始まりの森
これは僕が以前書いていたもののリニューアルverです!是非ともご覧下さい!
ここはとある国の城の中。その一角のステンドガラスが飾られている部屋で1人の国王と見られる男が深々と椅子に腰掛け、その隣に老剣士が護衛していた。
椅子の近くには小さなテーブルがあり、そこには2人分のティーカップとクッキーが置いてある。
国王はティーカップに入っている、紅茶をすすりながら
「平和なものだな?サラテよ」
と呟く。それにサラテと呼ばれた老剣士は
「…そうですな、平和ですなぁ王よ…しかし、嫌な噂は立ち込めいますがね…」
と老剣士は返す。それを聞くや否や国王は眉間に皺を寄せて難しい顔をしながら
「隣国の話しか?」
と聞き、サラテはコクリと頷きで返した。
「奴らは利益しか考えておらん…利益を疎かにするなとは言わぬが、奴らは自身の国の民を奴隷が如く働かせる…儂はそれが気に食わぬ…じゃから奴らとの交易は望まぬと言うのに…」
とはぁ…と溜息を零す国王だった。
「それに調べによりますと…我が国の極小数の貴族が隣国と繋がりを持ち、良からぬ事を考えておるとの事…もし万が一の場合は我が影となり代わりに殺される所存」
とサラテが言うと国王はティーカップを置きサラテに
「それだけは絶対にならない事を祈るがな…お前は儂の良き話し相手であり右腕じゃ…簡単に死んではくれるなよ?寂しくて死んでしまうわい…あっはっはっ!!」
と笑い飛ばすが本当に寂しくはなるであろう表情が隠しきれてはいなかった。
そして…月明かりが眩しく感じるほどの満月の夜…突如として、静かな夜が騒々しい夜へと豹変する。
城の城壁が何者かに爆破され、兵士は数十人と殺される。火の手も上がり、一瞬にして大混乱が巻き上がる。
国王はと言うとローブを深々と被り、1番奥の部屋へと護衛の手で護られる。そしてそこには黒い服を身に纏い手には短い何かを持った男3人が現れたのだった。護衛は身構えるやいなや
「この不届き者どもが!」
と言い腰に携えていた剣を振りかぶるのだが
「れむねぐす」
と黒い服の男の1人がそう呟くと護衛は糸がプツリと切れた操り人形の様にその場で崩れ落ちた。それを蹴り上げ、動かない事を確認すると国王がいる部屋へと入る。
「やぁやぁ…これはこれは国王様?こんなにも月明かりが眩しくてフードでも被っておいでですか?」
と話しかけられるが全く反応を示さない。
「無視…ですか?まぁいいでしょう…貴方に1つ頼み事があって参りました…その頼み事とは、貴方にはこの国の上を降りて頂きたい…」
しかし沈黙が続く、だがそれでも男は話し続ける。
「そして!隣国である我々の国にこの領土を譲って貰いたい!あれもこれも全て頂く。貴方が、我々との交易を結べばこんな事にもならなかったのですがね?」
と喋っていると3人の後ろから足音が聞こえる。
ガシャリ…ガシャリ…と金属鎧が擦れる音が。
「ん?後ろの奴らはどうした?5人ほど見ておけ…と」
と3人の中でずっと喋っていた恐らくリーダーであろう男が後ろを振り向くと暗くてよく見えないが青ざめるているのがよくわかる…何故ならば
「後ろの奴とは…こいつか?」
とサラテがドシャッと5人の頭を放り投げたからだ。
「お前!誰だ?…と聞くまでもないか…貴様がこの国も番犬か!サラテ・ソーズ!!」
とサラテは呼ばれると手を顎にやり
「そんな呼ばれ方をしているのか…我はどちらかと言えば犬は苦手なんだ…元気すぎて相手が疲れる…」
「何をふざけた事を!お前ら!やれ!番犬と言えど老犬だ!お前達なら容易い!」
リーダーの様な男が指をさしながら命令するのだが
「老いを舐めるな…痛い目見る…ぞ!っと!」
サラテは剣を両手で力強く握り、右斜め上へと振り上げたすると命令され、サラテに襲いかかった片割れの頭が飛んだ。それを気にする暇もなく力強く切ったを弧をそのままの流れで隣にいた者の頭も落とすのだった。
リーダーは腰を抜かし倒れ込み歯をカチカチと鳴らし恐怖の表情を浮かべていた。
「…た…たった!一振で…!?」
「小物が…我が国とやるならば宣戦布告した後国を上げて来るがいい…差もなくばただの無駄死にだ…さて…と侵入者は残るはお主だけだ、首謀者とその関係者を言え本当ならば解放だ、嘘と分かれば打首だ…それにここに国王はいない、目の前にあるのは偽物だ」
とサラテは剣先をリーダーの鼻先へと向け言い放った。
リーダーはほぼほぼ勝ち目がないことを理解していたが自分が持っているものに目をやると不敵な笑みを浮かべて立ち上がる
「ほ、本当だ…だったら!こいつは国王に使うつもりだったが!お前でも!お前でも!やれたら儲けだ!」
とリーダーは小さな杖をサラテに向けた途端杖の先が黒紫色に光出した。老いのせいなのか瞬時に反応出来なかったサラテは不覚をとり、光が体を貫いた。けれどもすぐにはくたばらなかったので、剣を再び構え、リーダーの首と腸を切り裂いた。
