なんとも言えない気持ち
悪い人が得をして、良い人が損をする、そんな世の中に嫌気がさすことってありませんか?
そう言ってユリーは崩れ落ちた。
錯乱したかのように体が震えわせ、ぶつぶつと呟いている。
「エリーは何も悪くない!ただ、前のイケニエになった人と唯一、血が繋がっていただけで!ああ、なんで駄目なの?!そんなの誰でも良いじゃない!罪人でも与えれば!そう、思うのに…」
____なんでだめなのよぉ……。
その一言で、私以外にこの状況を打破出来る人が居ないことを悟る。
そっか。血か。
…どうにもならないな。
確かお母様の方の家は後継者がおらず断絶していたはずだ。私が生まれたときには既に家はなくなっていたし、お母様が一族最後の生き残りと言っていたから、本当に私しかいないのだろう。
何故なら、後継者が居なくなった理由が、
____極端な近親相姦にあったからだ。
一族同士での結婚しか許されておらず、一族を抜けることは許されない、抜けようものなら殺される、馬鹿げた一族。
そんな状況だから子供も出来にくくなるし、庶子なども居なさそうだ。
お母様が違う一族に嫁げたのだって、家が潰れたからだ。
じゃなきゃ、こんなことはあり得ないことだと昔お母様が笑いながら言っていた。
ユリーが言っていたことを思うと、近親相姦を繰り返した理由は、いつ怪物が現れてもいいようにイケニエの血を薄めないためかもしれない。
まぁ、今となっては憶測でしか言えないが、もしそうだとすると、皮肉なものだ。
イケニエになるためだけにやったことが家を潰したのだから。
謎が解けてスッキリしたような、より混乱したような、なんとも言えない気持ちが胸に広がる。
殺されるかもしれないってのに……不思議な気分だ。
「ユリー落ち着いて」
そう言ってユリーを立たせ、椅子へ座らせる。
そこで悲痛な顔をした三人と目が合う。忘れていたわけではないけど、少し驚いてしまった。
「なんで貴方たちがそんな顔してるの?」
あまり関係のない、さっき会ったばかりの人なのに。
そう言いかけて言葉を飲み込む。これは流石に言ってはいけない言葉だ。
「それは……あんたがそんな顔をしてるからだよっ?!」
ルースが眉間にシワを寄せて言葉を吐き捨てた。
___あれ?もしかして私意外と動揺してる?
顔をペタペタと触ってみる。
うーんこれじゃ分からないなぁ。
鏡でもあればいいが、ここにはないから……。
「そんな顔って?」
聞いてみることにした。
けど、三人とも何も答えてはくれない。押し黙った三人を尻目に私は苦笑するしかない。
まあいっか。
「意地悪言って悪かったわね。私はこれからどうすべき?」
これは重要だ。断ることは出来なくても、せめて考える時間が欲しい。
多分、以前の私なら直ぐに了承していただろうが、今はそうもいかない。
ユリーが直接私を迎えに来たなら、災厄をずっと押さえ続ける必要はないのだろう。
ならば、王命とはいえ、今すぐ連れていかれることはない。
いまだ災厄についてほとんど知らないが、どんなものだろうか?
近親間での結婚は、これだから認めてくれない。恋愛の自由が保障されているなら、「好きならそれで良いじゃない!」にしてほしい。




