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異世界消毒英雄譚~異世界でラーメンを夢見る冒険者~  作者: 作者KK
第1章 路地裏からの異世界転移
2/6

第2話 不衛生すぎる街並み

「……はぁ、夢じゃないっぽいな」


スライムを一撃で葬ったあの消毒スプレー。まだ手に残る感触と、地面に残るスライムのドロドロ残骸が、それを証明している。

空を見上げても、雲ひとつない青。

風はやけに生々しく土の匂いを運んでくる。


――異世界。


YouTuber松下茂、潔癖気味のラーメン好き。

彼は今、どういうわけか異世界の荒野に立っていた。


「いや、異世界転移とか……俺、ラノベの読みすぎだろ……」


頭を抱えつつも、取りあえず歩き出す。

幸い、遠くに城壁が見える。人の街らしきものがあるのは救いだった。


だが、城門をくぐった瞬間。


「……くっさ!」


強烈な悪臭が鼻を突いた。

道の端には汚水の流れる溝。

市場には魚の腐った匂いが充満し、ハエがぶんぶん飛び回る。

肉を切る屋台のおっちゃんは、素手で血まみれの肉をぶん投げているし、洗う水もない。


「おいおい、これ食中毒不可避だろ……!」


さらに追い打ちをかけるように、路地裏では男が立ちション。

振り返ってニヤリと笑い、「兄ちゃんもどうだ?」とか言ってくる。


「いやいやいやいや! お前らトイレって概念ないのか!?」


街を歩くだけで、茂の潔癖心はバキバキに折られていく。


そんな中、ふと目に入ったのは、小さな屋台。

鍋から立ち上る湯気に思わず期待が走る。


「ラーメン……?」


屋台に近づくと、店主はにこやかに木の器を差し出した。

だが中身は――茶色い水に浮かぶ謎の肉片。


「……なんだこれ」

「スープだよ兄ちゃん! 今日のは新鮮だから腹もそんなに壊さねぇさ!」


「“そんなに”って言ったな今!!」


それでも空腹には勝てず、一口すすった茂。


――数分後。


「うわああああ腹がああああ!!」


街角でうずくまるYouTuber。

異世界の“食”が彼に洗礼を浴びせた瞬間であった。


だが、そんな彼に目を向ける子供の姿があった。

痩せ細った少年が、苦しそうに咳き込みながら茂を見ている。

その手足はただれて膿んでいた。


「な……なんだその感染症レベルの傷は……!」


茂は思わずバッグを開け、消毒スプレーを取り出す。

ためらいもなくシュッと吹きかけた。


「しゅわぁ……」


膿が引き、赤黒い腫れが目に見えて収まっていく。

少年は目を丸くして、「……いたくない」と呟いた。


その瞬間、周囲の人々がざわめいた。


「奇跡だ!」

「聖なる癒し手だ!」

「救世主が現れたぞ!」


「いやいやいやいや!? 俺、ただの消毒液シュッとしただけだから!!」


叫ぶ茂をよそに、彼の異世界での“伝説”が、勝手に始まってしまったのだった。

異世界の街、くさすぎました。

飯もやばいし、水もやばいし、トイレなんて存在してない。

潔癖主人公には地獄だけど、書いてるこっちは楽しいです。


次は救世主あつかいとかやめろです。

多分また汚い

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