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第16話 激戦 2

 康介達3人の眼前に迫るは、バケモノの群れ。


 おおよそ全てのバケモノが3人の存在に気づき、切り裂こうと、食い殺そうと、歩を進めている。


「なんて言うか……壮観?だな」


「わからなくはないわ。けど、なんか嫌ね」


「アレに立ち向かう俺達も、端から見たら壮観なんじゃないか?」


 翔太、氷上、康介は迫るバケモノを前にそんな会話をする。


「それは言えてるわね」


「さながら、神話の英雄ってか?」


 氷上と翔太は、康介の言葉に微笑しながら返す。


 絶望的な光景を前に、軽口を叩く3人。


 バケモノはすぐそこまで迫って来ていた。


「話しはおしまいだ」


 康介が言うと、翔太と氷上は気を引き締め、翔太は刀を、氷上は銃を構えて待ち構える。


 前衛に翔太、後衛に氷上、そして2人をフォロー出来るように康介が真ん中の布陣。


 そして、目前に迫るバケモノに氷上が銃に思いっ切り力を込め、引き金を引いた。


 巨大な氷塊が飛び出し、直撃したバケモノを押し潰す。


 それを合図に翔太が先頭にいるバケモノを刀で切り裂く。


 康介は矢を象った雷撃を降らせ、2人の取りこぼしを貫き、焼き殺す。


 ピッタリと息の合ったコンビネーションに最適な布陣。


 しかし、圧倒的な物量にはそれも余り意味を成さず、あっという間に3人はバケモノの波に呑み込まれた。







「おぉぉぉ!」


 翔太は雄叫びを上げながら刀を振るい、風の斬撃でバケモノを切り裂く。


 それをくぐり抜け、襲い掛かるバケモノは刀で切り付け、貫き、その命を絶っていく。


 不意に迫りくる鋭い爪。


 その事にギリギリで気がついた翔太は、刀でそれを受け止める。


 金属同時がぶつかったような甲高い音と共に、翔太を凄まじい衝撃が襲う。人とバケモノの力の差。それを思い知らされる思い1撃。


「――っ!」


 体を駆け抜ける衝撃に顔を歪め、吹き飛ばされそうになるのを、必死に堪える。


 何とか堪えはしたが、攻撃の止まってしまった翔太に、ここぞとばかりにバケモノが襲い掛かる。


 背後から迫るバケモノ。咄嗟に刀を片手持ちに切り替え、空いた手でソレに鎌鼬を放ち、切り裂く。

 その後すぐに、受け止めていた爪を弾くと、反す刀で切り捨てる。


 切り付け、風の斬撃を飛ばし、その反対の手では鎌鼬を起こし、竜巻を作り上げて吹き飛ばす。


 凄まじい猛攻。


 しかし、その攻撃の合間を縫うように、幾つもの爪が迫る。


 何体もの同時攻撃。


 それは捌き切れるものではなく、翔太の体を切り裂き、抉っていく。


「くっ――」


 それでも翔太は歯を食いしばり、攻撃の手を緩めないで刀を振り続ける。

 緩めたら最後、すぐにその体は無数のバケモノに引き裂かれ、噛み砕かれるだろう。


