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イケニエにされた少女  作者: 猫狐
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変わらない関係性

久々の投稿です。


初めて来た王城。

王妃様はいつも、私の屋敷に足を運んでくださっていたから、私は王城に来たことがなかった。


この国の硬貨にも描かれているこの城は、実際に見ると、絵で見たものよりもさらに大きく、素晴らしい。


検問待ちの馬車を尻目に私たちは門をくぐり抜けた。流石王女様、検問無しで隣の扉から入れるらしい。


「エリー、どうぞ。」


ユリーはそう言って私に手を差しのべてくる。その姿はまるで私の騎士様のようで、思わず笑みがこぼれた。


今日は正式な軍服を着ているユリーはいつもにましてかっこいい。エスコートまでバッチリだ。


だからかな?その姿が一瞬あの人と重なってしまった。記憶にあるあの人も、私にこんなふうに手をさしのべてくれた。


『エリー、お手をどうぞ。』


いたずらっぽい笑みを浮かべて、大袈裟な仕草で。


___ああ…死ぬ前に、もう一度会いたかったな…。


そんなことを考えるからだ。


運命のいたずらか、私は懐かしい人とばったり王城で会ってしまった。


昔と変わらないままの姿。

三年しか経っていないのだから当然なのだけど、もうあれから、何年も経ったように感じる。すれ違っただけだが、先程甦りかけてたあの頃の記憶が、一気に蘇った。相手は急いでいたのか、私には気づいていなかったことが幸いだ。


もう終わったことではあるが、気がかりだった人に最後に会えて良かった。元気そうな姿に寂しさをおぼえたが、心の底からほっとしたし、安心もできた。


「エリー、どうしたの?」


顔を上げると、道の先でユリーが振り返ってこちらを見ていた。どうやら私は立ち止まってしまったらしい。真後ろをついていっていたはずなのに、ユリーとの間に距離が出来てしまっている。私は慌てて駆け寄った。


「ああ、ごめんね、ユリー。」

「どうしたのいきなり。何か変なものでも落ちてた?」

「いや、そんなことないよ。ちょっとボーッとしていただけで。ほら、早く行こう。」

「え?そんなに急かさなくても…。」


早く早くと、ユリーを急かす。ユリーに何も悟られてはいけない。

だって、ユリーは何も知らないんだから、心配なんてさせてはいけないんだ。


そういえば、私が家出していた理由も聞かれなかったな…。


でもその方が都合がいい。ユリーとは幼い頃の綺麗な記憶のままの関係でいたい。きっとユリーもそんな気持ちなんだろうな。


「もう!変なエリー。」


ユリーはそう言って眉を潜め、歩きだした。きっと聞きたいことはたくさんあるのだろうが、その一言で済ませてくれるユリーに感謝だ。


私は、拗ねてしまったユリーを、


「待ってよ!ユリー。」


と笑いながら、追いかけていった。


幼い頃の記憶は美しいままとっておきたい。

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