一生分の笑い
人生において、笑いは最高の治療薬です。
一度意識すると止まらず、私はふはっと勢いよく笑い出してしまった。
「ハハッ、ふっ、アハハハハハハッ!」
誰もが動きを止め、こちらを困惑して見ている。
分かっていたが、笑いが止まらない。止めることが出来ない。
「エリー!?どうしたの?」
「エリー様、どうかされたのですか?」
「おい、エリー様、大丈夫か?」
「エリー様、セルファスに何かやられたのか?」
「フッ…フフフッ…。エリーで良いわよ。ふふっ」
本当に優しい人たち。
みんながみんな、同じような顔でこちらを見て、同時に心配してくるものだから、なんだかよく分からないけどもっと楽しくなってきてしまう。
次々と笑いが込み上げてくる。
___私は今、とてつもなくうれしい。
こんな人たちに会うのはこれで二度目だ。
一度目は町の人たちとの出会い。そして二度目はユリーたちとの出会い。
それまで、私はただ生きて、結婚して、子孫を残して死ぬことだけが目的で生きてきた。
あの日から、私の母が亡くなったあの日から、楽しいと思うことがなくなっていた。
決められた人生のレールに乗って、終着点まで行くことを認めていた。
けれど、大切なあの人に出会って、他に生きる意味を知った。
裏切られて、初めて絶望を味わい、何もかもどうでも良いと自棄になった。
話せる人もなく、死ぬことを決意して家を出たのに。
私が死ねば、あの人にも父にも仕返しが出来ると、それだけを目標にしていた私は、だいぶ頭がぶっとんでたのだろう。そんな思いから始まった家出。
町の人たちに助けられ、死ぬことを断念させられたときは随分暴れた。今思うと恥ずかしいところもある。
そして、今日、ユリーと再会することが出来た。一生会うことはないだろうと思っていた彼女に会えて嬉しかった。
ユリーの仲間も面白くて、私も好きになれた。幸せな出会い。
家を出るまで、知らなかった素晴らしいことに出会えた今、後悔も何度もあったけど、あの時、「家を出る」という決断をしておいて良かったと心から思う。
楽しいことだけを頭に思い浮かべながら、ふと悲しさが込み上げてくる。
こんな幸運をもらったから、死ぬことになるのだろうか?肯定されたら、私はきっと、「これでよかった」と言うだろう。
涙が出ないように笑い続ける。気を抜くと、哀しみが表に出てきそうだ。
一日が終わりへのカウントダウンをスタートし、蜜柑色に染まった広い部屋の中で、私の笑い声だけが響いていた。
悲しさも笑いで吹き飛ばせ!(笑)




