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~絶望の先に~

【修正版】

 

 ***


 ふと気付けば、知らない家屋の中に立っていた。

 家具や部屋の造りに見覚えがない。

 柱や壁からして、そこまで築年数が経っている様子はないのに、どこか懐かしい気持ちにさせられる。

 どの部屋も清潔に保たれて、窓が多く風通しが良い。

 外に視線を向けると、何処かの小さな集落のようだったが、誰も外を出歩いていない。

 瞬間、ここは現実の世界ではないと理解した。

 だが、夢にしては不可解な点が多い。

 見たことも無い景色なのに、ハッキリ見えるのは変だ。

 仮に幼い頃に見て、今は忘れていたとしても、それなら開かずの部屋で目にしたような白い霧に包まれて、視界が遮られる筈だ。


「ここ……? 」


 不意に誰かに呼ばれた気がして、表に出る。

 木造の門や塀は、塗装もされていなかった。

 後ろを振り返ると、家屋の外観も木材が剥き出しで、全体的に少し変わった形の造りをしていた。

 どんなに古い木造建てでも、最低限の防水加工が施されている筈なのに、そんな処理がされている様子もない。

 不思議に思いながら前を向いて、塀の外に出る。


「マゼラン……? 」


 広い畑の前に設置された丸太のベンチに、誰かがこちらに背を向けた状態で腰掛けていた。

 黒髪でマゼランだと思い、警戒すること無くベンチの正面に回る。

 しかし、座っていた男性はマゼランにそっくりだったが、開かずの部屋で見る彼とは違った風貌に首を傾げた。

 いつも着ている、一昔前の古いデザインの服と違って、ベンチに座る男性は服というより、布を紐で巻いただけの不思議な格好をしていた。


「こんにちわ。小さなお嬢さん」

「ぁ……」


 声や顔立ちはマゼランにそっくりなのに、柔らかな笑みと話し方で、すぐに別人だと察した。

 話しかけた手前、そのまま離れるのは気が引けたので、緊張した面持ちで自己紹介をする。


「お初にお目に掛かります。オルカ・マゼランと申します」

「初めまして。マゼラン・ブラウン改め、マゼラン・マゼランだ。会えて嬉しいよ」

「まさか……初代当主様、ご本人でしょうか……? 」

「ふふふ、そうだね。色んな話をしたいところだけど……生憎、君がこの空間に留まれる時間はそう長くない」

「え!? ここは……夢の中じゃないんですか? 」

「半分正解で半分不正解かな。そうだねぇ……死者の世界の入り口みたいな場所だと思ってくれれば良いよ」


 この空間に来る直前の出来事を思い出しながら、すぐに消極的な結論を受け入れた。

 自分の命が尽きた可能性があるのに、驚くほど何の感情も湧かない。

 消える灯火よりも、目の前の人物が気になった。

 謎かけのような話し方をする初代当主は、話し方や雰囲気が落ち着いている所為か、いつも夢で会うマゼランと全然違って見える。

 仕草がしなやかなだからか、上品で凄く綺麗だ。

 促されるまま、初代当主の隣に腰掛けた。

 彼は、私が正しい歴史について知識を持っていることや、現実の出来事を全て知っていた。


「丁度良い機会だったから、健気で我慢強い頑張り屋さんな君に、ご褒美をあげようと思って呼んだんだ」

「ご褒美……? 」

「知りたかったことを教えてあげよう。まず、君を未来から過去に戻したのは、僕なのさ」

「え!? え……でも、マゼランは知らないって……あ、いえ、いつも夢に出てくれた方で……」

「ふふ、紛らわしいから、アレの事は核とでも呼ぼうか」

「核……? 」


 初代当主は、マゼラン家の人々をこの不思議な場所から一人一人見守ってくれているようだ。

 しかし、核と違って生きている内は、基本的には出会えない存在だった。


「僕は本来、生者に関わらないようにしてたんだけどね。未来で君が衰弱死した際、ケイプ家の資料と各地の伝承を元に、君の大嫌いな若きドラゴンが僕にどうにか接触して、君を蘇らせるよう頼んできたんだ」

