きらきらさんとわたし
ここはくらいくらい暗いところ
どこかもわからないここにわたしはいる
前も後ろも横も下もなんにも見えない暗い場所
自分のすがたも見えない場所に、わたしはいる
音もにおいもなにもない
こんなに暗くてだれもいないのに
なぜかわたしはこわくない
今が何時かもわからない
それでもわたしに不安はない
でも、なぜか上のほうだけは気になるのだ
きょうも暗くてなにもないこの場所に
ひとりぽっちでわたしはいる
ーー
ある日、小さなキラキラが一つ降ってきた
ぽわっ
ぽわっ
降りてくる一粒のキラキラ
ゆっくり落ちる
ゆっくり降りる
ふわりと私の前にきた、一粒の光は
ちいさく羽ばたくような音がした
それはキラキラではなく”きらきらさん”だった。
「すみません
ここはいったいどこですか?
ボクは迷子になったんです」
言葉を話すキラキラに
わたしは驚き、声をあげる
「ねぇきらきらさん?
アナタはお話できるのね?
しっかりお話できるのね??」
嬉しくはずむ私の声に
きらきらさんはオドオド答えます
「はい、ボクはしっかり話せます
だからみんなのとこへ連れてって
お願いですから連れてって」
わたしはいっしょに住むおともだちができたとおもったのに
きらきらさんはどうやら違うようでした。
「きらきらさん?
あなたにはおうちがあるの?」
わたしは聞いた、うらやましそうに
いいないいなと思いながら
「ええ、あります
みんなで住んでるおうちがあります
だからぼくは帰りたいんです。」
今にも泣きだしそうなきらきらさんは
不安な声で聞きました。
「あの、ぼくはキラキラなんですか?
そんなにきらきらしてないけれど」
「そりゃそうよ
こんなに暗いとこだもの
光るあなたはきらきらさん
それにわたし、光る言葉はキラキラしか知らないの
なぜだかわからないけれど
わたしがしってるのはキラキラだけ
だからあなたはきらきらさん」
言い切るわたしにきらきらさんは
このはなしは終わりにしようといいました。
「それよりあなたのおなまえは?」
そう聞くきらきらさんにわたしは何も答えられない
「わたしは自分をしらないの
だってこんなに暗いとなんにも見えないもの」
きらきらさんは自分の光でわたしを照らそうとするけれど
これっぽちの明かりではわたしを照らすことはできなかった。
「そんなことよりあなたをおうちに送ってあげる」
その言葉にきらきらさんは喜んで
「ありがとう、ありがとう」と言いました。
お礼が嬉しいわたしは張り切ってきらきらさんを案内します
真っ暗な中を案内します、すると遠くに明かりが見えました。
「ギラギラだ、真っ暗な中にギラギラした明かりが見えますよ」
きらきらさんはそう言って嬉しそうに走っていきました。
「ねぇギラギラさん?
ぼくみたいな明かりを見ませんでしたか?」
「やめておくれ、やめとくれ
こんなところにそんな優しい明かりはないよ
もっと上に向かうのさ
うげっ! どっからそんなヤツを連れてきたんだい?
悪いことは言わない。 そんな真っ黒いヤツから逃げて
はやく上に行きなさい?」
わたしを見るなり嫌がる明かりに
むねがちょっと痛くなった気がしました。
「ギラギラさん、どうもありがとう」
きらきらさんはお礼を言うと
わたしの手をひいて歩きます
なぜだかむねがあったくなりました。
するとまた遠くに明かりが見えました。
「ピカピカだ、真っ暗な中にピカピカした明かりが見えますよ」
きらきらさんはそう言って嬉しそうに走っていきました。
「ねぇピカピカさん?
ぼくみたいな明かりを見ませんでしたか?」
「やめろ、やめろ、やめるんだ
こんなところにきみみたいなやわらかい明かりはないよ
もっともっと上に向かうんだ
うわっ! なんでそんなのを連れてきたんだ!
