死にたくない
本当に死にたくなったとき、死がとても怖くなります。
セルファスさんに案内された部屋にあったベッドに腰かける。この部屋は、他の部屋と比べて、飾りが多く、きらびやかな造りになっている。
いかにも貴族が喜びそうな派手な部屋だ。
よく使われるのだろう、掃除が行き届いている。
この部屋に案内されたとき、あまりの場違い感につい立ち止まってしまったほどだ。
その時、セルファスさんから、「この部屋はよく仕事で使うのできれいなはずです。ここが一番上等な場所なのでここを選びましたが…嫌だと思われたら、遠慮なく言ってください。」と言われていた。
ベッドもある部屋でやる仕事って……流石にそういう用途で使われている部屋は嫌だ、そう思い聞いてみたが、違った。
詳しくは内緒だが、上客を泊める時に使っていると言われたので、セルファスさんを信じることにした。
このベッドの上等さは実家並みだ。
準備を終え、そんなベッドに座ると、一気に疲れが押し寄せてきた。
「はあぁ…。疲れた…。」
主に精神的に。
一人になり、部屋には鈴虫の鳴き声だけが響いていた。ずっとあとにあとにと頭の片隅に追いやっていた思考が元に戻ってくる。
___イケニエ…どうしよう…?
ユリーは逃がすと言ってくれたが、そんなこと出来るはずがないのだ。逃げても逃げても追いかけてくるだろう。
私を捕まえなければ、イケニエに捧げなければ、この国の人たち皆が死んでしまうのだから。最悪、この世界が滅ぶかも知れないのだ。
私が今ここで逃げ出しても結果は変わらない。
そんなこと頭ではわかってる。わかってるんだけどっ!
だけど、死にたくない。
死ぬのは怖くて仕方がない。同時に、私が逃げ出したせいで、誰か見知らぬ人たちが私の知らないところで死んでいくのも怖くて仕方ない。
夏なのに寒い。体が小刻みに震える。歯がカチカチと音をたてる。本当は話を聞いたときからずっと怖かった。私はまだ十八年しか生きていないんだ。たったの十八年では、まだまだやりきれていないことがたくさんある。
「こんなところで死ぬなんて嫌だ!」
私の中に沸き上がってくる得たいの知れない恐怖を吐き出す。
死ぬことを考えたら……。
目の前が真っ黒に染まる。感情が、爆発した。
自殺する人だって、ほんとは死にたくない、




