優しい四人
初対面の人でも優しくて信頼できる人っていますよね。
そんな私の思いががセルファスさんにも伝わったようで、丁寧に解説をしてくださる。
「まず、貴方の所作が気品に満ち溢れていたところですね。粗野にしようと気を付けていらっしゃるのでしょうが、ふとした瞬間の動作はごまかせません。」
例えば、歩くときの姿勢とか、椅子の座り方とかですかね、セルファスさんはそう言って実演してくれた。
わ、わたしにはまったく違いが解りません…。
おかしいなぁ、私は伊達にも貴族としての目はきちんとしているはずなんだけど。
「次に話し方です。ユーリス様とお話になられているときは言葉遣いが丁寧でしたよ?無意識なのかもしれませんが、先程から言葉遣いが時々、ご令嬢の話し方に戻っておられました。」
……全然気づいてなかった。
ユリーが相手だったからか、つい気が抜けて、昔のように話してしまったのだろう。気を付けなければ。
私たちがこうしてなごやかにしゃべっている間にも、隣でユリーの尋問は進んでいた。
「それで、なんでそんなことしたの?」
「だから、やってないって!」
「ごたくは良いからさっさと答えな!」
「ユーリス様、言葉遣いがカーナ様になってますよ…。」
「さっさと答えて!」
もはや会話になっていない、というか、全然会話が進んでない。
「ねえねえセルファスさん。カーナ様って誰?」
「ああ、カーナ様はユーリス様が仕事で使われるお名前です。」
「…………。」
ちょっと、いや、かなりどんな仕事か気になるけど、流石に聞けない。聞いても、機密事項です、とか言われそうだし。
口調からして裏社会の女ボス?あ、案外女将さんとかだったりして。
ああいう話し方をする女将さんがカナルにいる。口調は厳しいけどとても優しい方で、よくあれこれ心配してくれる人だ。いつまでも頑なな態度を崩さない私を町の人たちが扱いに困って遠巻きに見ていた頃、全く気にせず世話を焼いてくれた彼女のお陰で、今もわたしは生きている。私が町に馴染むきっかけをくれたのも彼女だ。
「大丈夫ですか?」
顔を上げると、セルファスさんが心配そうな顔をしていた。急に押し黙ってしまった私を不自然に思ったらしい。もしかしたら、イケニエのことについて聞いてるのかもしれない。
ユリーもルースもセルファスさんもカイトも、私のことを思ってテンションを上げてくれてるのだろう。ユリーとルースは言いあいをしながらもこちらの方をちらちら見ているし、カイトも同様だ。
セルファスさんに至っては、直球に大丈夫か聞いてきた。
まあ、ユリーは本気で怒っているように見えるけど……。四人も動揺しているだろうに、優しい人たちだ。
「大丈夫。そのカーナ様に似てそうな人を思いだしてただけだから。」
こそばゆくてふふっと笑みが溢れた。
ツンデレな女将さん♪