「え!? 」

「気分の良い理由ではないから敢えて伏せるよ。ただ、死者を蘇らせるなんて本来は出来ない。そもそも関与するつもりもなかった。不公平になっちゃうからね」

「そう、ですね……」

「彼の糧の一部を貰うことを条件に、ダメ元で魔力を注いだら、意図せず君は過去に戻ったという流れさ。核との記憶に差が出たのは、恐らくその辺の副作用だろうね。如何せん、時間を巻き戻したのは初めてだったんだ」

「そうだったんですね……ありがとうございました……」

「いいえ。人間の面白いところはさ、魔力を持ってないし腕力もたかが知れてるし、寿命も特別に長いわけじゃないけど、適応能力はどの種族と比較しても、群を抜いて非常に優れているところだね。コロコロ変わる感情も見ていて面白いし、愚かで賢い」

「そ、そう……かも、しれませんね……」

「ふふふ、自暴自棄になって絶命した僕が言えた立場じゃないけど、命を大切にね」

「は、はい……すみません」


 全てを知る初代当主は、きっと代償を理解した上で、魔力を使用し過ぎた事を指摘してるのだろう。

 謝罪の言葉が咄嗟に出たが、また同じ状況に直面しても、同じ選択を選ぶ自信がある。

 反省はしてるけど、後悔はしてない。

 自分勝手だとは思うけれど、起きてレイキッド様が居ないなら死者の世界の入り口に留まりたいとさえ思えた。

 そうすれば再婚約や殿下のこと。

 お父様のことでこれ以上、頭を悩ます必要もない。

 ……もう、解放されたかった。

 そんな私の考えを見透かしたのか。

 初代当主は小さく笑うだけで、話題をすぐ変えた。


「僕は、普通の魔族じゃないんだ」

「え? 」

「別世界かと思うくらい、昔と現代は全然違う」


 創生期時代の人々は、不安定な世の中で心の拠り所として、目に見えない物を崇拝する傾向が強かった。

 干ばつに見舞われれば雨乞いの儀式を行い、不漁が続けば川や海に祈りを捧げ、山で事故が相次げば山を祭る。

 儀式や祭りの方法も地域によって様々で、和やかなものから、人間を生贄にする残酷なものまで数多く存在した。

 これは歴史の授業で少し習ったことがあって、今でも各地域ではその名残や風習、建造物が残されている。

 ただ実際、どこまで本当かは誰にも分からない。


「恐らく現在にはもう残ってないだろうけど、植物や岩のように意思を持たない物にも、不思議な力が宿る事があってね。単純に異種族が多くて、影響を受けたんだ」

「そんなことがあるんですね」

「父さんは、新鮮な血肉と雑穀を使用する妙な儀式を聞きつけて、自分達の娘の為に僕を作ったみたいなんだ」

「え、赤ん坊の時に発見されたんじゃ……? 」

「うん。表向きはそうなってるけど、本当は声帯に障害を持って生まれた娘の婿を探す為だった。核が記憶違いをした理由は、僕が死んでから生まれる前の記憶を取り戻したからなんだ」

「……」

「愛情深く育ててくれたおかげで、無い筈の感情が芽生えて、人間と同じように喜怒哀楽を感じた。良いことも沢山あったけど、最後は自暴自棄になる情けない結果になって、少し複雑だね」

