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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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522.ナーガの春? part2

522.ナーガの春? part2






ギルドを出ると、何故か恥ずかしそうにするヤルゴが待っていた。


「お、おぅ、久しぶりだな……」

「ん? どちら様でしたっけ?」


「おま! さっきナーガから聞いただろうが! ヤルゴだ! Sランク冒険者のヤルゴだよ!」

「分かってるよ。冗談だ」


「じょ、冗談って……マジか……お前、そんな性格だったのか……」

「まぁな。オレは元々、適当なヤツだぞ」


適当な軽口でも返ってくるかと思ったが、コイツは何故かモジモジして何も話そうとはしない。

おい、何だその態度は……お前は告白する寸前の乙女か何かか?


ギルドの真ん中で結婚を申し込んだ男が、何でこんなモジモジ君なんだよ! おかしいだろ!

しかしヤルゴは一向に口を開かないわけで……


「ハァ……何か話があるんだろ? 昼飯ついでに聞いてやるよ……付いてこい」

「あ……いや、オレはその……金を持って無い……」


「ナーガさんから聞いてるよ。驕ってやるから気にするな。ほら、行くぞ」

「すまねぇ……」


肩を落として歩くヤルゴを連れ、オレは近くの酒場兼食堂へ向かったのである。



◇◇◇



席に付いて、適当な食事を頼んだ後の事。


「で、オレに何の用だ?」

「な、ナーガから、オレの事はどこまで聞いてる?」


「そうだな……ギルドのど真ん中で求婚した事とか、若返りの霊薬を飲んでチンチクリンになった事。文無しでナーガさんの小間使いをさせられてる事……聞いたのはそれぐらいだな」

「ほぼ全部じゃねぇか……ハァ……こんな情けねぇ事になるとは……」


ん? コイツのこの態度……もしかしてナーガさんに求婚するためブルーリングへやってきた事を後悔してるのか?


「お前、もしかしてブルーリングへ来た事を後悔してるのか?」

「あ? そんな訳ねぇだろ。オレが後悔してるのは、金を全部ミルドに置いて来た事だ……リュート領や王都の依頼料があんなに安いとは……神銀貨の1枚も稼げやしねぇ……」


「あー、リュート領や王都は王国の中心だからな。危険な魔物はとっくの昔に狩られてる。オレも王都で冒険者をやってたが、高額な依頼は滅多に見なかった」

「完全に計算ミスだ……道中で金を稼ぐつもりだったんだが宛が外れた……転がり込んだ相手に食わせてもらうとか……情けねぇ」


もしかしてコイツの頼み事って、金か? えー、お前とオレって金を貸し借りする仲じゃ無かっただろ。

どっちかって言うと、顔を合わせれば戦う敵同士じゃなかったか?


「恥を忍んで頼みたい……金を貸してくれないか?」


やっぱりか! お前に貸す金なんざねぇよ! 帰れ、帰れ!

昔のコイツなら、間違いなくそう言ってやった所だが、生憎 今のコイツはそれなりに真面目君である。


しかも万が一、このままナーガさんとくっつくような事があれば、限りなく身内に近くなってしまうのだ。

非常に断り難い……はした金で禍根を残すのは、オレとしても御免こうむりたい。


「ハァ……貸すか貸さないかの前に、何に使うか聞かせてくれ。それと幾ら借りたいのかも」

「分かった。金の使い道は………………」


ヤルゴの話した内容は、冒険者……いや、男なら当たり前の話であった。

曰く「体が縮んじまったからなぁ、鎧を直したい」から始まり、「ナーガに衣食住の世話になりたくない……いや、一緒にいられるのは嬉しいんだが、流石にオレにもプライドがある」、「出来れば小さな家を借りたいんだ」など多岐に渡った。


コイツの言う事は尤もだ。オレでもアシェラ達に養われるような事態になれば、同じ事を思うだろう。

だがなヤルゴ、それは借りた金でやるモンじゃねぇ! 自分で汗水垂らして稼いだ金でやる事だ!


