがとうございます!頑張ります!」


学術院に入学してくる通常の人間の平均的な魔導力は100程度と言うことなので、魔導力の素質は高いようだ。




「ふむ、ラナキュリア=アネモス。魔導力は6万3000か。さすがはエルフと言ったところかの。」


「あ、ありがとうございますぅ。」


「あ、あはは。まぁエルフだしね…」


一瞬にして自分の魔導力を遙かに超える数値をたたき出され、乾いた笑いしか出ないマリア。




「シルフィーナ=エリデ=ファーナム。ほぅ…これは…人間としては破格の魔導力じゃな!魔導力は8000じゃ!」


「うそっ!?」


「天性の才能と言うにはちょっと行き過ぎじゃの。お主、普段から相当な鍛錬を行っていないと、こうはいかんぞ?」


「ええと、それはですね…」


「まぁ、良い。今は測定をとっとと終わらせねばな。話は後ほど聞くとしよう。」


親友にもあっさり抜かれて落ち込むマリアと、「特殊な」訓練方法についてどう説明しようか悩むシルフィーナであった。




「さて、次はお主じゃの。ささ、儂と手を繋ぐのじゃ!」


「えーと…」


ウォルフが躊躇っていると、マリアが笑顔で助言してくる。


「ウォルフ君、大丈夫よ?別に痛かったりはしないから安心して。」


「いや、別にそれで躊躇ってる訳じゃないんだけど…」


目の前の少女が測定器というなら、もし壊れてしまった場合、どんな惨劇が繰り広げられるのか。


それが恐ろしくて、ウォルフは手を繋ぐことを躊躇っていたのだ。


「ほれ!なにをモタモタしているのじゃ?」


「あっ」


一瞬の隙を突いてメディシオンはウォルフの手を取った。


「よし、それでは測定を開始するぞ。」


そう言った瞬間、メディシオンの子どもっぽい雰囲気が一変し、何か物々しい雰囲気になる。




が、




「ぴぎゃあああああああああああああああああ!!」


「えっ?」


突然絶叫して、髪の毛を逆立たせて立ったまま気絶してしまったメディシオン。


周囲の生徒や教師たちも何事かと視線を集中させる。


「メディシオン先生!どうかされましたか!?」


「あばば☆♪b$*g=δばば3ば」


「メディシオン先生!?大丈夫ですか!?」


次々に教師が駆け寄ってきてメディシオンの様子を確認する。


「君!一旦手を放して!」


「は、はい」


教師に言われ、ウォルフは慌てて手を放す。




教師たちに介抱され、ようやく落ち着いたメディシオンは、何か恐ろしい物を見るような視線を向け、ウォルフに尋ねる。


「そなた、本当に人間か…?というか、人か…?」


「え、そりゃあ、人間以外になったつもりはないけど…?」


「むむむ…」


腕を組み、何やら唸りだすメディシオン。


「あの、メディシオン先生?この子が何かしたのですか?」


教師の一人がそう尋ねると、メディシオンは真剣な表情で、慎重に言葉を紡ぐ。


「いや、なんじゃ、そのだな、こやつの魔導力だが…」


「彼の魔導力は…?」


ごくり、と測定会場にいた人間はメディシオンの言葉の続きを待つ。




「儂にもわからん。」




「わかんないのに、そんなに引っ張ったの!?」


思わずずっこけてツッコミを入れるウォルフ。


「そんなもの、訳のわからんお主が悪い!」


「ええっ?僕のせい?」


「いいか、よく聞け。お主の魔導力は明らかに人の範疇から逸脱しておる。いや、もしかするとこの世界の何よりも多いかもしれん。」


その言葉に周囲の人間がどよめく。


「儂が造られてからの200年、人の範疇から超えた者は確かにいた。そやつらは後に勇者だとか大魔導術師と呼ばれるようになった。だがそやつらでも魔導力は精々10万。お主の魔導力は儂の測定量の限界値である100万を優に超えておる。」


「「「「「「は?」」」」」」


何を言っているんだ、このチビっ娘は…?という空気がその場に漂う。


「なんじゃ、お主ら!儂の言う事が信じられんと言うのか!?」


「いや、ですがメディシオン先生。100万なんて冗談としか思えないのですが…」


「儂の測定に間違いはない!それに最低でも100万じゃ!」


「うぬぬ…」


「ぐぬぬ…」


教師の間で意見がぶつかり合い、膠着状態になる。




「あのー?」


膠着した雰囲気に耐えかねたのか、ウォルフが手を挙げる。


「なんじゃ!?」「なにかね!?」


「僕の魔導力が高過ぎたとして、それが今後の学術院での生活に何か支障が出るのでしょうか?」


「「は?」」


教師二人は、質問の意味がわからないといった顔でウォルフを見る。


「いえ、自分で言うのも何ですが、僕は自分の魔導力がちょっと人並外れていることは理解しています。」


「ちょっとって次元じゃないんじゃが…?」


メディシオンの抗議は無視して、ウォルフは言葉を続ける。


「当然、この力は将来においては様々な危険を引き寄せることでしょう。ですが、この学術院での生活においては魔導力の高さというのは問題になるのでしょうか?」


「いや…ないな…。」


魔導力の高さとは、RPGゲームでいうMP(マジックポイント)の様なもので、これが高ければ高いほど、より大規模な魔導術を発現できたり、その発現回数や発現時間が増える。


学術院で魔導術の基礎や応用を教えていく上で、魔導力が低ければ、教えて使えるようになる魔導術の数や種類に制限がついてしまうが、高い分には何も問題はないのである。


そもそも魔導力の測定はあくまでも、当人の入学段階での限界値を知り、今後の講義において指導の目安にする為のものだ。


その観点から言うと、ウォルフの魔導力では、学術院の通常の講義内において限界まで魔導力を使うという事はほぼあり得ないということがわかった時点で、魔導力測定の目的は果たされているのである。


「でしょう?まぁ正確な魔導力が測定できなかったのは残念ですが、そこはいずれということで。取り敢えず、まだ測定を終えていない生徒もいますし、この後は入寮関連の行事も残っていますので、この辺にしておきませんか?」


ウォルフの言葉に反対を言う者はなく、彼らの魔導力測定はちょっとした波乱もあったが、無事に終了したのであった。

~幕間~


マリア「私、ひょっとして才能ないのかな…」


ラナキュリア「そ、そんなことないと思います!入学時に230って言ったら宮廷魔導術師を目指せますよ!」


マリア「6万3000のあなたに言われてもね…」


ラナキュリア「あうう…」


――――――――――――――――――――


マリアちゃん、自信喪失してます。


周りが化け物揃いってのも大変です。




魔導力測定だけで終わってしまいました。


中々ストーリーが進みません。。。




読んで下さってありがとうございます。

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