悪いことは言わないから。 その真っ黒いのから逃げて
もっともっと上に行ってくれ」
またわたしを見て嫌がる明かりに
むねが少し痛くなった気がしました。
「ピカピカさん、どうもありがとう」
きらきらさんはお礼を言うと
またわたしの手をひいて歩きます
なぜだかむねがさらにあったくなりました。
するとまたまた遠くに明かりが見えました。
「チラチラだ、真っ暗な中にチラチラした明かりが見えますよ」
きらきらさんはそう言って嬉しそうに走っていきました。
「ねぇチラチラさん?
ぼくみたいな明かりを見ませんでしたか?」
「やめて、やめて、やめてちょうだい
こんなところにあんたのような目にいい明かりはないわ
もっともっとも~っと上に向かうのよ
なっ! なんてヤツを連れてきたんだい!
悪いことは言わないわ。 その黒っコゲから逃げて
もっともっとも~っと上に行っとくれ」
またまたわたしを見て嫌がる明かりに
むねがけっこう痛くなった気がしました。
「チラチラさん、どうもありがとう」
きらきらさんはお礼を言うと
またまたわたしの手をひいて歩きます
なぜだかむねがかなりあったくなりました。
するとまたまた遠くに明かりが見えました。
「フワフワだ、真っ暗な中にフワフワした明かりが見えますよ
あの明かりぼくとそっくりな明かりです、きっとあそこがおうちです!」
きらきらさんはそう言って嬉しそうに走ろうとするけれど
わたしが少し止めました。
「きらきらさん? わたしはもういっしょに行けません」
「なんでいっしょに行けないのですか?」
きらきらさんはなぜかわからず聞いてきます。
「わたしはみんなに嫌われているから
もうみんなを怖がらせないように、嫌なキモチにさせないように
前のところでおとなしくしているのがいいんです」
わたしの言葉にきらきらさんは走って離れてしまいました。
やっぱりきらきらさんもわたしを嫌ってた
かなり痛くなるむねを抑えながら
涙をこらえて帰ろうとするわたしを
必死で呼びとめるこえがきこえてきました。
「どこへ行くんですか
待ってください、待ってください
あなたのおかげでみつかったんです
ぼくはおうちに帰れたんです」
大きなこえで呼びかけるきらきらさんが
わたしに飛び込んでぎゅっと抱き着いてきました。
「ありがとうございます、ありがとうございます
あなたのおかげです、ぜんぶぜんぶあなたのおかげです」
涙をながしながらお礼をいうきらきらさんに
わたしのむねははちきれそうなほどあたたかくなって
ついにキラキラと光りだしました。
今まで見てきた中で一番キラキラに光る
わたしは自分の光で自分のすがたを見て
ずっと見上げていた場所が、そこにありました
せかいを見ました、わたしのキラキラがすべてを照らして
なにもかもを見えるようにしていました。
「すごいすごい!
あなたがホンモノのキラキラさんだったんですね?」
わたしがきらきらさんと呼んでいたのは
かわいいかわいいほたるさんでした。
「ありがとう、ほたるさん
わたしはようやく気づけました
わたしはキラキラしたお星さま
これでわたしもおうちに帰れます」
わたしはキラキラと光を放ちながら
だんだん空に上がっていきます。
「こちらこそありがとうキラキラさん
あなたのおかげでぼくもおうちに帰れました
またお空から降りてきたらいっしょにあそびましょう
ぼくはずっとずっとまっています」
はじめてできたこの世でいちばんのおともだち
ぜったいにまたあそぼうと約束して
わたしはお空に昇ってく
家族に会えたわたしは
少し涙をながしました
こわくはなかったけれど
さみしさはあったみたい
「ほたるさん、どうもありがとう
光ることを忘れたわたしを
嫌いにならないでくれて、ありがとう」
わたしは心からのお礼を言うと
むねがいっぱいいっぱいあったかくなるのでした。
おわり