「情けないだなんて、そんな……」

「おや、もう帰る時間だね」

「え!? 」


 初代当主の言葉で、自分の身体がいつの間にか段々と透けていくことに気付く。

 元の世界に戻りたくはなかった。

 このまま、のどかな場所に留まりたかった。


「ここに居ては、ダメですか? 」

「そうだね。君がここに留まるには、引き止める手が多すぎて無理だろうね」

「……? そう、ですか……ありがとうございました……」

「どういたしまして。こちらこそ、モーモの力が宿った子を助けてくれてありがとう。彼は無事に息を吹き返したから、安心してお戻り」

「え!? もしかして……レイキッド様のことですか? 」

「うん、そうだよ。よく頑張ったね。ああ、それと……マシューをどうか恨まないでやっておくれ」

「え? 」

「あの坊やも沢山苦しんできたんだ。怒るのも無理はないけど、あの子は器用なくせに不器用なんだ」

「でも……ーー……」


 話している途中で声が出なくなり、初代当主に温かい笑みを向けられながら、私の意識はそこで途絶えた。


 ***







「オルカちゃん!? 良かった! 目が覚めたのね! 」


 次に目を覚ました場所は、ベッドの上だった。

 以前、伯爵邸に滞在した際に借りていた部屋で、私は四日間も眠っていたようだ。

 ミルドッド夫人が目に涙を浮かべながら部屋を出て行った後、すぐに他の人を呼んで戻って来る。

 その中に、元気そうな姿のレイキッド様も居た。


「オルカ嬢! 良かった! ビックリしたんだぞ! 何であんな無茶……ちょわっ!? 」

「ゲホッ……きっ傷……ぅごほ……なんっ」

「ちょちょちょっ!? 起きて早々何すんだよっ!? 」


 ベッドのすぐ傍まで来たレイキッド様のシャツを、躊躇なく捲し上げる。

 驚いて一度は逃げられてしまったが、咳込みながら傷を見たいと言えば、大人しく胸元見せてくれた。

 そこには包帯も無く、とても四日前に負った傷とは思えない程、綺麗に完治して痕も薄い。

 初代当主は、死者を蘇らせる事は出来ないと断言していたけれど、息絶えて間もなかったから、ギリギリ間に合ったということだろうか。

 安心した途端に今度は涙が込み上げて、目元を擦る。

 無性に腹立たしくなって、慌てたレイキッド様の胸を両手でドンドンと殴った。


「ちょっ何……いてぇって、何で怒ってんだよ? 」

「うぅぅげほげほっしっ死んだかと……げほっ」

「そりゃこっちの台詞だっつの! すげぇ吐血してビックリしたっつーか……ちょっ! いてぇって」

「ごほっ何で殿下っ……ごほっ……挑発っ……げほげほっ」

「わ、わかった……ごめんって。あん時に挑発したのは確かにマズかったって思ってっから」

「げほっごほごほっ」

「ごめんってば、本当にごめん! ほら、まだ安静にしてろって! 水飲めよ」


 一頻り泣いて休んだ後、頃合いを見て伯爵家と公爵家が再び部屋にやってきた。

 乾燥していた喉も潤って、呼吸も安定して涙も止まったけれど、代わりに醜態を晒した事への後悔で恥ずかしくなり、逃げ出したくなる。

 濡れタオルで目元を冷やしながら、羞恥心で顔を上げられずにいると、ミルドッド夫人に抱きしめられた。


「その、恥ずかしい姿をお見せしてすみま……」

「良かったっ! 本当に本当に心配したんだからっ! 」

「わっ!?あ、すみません……」

「四日間も目が覚めなかったのよっ!? それまでも十分、身体がやせ細ってて、もうダメじゃないかって皆で心配したんだからっ! 」


 今度は夫人が本格的に泣き出してしまい、傍らに立っていた伯爵も、目元がパンパンに腫れていた。

 よく見れば使用人達も目を腫らしていて、診察に来た主治医まで鼻声で薬を処方してくれる。

