何で私なの?
とっても短いです。
「何で…何で私なの?イケニエでしかおとなしくさせれないなんてまだ分からないじゃない!もしかしたら、冒険者たちなら殺せるかもしれないのに!国民を心配させたくないから、公表したくない?ふざけないでよ!そんな国の矜持のために私は、助かるかもしれないのに死なないといけないの?そんなの、嫌だよぉ…死にたくない。」
ずっと圧し殺していた思いが溢れ出して止まらない。
ボロボロと涙が溢れてくる。
この涙と一緒に私の運命も流れ落ちてゆけば良いのに。
何で何で何で何で……。
その言葉が私の頭の中をぐるぐると回り続ける。
さっき、抑えきれなかったように、平気なわけないのよ。私は軍人でも犯罪者でも何でもない。死、なんて身近にあるものではないし、死ぬ覚悟なんてしたこともない。
家を出るまで箱入りの御令嬢だった私は、当初、血を見ただけでぶっ倒れるような性格だった。今でこそ大丈夫になってきたが、災厄なんて実際に見たときには失神するかもしれない。
なのに、血筋というどうしようもない理由でこんな私が選ばれてしまうなんて。
ここから王都までどれくらいかかるかは知らないが、私は早くとも三日後の今頃には、もうこの世界に存在していないかもしれないのだ。
やっと庶民の生活にも慣れてきた頃だったのに…。
死にたくないけど、逃げ出す勇気もない私は、臆病者だ。
こんな私は大嫌い。
奇しくもその日は新月で、星の光が常よりキラキラと輝く夜空のした、私は、行動を起こせない臆病者らしく、ただただこんな残酷な運命を与えた世界を呪った。
そんな私を扉からじっと見つめるユリーには気がつかないまま。
ユリーはこの時、何を思っていたのでしょうかね。




