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1.自重バレバレ爺さん

 私はヒメノ・イチカ・ケルシャ。村の人からはイチカと呼ばれている。トコラム村に住む普通の少女だけど前世の記憶がある転生者だ。この村で生まれて8年が経った頃、家の階段から転んでしまい気を失う。生死を彷徨っている時に前世の記憶を思い出す。


 それ以降の生活は全てが不思議に思えた。魔法はゲームや漫画、アニメでしか見たことないから目の前にあっても本当かどうか疑ってしまう。


 この世界は3つ程の大陸に分けられていて、私が住んでいるトコラム村は南の大陸「エベリコ大陸」の南西にある。


 この村は自然豊かで前世のThe田舎みたいな雰囲気がある。だけど少し困ったこともある。それは、魔物の出現だ。


 この世界に魔法が存在するなら魔物だって存在する。ゲームや漫画なら至極当然の事だ。いざ自分が戦う立場になったらどうだろうか、恐怖で足が竦んでやられてしまう。


 私も最初はVRゲームみたいな感覚で倒そうとしたけど結果は惨敗。魔法は練習していないからまともに当たらないし、MP(マジックポイント)が切れれば無防備になってしまう。


 そんな中、私を助けてくれたのがテオドロス・ケルシャまたの名をテオ爺。一応母方のお祖父ちゃんであるテオ爺は村の隅っこに住んでいる引きこもり爺さんだ。異世界だから引きこもりなんてあるもんか!って言いたいそこの諸君、異世界にも労働はあるんだよ!夢見るな!


 話しを戻すけど、テオ爺が魔物(ゴブリン)と対峙していた私を助けてくれた。けどテオ爺は御年960歳でヨボヨボで足もふらついていて、助けに来てくれたのはありがたいけど私じゃなくてテオ爺が先に倒れそうな気がした。


 テオ爺は私を抱っこして守ろうとしてくれた。それだとテオ爺が魔物の攻撃を受けてしまう恐れがあった。御年960歳のお爺さんが片手で何ができるのだろうと。魔物がテオ爺に飛び掛ってきた。


 テオ爺…逃げて!


 拳でワンパンした。魔物(ゴブリン)が跡形もなく消え去った。そばで見ていた私でもテオ爺の拳が魔物に当たった瞬間魔物が消えた様にしか見えなかった。


 そう…このテオ爺さん、最強なのである。テオ爺自身は無茶苦茶弱い爺さんですよ〜って自重アピールしてるつもりなんだけど、私含め村の人達全員が強いことを知っている。


 2年前に「風神龍ボルノハウ・メテオドラゴン」という邪龍が村にやって来た。


 この邪龍は元は天の使いだったけど自身の強さに溺れて弱い者を殺し回って悪逆非道な事をしていた。それに怒った神は天の使いという身分を消してしまう。


 だが身分が消されただけで力はそのままだった為世界を我が物にしようと蹂躙しようとしていた。そして運が悪かったのか最初のターゲットにされたのがトコラム村だった。


 村のみんなは命乞いをしたけど、当然聞き入れてくれず村を消し炭にしようとしたその時…


テオ爺「活きのいいヤモリがいたねぇ、塩焼きにしたらこれが美味いんだ。」


 この世界を蹂躙できる程の力を持つ最強の龍をヤモリ扱いされたのが嫌だった邪龍はテオ爺さんを先に業炎で焼こうとした瞬間…


テオ爺「火ぃ…付けてくれるなんて準備がえぇなぁ…」


 と言い、邪龍が炎のブレスを放つと同時に素手で魔法を掴み邪龍に向かって投げ返したのである。邪龍はありったけの力をブレスに注ぎ込んでいたのか、自身の攻撃で倒れてしまった。


 その後はテオ爺さんと村の業者によって解体されて邪龍のお肉の山パーティーが開かれることになった。


 ある時は村に冒険者協会の人達がやって来た頃の出来事。その日は冒険者協会の鑑定士の方が村の住民の職業鑑定をしてくれる日だった。


 一応適正の職業を鑑定してくれるだけで、その職業じゃなくても過ごすことはできる。私の番が巡ってきて鑑定をしてもらうと冒険者協会の人達は驚いていた。


 鑑定で出てきた職業は「勇者」だった。勇者と言えば魔王を倒した英雄の物語が有名だったが近頃魔王が復活したこともあってか、私に勇者が巡ってきたのだ。


 私はスローライフを考えていたので、気ままに冒険したいと思っていたのだけどそうもいかず冒険者協会の人達に連れて行かれそうになった所にテオ爺登場。


 テオ爺は冒険者協会の人に向って説得してくれたけど、爺さんだったこともあってテオ爺の頬を冒険者協会の人が手でビンタして転ばしてしまう。


 村の住民はそっとテオ爺と冒険者協会の人達から離れて見学体制に入る。


協会の人「この子は我が国の未来なんだ、勇者が我が国にいればどれだけの財と名誉が得られるか分からんのか…クソジジイ!」


 テオ爺はそんな事を言われても黙って協会の人に掴まれている私を助けてくれた。私を庇ったテオ爺は極刑ではないものの、冒険者から殴られたり蹴られたりした。


 私は助けたかった…歯向かうと勇者であろうが極刑になってしまう。冒険者協会にそんな権力はないはずなのに何でこんな事に。


 殴り蹴られて1時間が経過したがテオ爺さんは怪我1つも無かった。どこかぼ〜…っと見てる様な感じで暇そうにしていたのだ。


冒険者「舐めやがって!」


 冒険者が剣を取り出したその瞬間テオ爺は自身の体を何倍にも膨れ上げて筋肉の化身になった。ムキムキの体はオリハルコンよりも硬く、冒険者の鉄の剣とは天と地ほどの差がある。


 当然鉄の剣で立ち向かった冒険者は剣が折れて、折れた剣は逆に剣の持ち主の腹に直撃してダメージを受けた。


テオ爺「イチカの未来はイチカ自身で決めるんじゃ、だけどもお前が未来を決めれる権利があるならワシが君達の未来決めてもいいんじゃよ。」


 テオ爺さんがムキムキの筋肉の化身の姿で冒険者協会の偉い人の頭をナデナデしていた。テオ爺さんが試しに近くにあった岩を持ってきて親指と人差し指だけで軽く潰した。


 粉々に潰れた岩は砂利となり、冒険者協会の人達は足を震え上がらせていた。


テオ爺「これが君達の未来になる予定だけど…」


 冒険者協会の人達は逃げ出していった。テオ爺だったら追いかけて行きそうだと思ったが、筋肉を収縮させて元の姿に戻る。


 テオ爺ありがとう…と私含め村の住民がお礼をするとテオ爺は静かに手を振りながら去って行き、家に帰った。


 転生してから勇者になるってのはチートなんだろうけど、この状況では私はチート転生者では無いだろうと確信した。

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