 泣きながら診察をしてくれる姿を目の当たりにすると、心配を掛けた罪悪感が倍増して、居た堪れなくなる。

 自分だってレイキッド様を怒る資格はないんだ。

 心配をかけたことへの謝罪と、事件に気付いてくれた事やその後の対応についても感謝を述べる。

 伯爵夫妻はソファーに座り、目元をタオルで冷やしていた。

 不謹慎だとは思いつつ、その光景を見ているだけで不思議と笑みが零れる。

 静かになったところで、今度は公爵夫妻が傍に来た。


「レイキッドを助けてくれて本当にありがとう。この子の母として、心から感謝するわ」

「馬鹿息子を救ってくれて、本当に感謝する。今後、何か困ったことがあれば、いつでもローウェンス家は全面的に令嬢に協力する」

「い、いいえ! 私も……レイキッド様にいつも助けて頂いてましたから、お互い様です」


 レイキッド様と公爵夫妻は、改めて感謝しながら頭を下げていたが、慌てて顔をあげるよう声を掛ける。


「今回の事で、第一皇子との婚約は解消されたからそこは心配するな。再婚約の話しも一旦は保留になってる」

「そうですか……」

「第一皇子は裁判が終わるまで幽閉されてるから、こっちに来る心配もない。ただ問題は……マゼラン当主が皇帝陛下を本気で怒らせちまってな……」

「新聞で読みました。逆鱗に触れたと書かれていましたが、侯爵様は何をしたんですか? 」


 公爵が複雑な表情で、言いにくそうに頭を掻く。

 嫌な予感がして眉間に皺を寄せると、公爵夫人が代わりに初めから経緯を話してくれた。

 拉致事件が起きた当初は、エイリーンの書置きを信じて、お父様は捜索隊を要請しなかった。

 しかし、私と連絡が付かなくなってから三日後。

 伯爵夫妻が異変に気付いて、公爵夫妻と一緒に調査したところで、事件が発覚。

 正式に捜索隊を要請するとなれば、必然的に両陛下にも知られてしまい、事件と合わせて近衛兵が以前と変わらず、マゼラン邸に通っていた事を言及されたようだ。


「ゴーレムを門番の横に立たせていたんですって? マゼラン侯爵令嬢が拉致被害に遭ってからも、マゼラン侯爵が変わらず同じ対応を行っていたそうよ」

「それはマズイですね。よりによって、皇族の為の兵になんてことを……」

「故意ではないのだろうけど、特別な訓練を受けたゴーレムを、結果的に私的に利用したのはマズイわ」

「そうですね……仮にエイリーンの書置きが本当だったとしても、両陛下に一報をいれるべきなのに、どうしてそんな初歩的なミスをしたのかな……」

「以前、マゼラン侯爵がネッサ達に無礼を働いたんでしょ? 同時に発覚したから余計に怒りを買ったのね」


 そんな問題が重なっているお父様は現在、マゼラン邸で昏睡状態に陥ってしまっていた。

 魔力を使用し過ぎて倒れた私を、親族と一緒に治療した所為で、全員で寝込んでいる状態のようだ。

 殿下との婚約が解消された事や、理不尽な報復を受ける心配が無くなったのは本当に嬉しい。

 けど、新たに直面している問題も中々に面倒で厄介だ。

 一歩間違えれば、後々動きづらくなるだろう。


「混乱が領地に広がる前に手を打ちたいので、侯爵様が目覚めるまでは臨時でマゼラン家の当主代理と、ケイプ家の問題について私が引き継ぎます。謝罪も兼ねて報告する為に、近々両陛下へ謁見を申し込もうと思います」

「そうね……無理しないでと言いたいところだけど、急がないと皇室が家門の問題に介入してくるでしょうね」

「いやいや、ちょっと待て! 今日起きたばっかでもう仕事の話しか? 目が覚めたからって完全復活じゃねぇんだから、もう少しだけ待って貰えるだろ? 親父とお袋も居るし、叔母さん達も居るんだから融通利かせて貰えねぇのか? 」