そう言ってやりたかったが、コイツの今の状況の殆どが「若返りの霊薬」に起因するわけで……元を辿れば氷結さんが焚き付けのが原因である。

うーん……非常に断り辛い……本当、あの人、碌な事しないよな……


「お前の話は分かった。で、幾ら貸してほしいんだ?」

「スマン、恩に着る!」


「まだ貸すとは言って無いぞ。幾らなんだよ」

「ああ、スマン……鎧の手直しに住む所、後は当面の生活費で……神銀貨5枚、貸してくれないか?」


神銀貨5枚! 5ひゃくまんえーーーーん! おま、バカか? バカなのか? 何で敵か味方か微妙なオレが、お前に5百万を貸すと思うんだよ! 良く考えろ!

貸せるとしても、精々5万か10万だろうが! 金貨なら10枚ぐらい貸してやるつもりだったけど、神銀貨5枚は無いわ。


「……ここの払いはオレが出す。金輪際、オレの前に顔を出すな」

「急にどうした!? 何か気に障ったのか?」


「分かってないみたいだから言うけどな……神銀貨5枚って、普通に暮らせば家族4人で1年は暮らせる金だぞ? そんな金額、親しくもないお前に貸すわけ無いだろうが」

「そうなのか? 神銀貨ていど、直ぐ稼げると思って……そうか、そんなに大金なのか……」


コイツ、まさか、金の価値も分かって無いのかよ! もしかしてミルドで蝶よ花よと育てられたのか?

いや、そうでなくともコイツはこの国に3人しかいないSランク冒険者だ。恐らく依頼料は恐ろしい金額だったのだろう。


どうやらコイツは、まともな金銭感覚を持ち合わせていないらしい。


「ハァ……乗り掛かった舟だ。鎧の修理費に住むところ、当面の生活費は貸してやる。本当に、何でオレがこんな事を……」

「す、すまねぇ……ミルドでは、ツケで払ってたんだ……月の終わりに言われた金額を払ってたんで細かい事は分からねぇ……」


コイツ、それで神銀貨5枚なんてバカな事を言い出したのか? それにしても神銀貨5枚は多すぎると思うんだが……もしかしてコイツ、ミルドで良いようにぼられてたんじゃ?