 攻撃こそ最大の防御、そう言わんばかりの勢いで繰り広げる怒涛の攻撃。


 それは着実に敵の数を減らしていく。







「クリスタルダガー!」


 氷上は氷の刃を飛ばす。それと共に右手を持つ銃を乱射し、近くの敵を氷で作り出した剣を左手に持って切り裂きく。


 銃はどこに撃っても敵に当たる状況。故に剣を振るう事に集中し、銃は適当に撃ちつづけ、合間合間に氷の刃や氷塊を飛ばし攻撃する。


 近接、中距離、遠距離をバランス良く備えた戦い方で奮戦している。


 それでも襲い掛かってくるバケモノ。


 それを氷壁で食い止め、その隙に他のバケモノを打ち倒す。

 氷剣と銃と能力を併用し、乱舞する。


 しかし剣と銃、2つの武器を使う事で注意力が散漫になり、視野が狭まる。


 意識の及ばない所からの攻撃に気づく事は出来ずに、バケモノの爪が氷上の背中を裂く。


「ぅあっ!」


 焼け付くような痛みに思わず声を上げる。


 それでも痛みを堪え、すぐに振り返りながら氷剣を振るう。 それは的確にバケモノを切り裂くが、次から次へと襲い来るバケモノに、次第に消耗していく。


 元よりいろいろな事を併用して戦っていたのだ。消耗が激しいのは当然の事。


 氷上は呼吸を荒げながら呟いた。


「冗談じゃっ、ないわよっ」


 そう言いながらも諦める事なく戦い続ける。







 康介はひたすら雷撃を放っていた。


 前後左右、縦横無尽に雷撃を走らせる。


 それは謂わば広範囲攻撃。


 バケモノを寄せ付けずに戦っている。しかし広範囲の攻撃故に威力は高くなく、バケモノを仕留めきる事が出来ない。


 何故いつものような雷撃を使わないのか――それには理由がある。

 康介は武器を持っていない。そして能力は雷で、物体ではない。

 つまり、近づかれた時に防御する術がないのだ。

 相手が単体ならば躱す事が出来るが、今は無数のバケモノに囲まれている。この状況で、全ての攻撃を躱すのは不可能。

 その為、今の戦い方をするしかないのだ。


 仕留めきる事が出来ない――言ってしまえばそれはただの足止めに過ぎない。

 しかし、康介を取り囲む全てのバケモノを足止めすることなど出来ない。

 必然的に近づき、襲い掛かって来るバケモノもいる。


 それらには、雷球をぶつけて葬り去るが、広範囲の雷撃に加えての雷球の操作。

 広範囲攻撃だけでも消耗が激しいにも関わらず、雷球まで使用している康介の疲労は計り知れない。


 雷撃の威力は落ち、操る雷球の数は徐々に少なく、操作も荒くなっていく。


 康介は口には出さないが、その表情には、疲労の色が濃く浮かんでいる。

 しかし、その瞳には依然として強い光を灯したまま、死力を尽くす。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「凄い……」


