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異世界消毒英雄譚~異世界でラーメンを夢見る冒険者~  作者: 作者KK
第1章 路地裏からの異世界転移
3/5

第3話 救世主あつかいとかやめろ

「救世主様!」

「癒しの御方!」

「この子を治してやってください!」


わーっと群がる村人たちに完全に取り囲まれた。

逃げ場ゼロ。俺、松下茂、登録者100万人超えの暴露系YouTuber。

……のはずが、今は異世界で「救世主」になっていた。


「いやいやいや! 俺は救世主じゃねぇって! ただのラーメン好きで、動画の編集に追われてた男だぞ!?」


必死に否定しても、誰も耳を貸さない。

むしろ誰かが「ラーメン……? なんかの呪文だろ!」って叫んで、勝手に神秘的な解釈を始める始末。


「違う違う! ただの麺だ! 小麦粉のあれだ!」


混乱の渦の中、今度はヨボヨボの老人が連れてこられた。

足は黒ずんで腫れ上がり、膿の匂いが風に乗って漂う。


「救世主様、この御方もどうか……!」


「いや、待て待て待て! 俺まだこっち来て一時間も経ってねぇんだぞ!? てかこれ医療案件だろ!?」


だが観衆の目は「やれ」一択。

俺が少しでもためらえば、「救世主なのに冷たい」と言われそうな空気。

子供まで「おねがいします……」って泣きそうな顔してる。

いや断れんだろコレ!


俺は仕方なくバッグからスプレーを取り出した。

――カチッ。


「……シュッ」


――しゅわぁぁぁ。


ただれがしゅるしゅると収まり、老人が立ち上がる。

観衆が一斉に息をのんだあと――


「救世主様ぁぁぁぁ!!」


歓声と拍手が爆発的に巻き起こった。

涙ぐむ村人、跪く者、手を合わせる者。


「いやいやいや! 俺は救世主じゃなくて、ただの潔癖ラーメン男だってぇの!」


……俺のツッコミは、やっぱり群衆の声にかき消されるのだった。

完全に救世主に固定されました。

本人がどれだけ否定しても、群衆補正は強い(笑)。

この理不尽感が茂の宿命ですね。

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