1.休学明け、心機一転。
ここから第1章です(*'▽')
ほぼ筋肉で解決していく物語です。
「ね、ねぇ……あんな人、学園にいたっけ?」
「分からないよ。上級生だと思うけど……」
――新学期、同級生の視線はボクに注がれている。
ダイエットに集中するため、家族に無理を言って自分は二年間の休学をしていた。だからこの場にいる生徒の中に、ボクのことを知っている者は少ないだろう。
あるいは、まったくいないかもしれない。
もしそうだとすれば、むしろ好都合といったところだった。
「留年したのかな……?」
「でも、カッコいいね!」
悪く取られるのも、褒められるのも別にどうでも良い。
重要なのはボクにとってはここが心機一転、新しい自分を始める場所だということだった。少なくとも以前のように、デブだとか無能だとか罵られることはない。
そう考えつつ、ボクは荷物の中からとある飲料を取り出して口にした。
「え、なにあれ……」
「凄く不味そうな色してる……」
失礼な。これはボク特製のタンパク質補給飲料だ。
たしかに見た目こそ悪いが、味は慣れてしまえば問題ない。
それに普通の食事と比較しても、栄養素の吸収速度が段違いだった。
「あぁ、筋肉が喜んでいる……!」
「ひっ……!?」
すべて飲み干したボクは、ドリンクが全身に沁み渡るのを感じて微笑む。
何やら短い悲鳴が聞こえた気はしたが、勘違いだろう。
「さあ、席に着け! ホームルームを始めるぞ!」
「おっと、遂に始まるのか……」
そうこうしているうちに、担任教員が入ってきてそう宣言した。
ボクはドリンクの容器を仕舞いながら、気合いを入れ直す。
「よし、頑張るとしようか……!」
そして、そう口にするのだった。
◆
この王都立学園は学年が同じでも、年齢はバラバラだ。
早熟かつ優秀なスキルを持つ者は当然、若くして進級していく。だが例えば以前のボクのように、不憫なスキルを持つ者は留年することもままあった。
したがって、ボクがこの学年にいても違和感はない。
「なぁ、お前っていま何歳よ」
「ん? あぁ、十七だよ」
「おー、やっぱり! 二つ年上か!」
休み時間になると、このように席が近い男子生徒は気さくに声をかけてきた。
二年前までだったら年齢より先、体重を訊かれていたが、そのような悲劇はもう起こらない。いまのボクは間違いなく標準、あるいは標準以上の身体を持っていた。
そのことや、これまでの努力相応の自信がボクの心を支えている。
「俺の名前はアクト! お前は?」
「あぁ、ボクはリューク。よろしく」
「おう!」
だから二年の休学明けでも、自信を失わずに対応できた。
アクトと名乗った男子生徒が手を差し出してきたので、それを取ろうと手を伸ばす。だが、その時だった。
「ほらほら、やり返してみろよ!」
「できるものなら、な!」
「うわ!?」
教室の隅の方から、そんな会話が聞こえたのは。
何事かと見てみるとそこには、いかにも貴族といった男子が二人。そして、そんな彼らに足蹴にされている生徒が一人。
「あれは……?」
「アイツら、またやってんのか」
「……またやってる?」
ボクの視線に、アクトも気付いたようだった。
何やら訳知り顔であったので聞き返すと、彼は小声で教えてくれる。
「アイツら、名家の子息なんだけどさ。平民出身の学生――その中でも、抵抗のできない奴らをイジメてんだよ」
「………………」
それを耳にして、ボクは呆れてしまった。
「外見やスキルの次は、身分……か」
「え、おい……!」
そして、考えるより先に行動する。
アクトの制止も聞かず立ち上がったボクは、無言でその貴族たちに声をかけた。
「やあ、少し良いかな?」――と。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。
創作の励みとなります!
応援よろしくお願いします!!