閑話 その時の家人達
おまけ:8~9話のアリーとセバス視点。
正直内容薄いんで書こうか結構悩みました。
短いんで2人分合わせて1話としてます。
――アリー――
私は夢を見ているのでしょうか…?
いえ、夢を見ているに違いありません!
でもどこからが夢だったのでしょうか?
私はウォルフ様をお助けして、刺されて、一回意識を失いました。
ひょっとしてそこで私は死んでしまったのでしょうか?
それとも刺されたことも夢?
目を覚ますと、目の前にはウォルフ様がいて、その向こうに大きな魔獣がいて、呆然としていたらウォルフ様に叱られてしまいました。
普段お優しいウォルフ様があんなにお怒りになってるのは初めてで、何だか色んなことを考えなきゃいけなかったはずなのに、全部忘れてしまいました。
あの大きな魔獣に体当たりをされてもウォルフ様はビクともせず、逆にウォルフ様に殴られた魔獣は放たれた矢のように飛ばされた。
魔獣が立ち上がるとウォルフ様は歩いてそちらに向かわれて、陣なしで嘘みたいな数の火球を発現しました。
結局それは全部魔獣に消されてしまいましたが。
そしたらウォルフ様はまた陣なしで、今度は爆炎球なんて大魔導術を発現したんです。
数もさっきの倍近くあって、もう見てるだけで頭がくらくらしてきそうでした。
私が爆炎球なんて導術使ったら、3発くらいで魔導力がなくなって倒れちゃいます。
流石にあれだけの数の爆炎球が命中して無事な訳もなく、魔獣はもう息も絶え絶えって感じでした。
そしたらウォルフ様の御姿が見えなくなって、ドンッて大きな音が聞こえたと思ったら、魔獣が空に浮いて、その下でウォルフ様が右手を挙げておられました。
ウォルフ様はまるで御伽噺に出てくる伝説の大魔導術師みたいで、とっても御強かった。
まるでとても遠くに行ってしまわれたようで、赤ちゃんの頃からよく知ってる御方なのに、怖くなってしまって。
でも魔獣を倒されたあと、私の方に来て下さった時の慌てた顔ったら、ウォルフ様には悪いですけど、
とってもかわいらしかったです!
――セバスチャン――
私は焦っていた。
まさか村のあんなにも近くにパウラールなんて化け物が出るなんて…!
私も王国の密偵時代に何度か目にしたことがありますが、一人で立ち向かうなんて冗談じゃない。
出来る限り近づきたくない魔獣でした。
確かに今の私はファーナム家の執事長。
シルフィーナ様を御守りするのが第一。
でも、ウォルフ様の事も赤子の頃から知っていて、自分にとっては孫の様に大事なのです。
そんな私の迷いを見透かしたかのように、ウォルフ様は私に自分の役割を思い出させました。
「ご武運を」
そんな気休めを言ってどうなるのか。あれは《貫くもの》パルラーク。
二つ名持ちの魔獣相手に5歳児一人で何ができるのか。
その場を托さねばならない自分が不甲斐無い。せめて自分にもっと力があれば…!
とにかく私にその時出来たのは、一刻も早くシルフィーナ様を御屋敷に連れ帰り、グレン様に報告をして、ウォルフ様の救出へ向かうこと。
ウォルフ様はまだ5歳であるが、その身体能力と魔導力はもう一国の騎士と遜色ないと言っても過言ではあるまい。
なれば、戦わずとも逃げ回っていれば、私が戻るまで生き永らえているかもしれない。
森の方角で火柱が上がる。
なんだ、あの火は…?
パルラークは火など使わない。まさかアリーがやったのか?
だがあの程度であの化け物が倒せるとも思えない。
頼む、二人とも、生きていてくれ。
そう願い私は全力で森へと走るのであった。
まぁ着いた時にはもう決着はついており、私はウォルフ様の評価を改めることになる。
騎士に比肩するどころか、騎士中隊よりも強いに違いない、と。
アリーは常識人なので、ウォルフの戦闘全てが夢の様に見えてしまってます。
ちなみに爆炎球は世間一般の平均的な魔導術師が使おうと思ったら一発でガス欠になりかねません。
3発撃てるアリーも十分非常識。
セバスは密偵(公務員)とか貴族の執事とかやってる割に結構人間臭いです。
本来この世界でこんな経歴持ってたら感情を持たないマシーンみたいな人間になってます。
読んで下さってありがとうございます。