 結界内で繰り広げられる康介達3人の戦いに折田は感嘆の声を漏らす。


 いや、折田だけではない。佐藤も、他の生徒も、教師ですら感嘆していた。


 そこにいる誰もが康介達を、食い入るように見続けている。

 その視線の先で繰り広げている激戦――いや、超越的とも言える戦い。


 果してこの中に、康介達程の戦いが出来る者が、何人いるだろうか。


 否、誰もいないだろう。


 その戦いを見ている誰もが思った。


 ――自分とは次元が違う、と。


 結界内部で戦う3人は、まさに英雄と呼ぶに相応しい実力を見せている。


 その光景は、ある種の芸術。

 お伽話の1ページを切り抜いたようだ。


 皆がそれに瞬きを忘れ、固唾を飲んで魅入っている。


 しかし、そんな圧倒的な力を見せる3人も、圧倒的な数の暴力を前に押され始める。


 いや、最初から押してなど――拮抗すらしていなかったが、3人の戦いぶりに皆は錯覚していた。


 だがそれも衰え始め、目に見えて手数が減り、負う傷も増していく。


「――っ!」


 その光景に折田は唇を噛み締め、結界の境目に歩き始める。


「翼!どこ行くの!?」


 それに気づいた佐藤が慌てて声を掛けると、折田は決意の篭った表情で振り返る。


「決まってるでしょ。――康介達を助けに行く。

俺の能力なら中に入れるからね」


 折田の能力は転移、それなら確かに入る事は出来る。


 折田の言葉に、何人かの生徒が決起したように声を上げだした。


「俺も行く!」

「私も連れていって!」

「3人を助けるんだ!」


 そう口にしながら、数名が折田に駆け寄る。


「皆……。ありがとう。

行こう!」


 折田は転移しようとする。


 しかしその行動は佐藤に阻まれた。


「ダメ!翼の能力は戦闘向きじゃないでしょ!行って何が出来るのよ!?」


「じゃあ見捨てるって言うの!?そんな事、俺には出来ない!」


 折田は佐藤に反論し、再び向かおうとする。


 しかし、その前に数名の教師が立ちはだかる。


「駄目だ。お前達を中に入れる訳には行かない。何も出来ずに悔しいのはわかる――私達もそうだからな。

しかし、中に行ってもあいつらの気を削ぎ、邪魔になるだけだ」


「そして、生徒を死地に向かわせる事は出来ない。

軍の救援が来るのを待つしかないんだ」


 2人の教師が言う。


 正論だ。折田達が行っても邪魔になるだけ、そうならなくても、生きて戻って来れないだろう。


「くそ……くそっ!」


 折田は結界を殴りつける。何も出来ない自分を悔やむように、何度も何度も。


 皆も、教師も不甲斐ない自分を責めるような表情を浮かべている。


 そんな時、佐藤が呟いた。


「―――れ」


 小さくて聞こえないが、何度も繰り返し言っている。


 その声は次第に大きくなって行く。


「――ばれ、がんばれ、頑張れ!負けないで!!」


 喉が張り裂けんばかりの大声で叫ぶ。

 それは声援。結界の境目まで駆けて行き、言い続ける。


「負けないで!頑張って!」


 次第に皆も声援を送り出す。


 ――負けるな

 ――頑張れ

 ――諦めないで


 皆がそれぞれの想いを叫びだす。


 それぞれ言葉は違えど、望む事は同じ。


 それは、康介達3人が生きて帰って来ること。


 それは、辺り1帯に轟く大声援となった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 康介達3人は、1ヶ所に集まり、戦っていた。