「がはっ!!…ごぼ!…あっはっはっ!やっだ!こべで!ばんげんである!ぼ前……は……だ!」
と血を吐きながら気になる事を言い残しくたばった。
サラテはと言うとリーダーと切ったと同時に彼もまた視界が暗くなり、意識を失った。
サラテが目を覚ますと夜は明けており、周り少し血の海へとなっていた。
「…やり過ぎたのぉ…国王に叱られるか?」
と呟いていると、部屋の扉が開き護衛を連れた国王が部屋へと入ってきたのだった。しかし、様子がおかしい辺りをキョロキョロと見てはいるが何かを探している様子。
サラテが声をかけようとすると
「サラテ!おい!何処にいる!サラテ!!!!」
と国王が言い出した
サラテは…目の前にいるのに
「…え?国王?何を言って?」
とサラテが言うが誰にも聞こえていないしすぐ目の前に居るはずの彼を誰もが認知出来ていない…
サラテはすぐに思い出す最後に当たったあの光をあれが原因に違いないと分かるが…どうしたら戻るかはさっぱりであった。
そこから彼を探すため数週間…数ヶ月と過ぎ…数年たった…しかし来る日も来る日も彼らはサラテの事を見つけられずにいた嫁も子供も友人にもサラテは認知されなかった…
しかしサラテはそれでも国王を護衛していた。それが自分に出来る唯一の事だと考えたのだから、しかし月日がどんどん流れ…
国王は寿命で亡くなった。
彼が生きている間に隣国といざこざはあったもののサラテが誰にも見えてはいないが暗躍していたのだった。
そして国王が亡くなり、妻も友人も更には自分の子供までもが寿命で亡くなるという自体彼は何故か寿命をなかなか迎えれなかったのだが、彼が生きていたと言う記憶が全ての者の頭から消えた途端だった。
サラテの体は灰となり、足から消え始めた。
「…ようやく…迎えが…来たのか?……永かった…永かった…妻にも子供にも友にも、誰にも認知されずはや数十年以上…地獄だった…自害も考えたが…臆病故に出来ず自分を覚えているものがいなくなったぐらいか…」
そしてサラテの体が消え首まで来ていた時だった。彼の頭に声が聞こえた。
(あなたに…つぎの…せいを…あたえます)
サラテはその声が何者かは分からなかったが正直どうでも良かった全てがどうでも良いタイミングであった。
そして彼がこの世界から消えた。
はずだった。サラテが目を開けるとそこは木々が生い茂る森の中だったのだった。
「ここは…一体?…我は…ようやく迎えが?」
と独り言を呟いていると後ろの方からガサガサと音が聞こえた。敵かと思い振り向き立ち上がろうとすると何故か上手く立てず転びそうになるが・・・
「だ、大丈夫ですか!?」
と華奢な女性に手を掴まれ転ばなかった。
「た、助かった…礼を言うお主の…名前…は?」
とサラテが目線を女性の方に目をやるとかなり身長が高くてしどろもどろになりかける。自分の身長を考えてもだ、女性で2m以上あるのではと思うほどに大きく感じるサラテを横目に女性は
「私はフォレ・エスプリって言います!こんな所子供1人で危ないですよ?確かにここら一帯は安全そうではありますが絶対に魔物や魔獣が出ないとは限らないですし…あ!薬草採取ですか?それならさっき取ってきたやつを分けてあげますよ?」
と女性が話しかけてくれたがサラテは首を傾げて聞く
「…子供?我らのらほかに人影は見えぬが…?」
と、聞くとフォレと名乗った女性も首を傾げて
「子供は貴方ですよ?え!?逆に聞いちゃいますけど他にいるんですか!?見えてるんですか!?幽霊とか怖いですよ!?」
とフォレが言うのでサラテは慌ててフォレに頼み込む
「フォレ…と言ったかお主!何か鏡は持ってないか!?」
と言われたフォレはポーチから手鏡をサラテへと渡した。それを覗いたサラテは心底驚いた。
何故ならば、鏡に映る自分が子供だったのだから。
「これは!?一体!?と言うか!ここは何処なんだ!?」
とフォレが心配そうにサラテへと
「だ、大丈夫ですか?もしかして迷子?迷子なら私の住んでいる村があるのでそこに来ませんか?」
と手を差し伸べてくれた。サラテはフォレの手を恐る恐る掴み歩き出した。そして自分が死ぬ時あった事をふと思い出した。
(あなたに…つぎの…せいを…あたえます)
こんな言葉が頭の中に流れ出来たのを。サラテは困惑しながらも何となくだが理解をし始める…どちらかと言えば理解せざるおえなかった。
自分はもう死んで新しく生まれ変わったのだと。
そんなことを考えているとフォレが話しかけてくれた。
「そう言えばですけども私、貴方のお名前を聞いてませんでした!良ければ教えてくれませんか?」
と言われたので
「サラテ…サラテ・ソーズだ」
「サラテ・ソーズ…サラテ君って呼んじゃいますね!それと私の事はフォレお姉さんっt」
「それは断る」
とサラテはスパン!と即答だった。フォレはしょんぼりと
「そんな即答で断らなくても…」
とブツブツ言いながらもサラテの手を優しくだが力強く握ってくれていた。