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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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513/521

513.瞬歩 part1

513.瞬歩 part1






ドーガへチビさんの件を話して、直ぐに王から呼び出されてしまった。

直ぐに執務室へ向かった所、王、宰相、ドーガだけでなく、4人の重鎮が待っていたのである。


「アルド君、ドーガから聞いたが、ギギ様の従者がご存命であると言うのは本当なのだろうか? しかも、その方は……ち、地竜だと……」


事ここに至っては、全て本当の事を話すしか無い。後から嘘を吐いていたと知られてしまった場合、信頼関係に大きな傷を残してしまうだろうから。


「はい、その通りです。実はその件で、謝らねばいけない事が1つあります」

「謝る? 一体何の話だ?」


「以前、王に面会した際の事です。僕が過去に地竜と風竜を倒したドラゴンスレイヤーであるのは間違いありません。しかし、ここグレートフェンリルにある「地竜の巣」で地竜を倒したと言うのは嘘なのです」

「は? 嘘? し、しかし、君が献上してくれた牙と爪は、確かに最上級の地竜の物だと……」


「あれはギギ様の従者、チビさんの物です。僕達は戦いを挑んで負けたのです」


全員が驚いた顔でオレを見つめ、挙動不審になっている。救世主たる使徒が、負けた事に衝撃を受けているのだろう。


「た、戦って負けた? 使徒様が? ど、どういう事なのか詳しく聞かせてほしい」

「分かりました。あれは「地竜の巣」へ向かった後の事………………」


チビさんとの一連の邂逅を話していく。勿論、エルが死にそうになった件や、母さんの魔法の詳細は意図的に隠している。

真正面から挑んで、攻撃が通じなかったと説明させてもらった。


「そうだったのか……ギギ様よりガラの街のマナスポットを託されて……これまで何度も救って頂いたと……」

「はい。チビさんは「我がここに住む理由」とまで言っていました。あの方は、ギギ様が眠られた後も、その約束を守り続けてこられた忠義の士です」


ギギの従者であり忠義の士。しかし地竜……どう判断して良いのか分からないのだろう。全員が何かを考え、口を開く者はいない。


「ただ殿下にも言いましたが、チビさんの体は普通の地竜の倍近くあります。もし何も手を打たず、王都へ召喚すれば、新しく建てた神殿は間違いなく壊れます。招くにしても直ぐには難しいでしょう」

「そうか……その件も含めて協議しようと思う。しかし、この件はフェンリル様の望み……であれば、我等は精一杯できる事をするしかあるまい……宰相、神殿と至急 連絡を取ってくれ。皆もこれはフェンリル様の意思だ。軽く扱うわけにはいかん。心して当たってくれ」


こうして何とも歯切れが悪い形で会議はお開きとなったのである。



◇◇◇



あれからアオ経由でフェンリルとチビさんへ話を通した所、「急がないから何時でも良い」と返事をもらう事ができた。

数百年……数千年? 単位で生きる者からすれば、数年ていど誤差の範囲なのだろう。


因みにチビさんはこの報を聞き、思わぬ形で叶わぬ夢が現実になる事に大層 喜んでいたとか。

アオからは「あんなに走って、凄い揺れで近くの丘が崩れてたよ」と、恐ろしい事実を聞かされた。


「ふぅ……後はマナスポットを解放すれば、ブルーリングへ帰れるな。エルの方も迷宮探索は順調らしい。昨日、収納に手紙が入ってた」

「そうか、向こうも順調か……安心したぜ……」


やはりラヴィの事が心配だったのだろう。ルイスは心から安心したように肩のチカラを抜いている。

さてさて、少し時間が出来てしまったぞ。マナスポットの解放は、諸侯を集めて行う事になっているので、1週間後の予定なのだ。


こうなると ずっと気になっていた件、ネロのウィンドバレットを使った歩法を見せてほしい。

あれはオレが使うバーニアを凌駕する速さを持っていた。


可能であれば、この機会に切欠だけでも教えてもらえれば……そんな気持ちでネロへ話しかけたのである。


「ネロ、少し良いか?」

「ん? 何だぞ」


「お前のウィンドバレットを使った歩法、名前はあるのか?」

「名前? そんなの無いぞ。「ウィンドバレットに乗って速く動く」って言ってるんだぞ」

「オレも面倒臭いから名前を付けろって言ってるんだけどな。頑なに付けやがらねぇ。アルド、お前が良い名を付けてやれよ」


「だってオレ、名前なんて付けた事ないんだぞ……でもアルドなら良い名前を付けてくれそうなんだぞ。格好いい名前が良いぞ!」


え? オレが付けるの? ここは技にまで昇華したネロが付けるべきでは? 当のネロは、嬉しそうに期待を込めた目でオレを見つめている。

何だかなぁ……名前ねぇ……ウィンドバレットに乗って加速……魔法に乗る……うーん……魔法速? 魔法乗? 無いな。


尚も頭をフル回転させて考える……あくまで魔法は手段だ。この技の本質は速く動く事……瞬間的な加速……瞬間的な1歩……瞬歩……


「瞬歩……一瞬で爆発的な加速を得る。そんな意味で「瞬歩」はどうだ?」

「瞬歩! 凄く格好いいんだぞ! アルド、ありがとうなんだぞ!」

「瞬歩ねぇ……良いんじゃねか? 意味も分かるし、良い名だと思うぜ」


名前が決まって喜んでいる所へ、アシェラがトコトコとネロの下へ歩いていく。


「ネロ、瞬歩をボクにも教えてほしい。あれがあれば、ボクはもっと強くなれる」


おぃぃぃぃぃ! オレが頼もうと思ってたのに! アシェラさん、横入ズルいですよ!

