プロローグ 無際限の食欲による肥満少年。
タイトルはテンプレ。
次の話以降は、どうしてそうなった。
応援よろしくです(*'▽')←ノリで書いた。
「おいデブ! さっさと購買行ってパン買ってこいよ!」
「ほらほら、走れ! 少しくらい痩せてみろって!」
「ばーか、こいつは食うしか能がないんだよ」
「あっははは! そうだったな!!」
――王都立学園のとある教室で。
ボクを除いたクラスメイトは、ほとんどが腹を抱えて笑っていた。笑っていないのは自分と同じく、クラス内でのカーストが低い生徒ばかりだ。もっとも見て見ぬ振りをしている時点で、こちらとしては全員同じにしか見えないが。
そんな周囲の視線の中、しかしボクは何もできずに縮こまっていた。
「分かった。……行ってくるよ」
そして、怯えたままに相手の指示を聞く。
だって戦っても、敵うはずがないと分かっていたから。
神からボクに与えられたユニークスキルは【暴食】という下らないもので、相手のリーダー格のスキルは何でも燃やし尽くす【燃焼】だった。その他の面子のスキルを考えてみても、戦力差は明らか。
「…………くそ、ボクだって好きで太っているわけじゃないのに」
購買までトボトボ歩きながら、ボクは思わずそう呟いた。
それは、まさしく本心からの言葉。ボクの持つユニークスキル【暴食】は、その所有者の食欲というものを肥大化させた。だから並の食事量では到底、満足できない。
そんなわけだから、生まれてこの方ボクは標準体型というものになったことがない。
常にみんなから『デブ』だの『ブタ』だのと、馬鹿にされ続けてきた。
「みんなはただ、運が良かっただけじゃないか……」
苦し紛れな言い訳に聞こえるかもしれないが、これは決して嘘偽りない真実だ。
この世界では、最初に与えられたスキルで生涯が左右される。俗に最強と謳われる人々はみな、ただただ運が物凄く良かっただけ。もちろん、努力している人もいるけど。
ボクの場合は、そんな努力以前の問題だった。
「……はぁ、言ってても仕方ないか。すみませーん!」
だけど、不満ばかりを口にしても意味はない。
そう思い直して、ボクは購買のおばさんに声をかけた。そして、
「えっと、焼きそばパン……」
「あー! ごめんね、今日は入荷がないんだよ!」
「……え」
絶望するのだった。
◆
「どうして、お使いすらできないんだ? ……あ!?」
「し、仕方ないだろ! そもそも入荷してなくて――」
「知るかよ。だったら外の店に買いに行けっての!」
「がはっ……!?」
無茶苦茶なことを言われ、腹部を思い切り蹴り上げられる。
つま先が完全にみぞおちを捉えて、ボクは呼吸ができなくなった。あまりの苦しさにうずくまると、そこへ追い打ちをかけるように取り巻きの一人が足蹴にしてくる。
放課後の人気がない校舎裏とはいえ、本気でやっているのかと驚愕した。
だが、彼らの目を見れば分かる。
これはあくまで、本気ではなく遊び、なのだと。
力ある者が、ない者を蹂躙する。
彼らは、いまその一時の万能感に身を委ねているだけだった。
「おい、さっさと謝罪しろよ」
「ぐ、う……!」
「けっ……」
それだとしても、ボクに抵抗する余力はない。
乱暴に髪を掴まれて、顔を持ち上げられつつ唾をかけられた。
だが、リーダーの苛立ちはそこで終わらないらしい。彼はおもむろに空いている方の手を見ると、口元に憎たらしい笑みを浮かべた。
そして、こう言うのだ。
「せっかくだし、一撃喰らってみるか……?」――と。
それはつまり、どういう意味か。
ボクにはすぐに分かった。彼はスキルを使おうとしている、と。
こいつの持つスキル【燃焼】は、任意の物質を燃やし尽くす力だ。殺す気はないにしても、仮にそんなものを喰らえばただでは済まない。
「や、めろ……」
ボクは顔を歪めながら、逃げようと試みた。
しかし、上手く身体に力が入らない。
「遠慮すんなよ、おデブ。……少しばかり、熱いだけだからよ」
「く、そ……!」
彼は握りしめた拳に、力を集中させる。
おそらくはそれと一緒に、ボクの身体を焼くつもりなのだ。それを理解した瞬間、この馬鹿げた状況に改めて怒りが沸き上がる。
本当に馬鹿げていた。
その中で最も馬鹿らしいのは、何もやり返せない自分。
ボクは本当に、こんな奴に蹂躙されるだけの存在なのだろうか。
もし、自分のスキルにも『他の使い道』があれば。
そう考えて――。
「…………あ、ああああ!?」
無我夢中に、自身のスキルを使用する。
その瞬間だった。
ボクの身体の中に、焼け付くような『熱が宿った』のは。
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