 3人は無意識のうちに互いを探し合い、近づいていたのだ。


 3人は背中を預け合いながらバケモノを打ち倒す。

 康介に攻撃が迫れば氷上がそれを防御し、その氷上が狙われれば翔太がそれを切り裂き、翔太にバケモノが襲い掛かると康介が雷撃で打ち払う。


 互いが互いを助け合う。


 そうしなければ戦えない。


 3人は疲弊仕切っていた。数え切れない打撲、数え切れない裂傷。無事な所を探すのが難しい程に満身創痍だ。


 全身から血が流れ、動く度にそれが汗と共に飛び散る。


 体を襲う喪失感。最初のキレのあった動きは、今や見る影もない。


 しかし、眼光だけは3人共に衰えてはいない。

 心は今だに折れていない。


 生きてると言う強い意思が心を支え、重い体を突き動かす。


 翔太は懸命に刀を振る。


 氷上は氷剣と銃で乱舞する。


 康介は必死に雷撃を放つ。


 だか、その間にも3人の傷は増えていく。


 そして悲痛な悲鳴が響いた。


「あぁっ!ぅっあぁ――」


 それは氷上の声。


 康介と翔太が慌ててその方向を見ると、そこには肩を噛み付かれている氷上の姿があった。


 鋭い爪が深く食い込み、余りの激痛に顔を歪めている。


「彩香!!」


 翔太は即座に風の斬撃を飛ばし、そのバケモノを切り裂く。


 バケモノから解放された氷上は、力無く地面に膝を落とし、肩を抑えながら歯を食いしばっている。その表情に生気は薄く、目は虚ろになっていた。


 康介は叫ぶ。


「おぉぉぉぉ!」


 怒号のような声と同時に、周囲を雷撃が埋め尽くし、近くのバケモノを葬り去る。


 するとバケモノは警戒したかのように動きを止めた。


 その隙に翔太と康介は氷上に駆け寄っていく。


「彩香!」

「氷上!大丈夫か!?」


 氷上は2人の声に反応し、ふらつきながらも立ち上がった。


「大丈夫……大丈夫よ。

まだ戦えるわ」


「彩香……」


 氷上は明らかに限界だ。いや、限界を超えている。

 それでも戦うと言った氷上に翔太は悲痛な表情を浮かべる。


 だが、限界なのは氷上だけではない。翔太も康介も、共に限界だろう。


 3人は、気力だけで立っている。


 そんな時、不意に声が聴こえた。


「氷上、翔太。見てみろよ」


 康介が指を刺す。


 その先には、必死に叫んでいる皆の姿。


 ――頑張れ


 そう聴こえた。結界越しで声は希薄だが、確かに3人の耳に届いた。


「ふふっ、不思議ね。何だか体が軽くなったわ」


 氷上の表情に生気が戻る。


「はははっ、声援の力だな。俺もまだいける気がしてきた」


 翔太が笑みを浮かべる。


「そうだな。しかし、ここに来て頑張れとは酷な注文だな。

けど、その声援には応えるしかないだろ」


 康介の瞳に強い光が灯る。


「これでバケモノを全滅させたら私達、危険生物から街を守ったって表彰されるかしら?」


「街の英雄になれるな!」


「むしろ報奨金が出るかも知れないぞ?」


 それはまるで日常会話。笑みを浮かべながら話しをしている。


「なんにせよ、この場を切り抜けなきゃね」


「ちょっとしんどいな」


 氷上と翔太は辺りを見回す。さっきまでの戦闘で数は減ったが、今だバケモノは100近く残っている。しかもその半数は固い外皮のバケモノ。


 今は幸いにも、警戒して襲い掛かっては来ていないが、ジリジリと近寄って来ている。


 少し元気が戻ったとは言え、この状況に打つ手はない。


 そこに、康介が口を開く。


「2人に頼みがある」


「ん?」

「なに?」


「少しでいい、時間を稼いでくれ」


「……何か手があるんだな?」


「ああ」


 翔太の問い掛けに、康介が力強く答える。


「決まりね。私は全力で康介君を護るわ」


「俺もだ。康介にバケモノは近づけさせない」


 心強い言葉。氷上と翔太の目には希望が映っていた。


 ――康介ならやってくれる


 2人はそう信じている。


「ありがとう。

それじゃあ、始めるぞ」


 康介はそう言うと、集中するために目を閉じた。


 そして言葉を紡ぎだす。


「――――――」


 それは小声で聞き取る事は出来ないが、非常に長い言葉。


 そして康介から電気が迸り始めた。


 バケモノはそれに反応し、動きだす。







 氷上はバケモノの前に立ち塞がる。


 力を振り絞り、巨大な氷の弾丸を撃ちだし、氷柱の雨を降らせる。


 康介からバケモノの注意を逸らす為に、無理をして大柄な攻撃を仕掛ける。


「ここから先は、絶対に通さない!」


 叫びながら氷剣でバケモノを切り裂く。


 回り込まれないように果敢に走りながら銃を乱射し、固い外皮を持つバケモノには、爪で裂かれようとも近づき同じ場所に連続で撃ち込む。