オレもアシェラの隣へ最速で動き、被せるように口を開く。


「ね、ネロ、オレも、オレにも教えてくれないか? 直線だけとは言え、あれはバーニアより速かった。これからの戦いに、是非 使えるようになりたいんだ。頼む、ネロ!」


オレとアシェラの懇願に、ネロは露骨に狼狽している。

 

「や、止めるんだぞ、アルド! オレはお前から沢山の事を教えて貰ったんだぞ。これぐらい教えるに決まってるぞ」

「ボクにも」


「分かってるんだぞ。アシェラにもちゃんと教えるぞ」


こうして1週間の縛りはあるものの、ネロから瞬歩を習う事になったのであった。



◇◇◇



早速、ドーガに事の成り行きを話すと、騎士団の演習場の隅を貸してもらえる事になった。


「ここなら好きに使っても良いぞ。しかしお前が新しい技術を学ぶって……それ以上 強くなってどうすんだ?」


ドーガはこう言うが、これからも主との戦いが続く以上、まだまだチカラが足りないのはあきらかだ。

少しでも有用な物あれば、貪欲に吸収するのは当然である。


「お前はそう言うけどな、これでも全然足りないんだよ。使徒ギギや他の使徒に笑われないよう、もっともっとチカラを付ける必要がある」

「お前でも足りないとか……改めてギギ様がどれだけ偉大だったのかを実感したぜ」


これ以上 話してもしょうがない事から、オレは何も言わず肩を竦めて返しておいた。


「じゃあネロ、先ずは瞬歩を見せてほしい。そしたら次は実際にどうやって修行したか教えてほしいんだ。その際にアドバイスを貰えると助かる」

「分かったぞ。やって見せるんだぞ」


この場には、オレ達を囲むように騎士達が集まっている。恐らくドラゴンスレイヤーが乞うほどの技術を自分の目で確かめたいのだろう。

ネロがオレ達から数メード前に出て、おもむろに武器を構えた。


何故武器を? そう思うだろうが、これはバランスを取るためだと思われる。

オレがバーニアを使う際にも、重心から体勢、色々な条件で、簡単に制御を失ってしまうからだ。


しかも瞬歩は足の裏で発動する。前後左右に吹かせられるバーニアより、各段に扱いが難しいのだろう。


「じゃあ、行くんだぞ!」


ネロがそう話した瞬間、姿がブレた。足元に陽炎が立ち上ったと同時に、恐ろしいほどの加速で飛び出していく。

これが瞬歩……改めて見ても、やはりバーニアより速いのは間違いない。


汎用性はバーニアに軍配が上がるとしても、圧倒的な加速……戦う者にとって、これは非常に魅力的な技術である。

その証拠に、後ろで見ていた騎士達からどよめきが起こり、盛んに瞬歩についての感想を話し合っていた。


「な、何だ、今の動きは……見えなかったぞ……」「アイツ……消えやがった……」「今のって獣人族だったよな? って事はオレにも出来るのか?」「アイツは誰だ? おい、至急身元を洗え。直ぐに騎士団へ招くんだ!」


おい、最後のヤツ、ネロは渡さないぞ? 尤もネロ自身が願うのなら、気持ちよく送り出すつもりではある。

しかし、何かしらの圧力をかけて言う事を聞かせると言うなら、オレは間違い無く敵になるぞ。


そんな空気に反応したのはドーガだった。騎士達の不穏な空気を察知し、一息に言い切った。


「お前等、絶対コイツ等に手を出すんじゃねぇぞ。今回は無理を言って見学させてもらってんだ。大人しく勉強させてもらえ。良いな?」


抜けてはいても、ドーガは間違い無く王子である。更に現王も、次のグレートフェンリル王はドーガだと認めているのだ。

そんな者からの真剣な言葉に、騎士達はただちに姿勢を正し、敬礼をしながら言葉を返す。


「すみません、殿下。想像以上の動きに、殿下の客人だと言う事を失念してしまいました。誠に申し訳ありません。先ほどの言葉は撤回します。彼等には一切の接触をしないよう厳命 致します」


この中で一番階級が高そうな男がこう話すが、さっきの言葉、お前が言ったんじゃねぇか! 何、人のせいにしようとしてるんだよ!


喉まで出かかった言葉を飲み込み、戻ってきたネロへ話しかけた。


「ネロ、今のは(魔物用)か?」

「そうだぞ。でも、これ以上 強くすると、バランスが取れないんだぞ」


「それはそうだろうな。じゃあ、ネロ先生、修行を付けてくれ」

「ボクにもお願い、ネロ先生」

「な、何言ってるんだぞ、2人共! お、オレは先生なんかじゃ無いんだぞ!」


慌てふためいたネロが、冷静になるには暫くの時間が必要だったのであった。




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― 新着の感想 ―
たしか、自分の足を怪我しないよう、ミスリルだか何だか凄く高い素材を靴裏に仕込む必要があるんだっけ。
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