転生、蠱毒の儀式
40年間、彼女なし。
一度も働いたことはなく、親に感謝の言葉をかけたこともない。
趣味は酒とギャンブル。
底辺大学をどうにか卒業した後は、ずっと引きこもり生活──。
たけしは今日もまた、暗い部屋でゲーム三昧の日々を送っていた。
だが、その日──
ついに限界を迎えた親は決断した。
「こんなどうしようもない屑を、この世界に置いてはいけない」
そうして家ごと爆破。
たけしは何の抵抗もできぬまま、粉々になって死亡した。
残されたのは、肉片さえも鳥の餌となった無惨な亡骸。
親以外に、彼の存在を覚えている者は誰ひとりとしていなかった。
哀れで、惨めで、救いようのない人生だった。
しかし──
そんな哀れな存在は、別の世界で「プレイヤー」として蘇る。
そこは、勝てば現世に帰還できるが、負ければ永遠の地獄に堕ちるという
過酷なサバイバルゲームの世界だった。
果たして、たけしの運命は──。
たけし「……今日も一日、頑張るか」
親のすねをかじり続けて二十年。
働くことも学ぶこともせず、ただ惰性で生きる男、たけし。
彼は、言うまでもなくクズだった。
親の財力に守られて生きてきたが、感謝の心はかけらもない。親が死ねば生活保護に頼り、国の世話になることを当然と考えている。
過去に痴漢、万引き、暴行──数々の犯罪を犯してきたが、それも親が金と権力で揉み消した。
しかし彼は、その事実を自覚すらせず、むしろ当然だと信じていた。
たけし「あー……なんで死ぬんだよ、このクソゲー。コントローラーがバグってるんじゃねぇのか?」
イライラした声が部屋に響き渡る。
コントローラーは宙を舞い、壁に激突した。薄汚れた壁には、すでに無数の穴が空いていた。
たけし「……飯でも食うか。おい、ババア! 飯を用意しろ!」
普段通りの横柄な声。しかし、返事はなかった。
たけし「……なんだよ。使えねぇな。おい、聞いてんのか!」
苛立ちが頂点に達し、勢いよく扉を開ける。
次の瞬間──
甲高い電子音が鳴り響き、目の前が白く弾けた。
母が仕掛けた起爆装置が作動したのだ。
爆炎が部屋を飲み込み、たけしの体は粉々に吹き飛ばされた。
肉片すら残らなかった。
そして彼には、友人も、愛する人も、誰一人いなかった。
その死を悼む者は、親以外に誰もいなかった。
──しかし、意識はまだ消えていなかった。
たけし「……ここは、どこだ……?」
??「ここまで淀みきった魂は久しい」
声のする方に目を向ける。そこには、静かに佇むひとりの神がいた。
たけし「おい……てめぇ、誰だ。さっさと家に帰せ……! もちろん送料はお前持ちな。それに、今までの被害の慰謝料として一千万用意しろ」
神「なるほど……」
神の目が、憐れみとも侮蔑ともつかぬ光を宿した。
「強者には媚びへつらい、弱者には傲慢……。お前は人としての尊厳だけでなく、魂の形すら歪めてしまったのだな」
次の瞬間、神の体が巨人のように膨れ上がり、一撃がたけしを遥か遠くへ吹き飛ばした。
たけし「……な、なんだ、こいつは……」
地面に叩きつけられた衝撃で、口から血があふれる。
たけし「ご、ごめんなさい……許してください……!」
神「謝罪か。それは本心か?」
たけし「本当だ……返してくれ、俺の人生を……」
神「ならば、罰を受けよ」
時間の感覚が失われる。
何日、何十日が過ぎたのか。
殴打、拷問、飢餓……身体は崩れ、やがて動かなくなった。
神「そろそろいいだろう」
たけし「……」
神「お前には、別の世界でやり直す機会を与えよう」
たけし「せ……かい?」
神「その世界は“なんJ”。お前のようなネットの最下層で燻る亡者たちが、その魂の優劣を競い合う、言葉の闘技場だ」
神は続ける。
「そこでは暴力も権力も意味をなさぬ。お前は、その腐りきった魂で磨き上げた、言葉と悪意だけで戦わねばならない。その腐臭に満ちた魂は、あるいは同類の悪意を嗅ぎ分けるのに役立つやもしれんな」
神「そして、お前には新しい名を与える──タスマニアたけしだ」
「生き延びられるかは、お前次第だ。勝っても地獄、負けても地獄……せいぜい足掻くがいい」
神が手をかざすと、たけしの足元が崩れ落ちた。
彼は闇に呑まれ、新たな世界へと投げ込まれていった。
彼は地獄の巣窟で、果たして贖罪を果たせるのか──。
たけし 身長175cm 体重100kg 部活に入ったことはない。たまに弱いやつを恐喝して金をむしり取ったり、パシリにしたことはある。ただ自分より強いやつにはとにかくへこへこするなさけないやつだ。
神 身長120cm 体重40kg 戦闘時身長???m 体重??t