「 ” 親父とお袋 ” ? 」


 今後について話を進めていると、すかさずレイキッド様が待ったを掛けた。

 懸念する内容は理解出来なくも無いが、皇室が家門の問題に介入したら、リクレット様との再婚約を無理やり推し進められる危険性が高い。

 それまで大人しかったミルドッド夫人も立ち上がり、待ったをかけるかと思いきや、レイキッド様の頬をつまんで引っ張っていた。


「いっへぇほっ! ひゃんひゃほっ!? 」

「レイキッド! あれだけで教えたのに、まーたその呼び方に戻ってるのね? 」

「いぎっ!? 」

「普段から癖を付けなさいって言ってるでしょ? 母上 と父上! そんなだから公式な場で口を滑らせるのよ! 」

「いっいまはほへほほほははへぇっへ……」

「いいえ! 最近はどうやら甘すぎたようね?そんな口答えまでするようになって、こんのぉ……!! 」

「いぃぃ〜じゃじゃじゃ〜っ!? 」

「自然だったから気付かなかったわ。そう言えば、レイキッドの呼び方が戻ってたわね。教育か終わったら本格的に独立するんだから癖を付けないとダメよ? 」

「いででで……ひぃぃ痛ぇ……つか親父だって陛下のことを ” 兄貴 ” って呼んでるだろ!? 」


 一斉に公爵に視線が集まると、当の本人はわざとらしく首を傾げる。

 レイキッド様が口から出まかせを言ったと勘違いをしたミルドッド夫人の怒りが更に燃え上がった。


「ちゃんと私的な場でも皇帝陛下って呼んでたじゃない!人の所為にして……! 」

「ちっちがっ! 本当に……」

「はぁ? 何言ってんだよ。小さい頃ならまだしも、今は皇帝陛下を ” 兄貴 ” って呼ぶわけねぇだろ? 」

「うぉおおいっ!! 嘘つけ! 叔母さんが居ないとこで呼んでただろ!? 」

「ゴホン……おやー? そう言えば皇帝陛下がデイヴィッドを ” スカンク ” って呼んでたなー? 何かしたのかい? 」

「はぁ!? あのクソ兄貴、俺の知らねぇとこでそんなあだ名付けやがっ……」

「デイヴィッド」


 伯爵が少し突くだけで、あっさりとボロを出した公爵は、レイキッド様と一緒に別室へ連れて行かれる。

 その光景に思わずクスっと笑っていると、伯爵が安心した表情でベッドの傍に来た。


「ミルドッド家も全面的に協力しよう。必要なものがあれば何でも相談しなさい」

「ありがとうございます」

「いや、いいんだ。それから親族の方々は医務室で寝ているよ。彼等が代わる代わる不思議な能力でオルカ嬢の治療を続けていたんだ」

「え!? はぁ……呼び出したのに、本当に情けない……」


 手紙に予め書いていたとは言え、親戚は皆すぐに魔力を意図的に使用できたようだ。

 お父様からも何か教えて貰ったのだろうか。

 その器用さに感心しつつ、ちゃんと力加減が出来ているか不安を覚える。

 事故が起きないためにも、代償について改めて直接話した方が良さそうだ。


「君は被害者なんだから気にすることない。それに、うちの主治医は皇室から声が掛かるくらい腕が良いんだ。オルカ嬢の元専属侍女の体調も大分良くなって、皆でサポートしてるから心配ないさ」

「すみません……重ね重ね本当に助かります。ありがとうございます」

「はっはっは!そんなに気に病むことはないさ。今までの経緯を話す良い機会でもあったからな。ところで……また服が少なくなったんだって? 」

「チャーリー、病み上がりなんだから着せ替えはダメよ」

「あ、いや……せめて好きな色だけでも……」

「マゼラン侯爵令嬢、また来るわね。お大事に。行くわよ、チャーリー」


 公爵夫人は伯爵の言葉を遮って部屋から連れ出す。

 賑やかで平和なミルドッド邸に、自然と笑みが零れた。

 反対に、相変わらず問題が山積みのマゼラン邸を思い出すだけで、頭が痛くなる。

 使用人達は大丈夫だろうか。

 ケイプ卿は今回の騒動でまた頭を抱えているだろうか。

 初代当主との会話の内容を思い出しながら、お父様のことを考えると、複雑な気分になった。


※修正箇所※

字下げ、誤字脱字、一部言葉の言い換え、記号の変更。

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