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2.力の使い方。

違うそうじゃない(いいぞもっとやれ

ここで一区切り。次回から第1章です(*'▽')







「……さて、とりあえず【暴食】が相手のスキルを食べられると分かった」




 ボクは帰宅後、自室にて一人考え込む。

 今回の一件によって、ダメダメだと思っていたスキルの意外な活用方法が判明した。どうやらボクのスキルは、相手のスキルを取り込んで血肉――つまり、自分の一部とすることができるらしい。さっきの戦いの中で得たのは【燃焼】と【抑制】のスキルだ。

 ただ難点としては、彼らのように相手にスキルを行使する、というのは不可能らしい。要するにボクが燃やせるのは、ボクの身体だけということだった。



「だったら使い道としては、さっきみたいに右腕を燃やすことだけど……」



 ボクはそう考えて再度、自分のそれを確認する。



「どう見ても、負担が大きいよね」



 そこにあるのは皮膚が赤くなり、水膨れだらけになった右腕だった。救急箱を引っ張り出して簡単な応急処置をしたけれど、完治まではしばらくかかるだろう。こんな使い方をしていては、近いうちにボロボロになってしまうに違いなかった。

 だとしたら、いったい何に使えるというのだろうか。



「ん……【燃焼】に【抑制】を自分に、使う?」



 しばらく考えてから、ボクはふと思いついた。

 そして、棚から一冊の本を取り出す。


 表題は――『あなたにもできる、ダイエットの基礎!』だ。


 かなり前に挑戦して挫折。

 そして、本棚で腐っていたダイエット本。

 そこに書かれていた内容が、ふと脳裏によぎったのだった。そして、



「やっぱり、そうか……!」



 自分の記憶が正しかったことを確信する。

 本によればダイエットの基本は『食事量を適正に保ち』ながら、適度な運動によって『体脂肪を燃焼させる』こと、とある。



「なになに……? 一気に結果を求めず、長い時間をかけて少しずつ体重を落としていく。前は無際限の食欲があったから駄目だったけど、いまなら【抑制】もあるから……!」



 だとすれば、いまならボクは変われるかもしれなかった。

 運動に加えてスキルで効率よく脂肪を【燃焼】し、これまで止められなかった食欲を【抑制】で留めることができれば……!



「やるしかない……!」



 これは、またとない機会だった。

 いつまで他人のスキルを保持できるか、いまはまだ分からない。だったら手元にある間に、手に入れなければならないのだ。




「人生で初めての、標準体型を!!」







 ――そう決意をした日から。

 ボクのダイエット生活は、幕を上げた。


 まずは早朝の散歩から。一気に負荷をかけては、心臓へダメージがいく可能性があった。だからまずゆっくりとしたペースで、できるだけ長い時間を歩く。

 そこに【燃焼】の効果を乗せることで、より効率的に脂肪を消費できた。


 ある程度、体重が落ちてきたら筋力トレーニングをメニューに加える。

 だけど一気に負荷を増やすのは、こちらも駄目だ。焦ることなく、一日一ヶ所、重点的に鍛えることによって、その他の筋肉に休息する日を与える。

 これによって筋組織が復旧することを超回復と呼ぶらしい。

 超回復した筋肉は以前よりも大きく、力強いものへと変化していくのだ。


 身体の基礎ができてきたら、散歩からランニングへと切り替えていく。

 人間の筋肉の大半は下半身に集中しており、またランニング――つまり、有酸素運動をすることによって、さらに脂肪を燃焼することが可能となった。


 そして、最大の問題であった食事も。

 あの日に手に入れたスキル【抑制】によって、平均的かつ身体作りに適した内容へと切り替えることができた。献立については家族と相談しつつ、運動後はタンパク質摂取するために肉類を多めにする。食事というのは過剰になれば毒だが、筋肉を育てる基本中の基本だ。


 決して、やみくもに減らせばいい、というものではない。

 無理をして短期間で体重を減らせば、干からびた砂地に水を撒くように、あっという間に元通りの身体に戻ってしまう。だから長い期間をかけて、少しずつ量を調整するのだ。





 そして、そんなボクの戦いの日々は――。







 ――二年の月日を経て。

 ボクの戦いは、一つの区切りを迎えようとしていた。



「ついに、手に入れたんだ……!」




 ボクは自身の体重を計測し、思わず涙ぐむ。

 そこに示された数字は、間違いなく標準――いいや、それ以上の成果を示していた。この二年の肉体改造は、ボクの身体能力そのものを飛躍的に向上させたのだ。



「これでもう、ボクをデブだって馬鹿にする奴はいない……!」



 そう、ボクはもうあの日のボクじゃない。

 そんな確信を胸に――。





「よし、今日も頑張るか!」





 ボクは新たな日々に向けて、一歩を踏み出すのだった。



 


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