何か急に可哀想になってきたんですが……どんなに強くても、バカでは世間の荒波を越えてはいけないって事だな……1つ勉強になったぞ。


こうして何故か、かつての敵の鎧を直すため、ボーグの店に向かったのである。



◇◇◇



「おーい、ボーグいるか?」

「ん? アルドじゃねぇか……まさか、もう足装備を壊したんじゃねぇだろうな?」


「いや、そっちは問題ない。見てくれ、綺麗なモンだろ?」

「んー、まぁ、所々、傷は入ってるが、魔法に乗るなんてバカな事を考えれば、上手く使ってやがるのか……」


あのー、ボーグさん? 直ぐ後ろに敵か味方か分からないヤツがいるんです。余計な情報は与えないでくれませんかね。


「あー、ボーグ。その件はまた今度話そう。それよりコイツの鎧を手直ししてやってほしいんだ」


そう言ってヤルゴの背中を押してやると、2人はお互いを値踏みするかのようにジロジロと見つめ始めた。


「なんだぁ? 偉く生意気そうなガキだな。アルド、お前の昔を思い出すぜ」

「アルド、このオヤジの腕は確かなのか? 一応、オレの鎧はドラゴンアーマーだからな。壊されたくねぇんだが……」


「え? お前の鎧ってドラゴンアーマーなの? マジで?」

「あぁ、お前が以前 倒した、レッサードラゴンの皮で作らせた。ヘタな金属鎧より丈夫で魔力の通りも良い。流石はドラゴンの皮だぜ」


同じドラゴンアーマーでもレッサー君の皮かよ。あんなバッタモンの皮でもドラゴンアーマーを名乗れるのか……納得いかねぇ。

しかし、オレとは違いボーグは、ヤルゴを見て「ほぅ、その歳で」と呟き、手を差し出して口を開く。


「見せてみろ」

「壊すなよ……」


「ハッ、この国でオレ以上にドラゴンの皮を扱ってるヤツはいねぇ。ほれ、サッサと見せろ」


鎧を受け取ると、ボーグは間接の動きや状態を確かめた後、ドラゴンアーマーとヤルゴを交互に見つめて、訝しげに口を開いた。


「おい、坊主。この鎧はお前の物じゃねぇだろ。どこで手に入れた」

「あ? これはレッサードラゴンの皮からオレが作らせたモンだ。変な因縁はヤメロ」


あー、これはどうすれば良い? 恐らくボーグは、明らかに鎧のサイズがあっていない事から、何処かで盗んできとのでは? と疑っているのだ。

しかし若返りの霊薬の件は、あまり言いふらしたく無い。


ナーガさんからも強く口止めされている。


「ボーグ、ヤルゴの言う事は本当だ。この鎧はコイツの物で、今は訳あって体が縮んでるんだ」

「は? 体が縮むだと? そんなバカな事あるわk…………いや、あったな……って事はアシェラの嬢ちゃんと同じって事か?」


「ああ。悪いけど理由は言えないんだ。すまない。コイツの鎧だってのはオレが保証する。直してやってくれないか?」

「お前の近くにいると、退屈だけはしねぇな。分かったよ。坊主、サイズを測る。こっちにこい」


こうして鎧を直してもらう事になったのだが……ボーグによると何とそのお値段、神銀貨2枚半もかかるらしい。

素材は小さくなるので問題は無いが、身長が180センドから150センドまで縮んだ結果、ほぼ最初から作り直しになるそうだ。


マジか……しかも肘や膝、関節部分にアダマンタイトが使われているらしく、それが更にお値段を高くしているのだと言う。


「すまねぇ……何ていったら良いか……」

「だ、大丈夫だ……約束は守る……ちゃんと払ってやるから……」


くぅ……オレの小遣い、雀の涙になっちゃったじゃねぇか! ヤルゴ、やっぱりお前に関わると、碌な事にならねぇ!


「後は住む所か……」

「それと当面の生活費なんだが……よく考えたら、やっぱりもう少しナーガの世話になろうかと……」


「良いのか? 自立したいんじゃないのか?」

「それはそうなんだが……もう少しアイツの傍に居たいって言うか……近くで見ていたいって言うか……」


カーッ、ペッ! コイツ、惚気やがった!

さっきのナーガさんの態度と言い、お前等、案外お似合いなんじゃないの?


少し頬を染めてモジモジするヤルゴを見て、何だか毒気が抜かれてしまった。


「分かったよ。どうしても金を貸して欲しくなったら領主館を訪ねてくれ。少しなら融通してやる」

「助かる……本当にお前には世話になってばかりだ。オレに出来る事があれば言ってくれ。Sランク冒険者として、出来るだけの事はさせてもらう」


「お前なぁ……そう言う事は、先ずは金を返してから言えよ……まぁ、その時が来たら頼らせてもらう。じゃあな、ヤルゴ」

「ああ、本当に世話になった、ありがとう」


こうして不思議な縁の友人が1人増えた。これが吉と出るか凶と出るか……何はともあれ、ナーガさんに対してだけは誠実に向き合ってほしいものだ。

薄くなった財布を胸に、オレは領主館への道を、1人歩いていくのであった。






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― 新着の感想 ―
コミックガルドでコミカライズが更新されてますよ
まずは金銭感覚を身に着けさせることからだね。 食わせてもらってるではなく、手伝いもそれ相応の金だけもらってそれで食費を賄う。 自分の足で立ってないと求婚なんてとんでもないし、安い依頼もコツコツ熟すこと…
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