 外皮が割れた所で氷剣を突き刺し、切り捨てる。


 康介に襲い掛かろうとするバケモノを見つければ、その間に割って入って、身を呈して護り抜く。


 腕はあらぬ方向に曲がり、足は裂かれ、動いているのが不思議なくらいの状態。


 いつ死んでもおかしくない出血量。


 それでも氷上は体を引きずりながらも、康介を護り続ける。


 まだ希望は潰えていないと、自身を奮い立たせながらバケモノを潰し、貫き、切り捨てる。






 翔太は叫び、刀を振るう。


「ぅおぉぉぉ!」


 放たれる巨大な風の斬撃。


 それは眼前のバケモノを纏めて切り裂く。が、固い外皮でそれを弾くのもいる。


 それに翔太は接近すると、口の中に鎌鼬を放って内部から切り刻む。

 有効な方法だが、それは1体に集中しないと出来ない攻撃。


 当然の如く、負う傷は増える。


 しかしそんなのは気にしないかのようにそれを繰り返す。


 康介にバケモノが迫れば、自分の防御を捨て、竜巻を放ってそのバケモノを吹き飛ばす。


「康介は絶対護る!」


 声を張り上げ、刀で1体、また1体と切り裂いていく。


 肩を爪が貫き、脇腹に噛み付かれて肉を抉られ、突進を喰らい吹き飛ばされて吐血しようとも、何度でも立ち上がる。


 風の斬撃、鎌鼬、竜巻、自身の持つ全ての手段を駆使し、バケモノを打ち倒す。


 翔太の体は全身赤に染まっている。通った場所に血の軌跡を残し、飛びそうになる意識を必死に繋ぎ止めて、バケモノと相対する。


 康介を信じて戦い続ける。







 氷上と翔太が時間稼ぎを始めて、まだ数十秒。


 しかし2人には、とても長く感じられるだろう。


 1分、10分、1時間、もっと長く感じているかもしれない。


 それ程までに苛酷で、激しい戦いを繰り広げている。


 2人共、限界など既に超えているだろう。

 そんな2人を突き動かすのは康介の存在。

 康介ならきっと――そう思い求められた時間を稼いでいる。

 その康介は、今だに何かを呟き続けているが、迸る電気は攻撃に使えるくらいに凄まじい物になっていた。

 しかし、それでも完成ではない。


 翔太と氷上は、康介から溢れ出る力を背中に感じ、それを励みに戦い続ける。


 が、2人は本当の限界を迎えたように、急激に動きが鈍くなる。


 翔太は刀を落とし、氷上も氷剣を維持できなくなり、銃から弾丸も出せなくなった。


 2人はそれでも諦めず、己の体のみで戦おうとする。


 その時、待ちに待った康介の声が響く。


「2人共、ありがとう。下がってくれ!」


 それと同時に翔太と氷上は、康介の場所まで戻る。


「終わりにしよう」


 そう言うと康介は最後の言葉を口にする。


「全てを穿て!断罪のいかずち!ジャッジメント!」


 それと同時に上空から、幾重にも束ねられた巨大な稲妻が降り注ぐ。

 それは数え切れない程の数。

 稲妻は次々とバケモノを穿ち、焼き払い、消し炭に変えていく。


 直撃しなかったバケモノも、地面を這うような稲妻に巻き込まれ、命を奪われていく。


 圧倒的な力の奔流が、バケモノを嘲笑うかのように蹂躙する。






 稲妻が収まり、煙りが晴れると、そこには康介達3人だけが立っていた。


 しかし3人も、糸が切れたように崩れ落ちる。


 地面に身を投げ出しながら康介が口を開く。


「氷上、翔太、大丈夫か?」


「全身の感覚がないわ」


「同じく。あんまり大丈夫じゃない」


 全員意識はあるようだ。しかし生きているのが不思議な程の傷と出血をしている。


「終わった……のよね?」


「ああ。終わりだ」


 氷上の問いに康介は答え、続けて話す。


「2人のおかげだ。氷上、ありがとう」


「助け合い――でしょ?」


 氷上は悪戯っぽく答える。


「翔太、ありがとう」


「気にすんな、3人の力だよ」


 そう話すと3人は、そのままの体勢で拳をぶつけ合う。


 すると、学校を覆っていた結界が消え、大歓声が響き渡る。

 皆が康介達の勝利に、いや、康介達が生きている事に歓喜している。


「はは――凄い歓声だな」


「そうね、これからは人気者かしら」



「それは勘弁。俺は目立ちたくない」


「康介君、それはもう無理よ」


「……だよな」


 呆れたように言う氷上に、康介はうなだれながらそう言う。

 この期に及んで、目立ちたくないなど、到底無理な話しだ。

 康介はその事に落胆する。


「「ぷっ、はははは!」」


 そんな康介に、氷上と翔太は2人揃って笑いだした。


「笑うなよ」


 康介はそう言うが、その顔は2人に吊られて満面の笑みを浮かべていた。

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