ユーリス様
タイトルを変えました…。
一通り互いに知っていることを擦り合わせた私達は今、ユーリス・ディ・ゼフィラス様の元へ向かっている。
そんな簡単に偉い人に会わせても良いのか__と思ってしまうが、ご本人が一番強く、今回のことに不可解な点が多すぎるので、直接会って指示を仰ぐらしい。
私はいらない気もするが、カイト曰く「こっちの方が早いし楽」とのこと。
頭が上がらないとか言っていたわりに扱いが酷くないか?
気まずかった先程と違い、和気あいあい__とまではいかずとも和やかな空気で部屋へ向かう。
そして、父の書斎みたいな豪華で重そうな扉の前に来たときだった。セルファスさんがノックをして扉を開けると中から、聞き覚えのある声が聞こえた。
「よぉ、お前ら。」
そこにはルースがいた。
「やはり先回りしてましたね」
セルファスさんは全然驚いていない。驚いているのは私とカイトだけだ。
「おい、セルファス。こいつも呼んでたんなら先に言えよ」
私も無言でこくこくと頷いて同意する。
そんな私たちに、
「呼んだわけではないですよ?来てるだろうなと思っていただけで」
と、眉を八の字にして困ったように微笑んだ。
__これは絶対に確信犯だ。
「早く入りましょう」
扉の前で立ち止まっていた私たちを急かすようにセルファスさんが椅子に座る。
「ああ。そういえばユーリス様は?」
カイトがはぁと、諦めたかのようなため息をついてからルースに尋ねた。
確かに。何故部屋の主が居ないのだろう。
「んぁ?あーユーリス様ねー多分もう帰ってくるよ」
……。
なんかルース、遠い目をしていないか?声も明らかに疲れてるし、私たちが来る前に何があったんだ。それは二人も感じたのか、
「おいどーしたルース」
「そうですよ。何があったんですか?」
と、心配そうにルースを見ている。
そこまで言われてもルースは、んーあーえーと意味のわからない言葉を発し、言い淀んでなかなか話し出さない。
三人が訝しげにルースを見つめる。へらっと困ったように笑う顔が追い詰められていくのが見てとれた。
そしてついに口を開こうとしたその瞬間。
「ルース!あの子はもう来たかい?!」
いきなり扉が勢い良く開いて、人が入り込んできた。その人は少し、いやかなり奇抜な服装をしている。それはもう言葉では表せないほどに。
配色から寸法まで無茶苦茶だ。私があまりにも酷い服装をチェックしていたら…。
「っ!?」
思わず体がビクッと震えた。ふと顔を上げると、その人は真っ直ぐに私の瞳を射抜いていた。金がかった瞳が、なんの濁りもない美しい瞳が、機械のように。ただ、真っ直ぐと。私はその瞬間、えもしれぬ恐怖を感じた。自分の全てを見透かすような瞳。
ん、待てよ…?
___この感覚、何処かで……。
何かが引っ掛かり、その正体を探ろうと深い記憶の渦へ飲まれそうになっていたその時、その目が三日月に変化した。
「エリー!久しぶりだね!」
奇抜な人は私に向かってそんなことを言ってきた。
それはもう、ニコニコしながら嬉しそぉーに。
その瞬間、同じ顔が脳裏に浮かんだ。
この満面の笑みはもしかして…。
「ユリー!あなたその格好どうしたの?!」
幼馴染みのユリーだ。
いまだに幼馴染みの基準が分からない僕です。はい。