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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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508.ゴブリンの迷宮 part2

508.ゴブリンの迷宮 part2






ルイス達が待つ通路へ戻ってから、範囲ソナーで分かった事を全て話していった。


「………………って事だ。敵は全てゴブリンキング。数は31匹……正直、どう判断して良いのか分からない」

「ちょっと待て。ゴブリンキングが31匹? 本当なのか、それは……」


「ああ、本当だ。もしかしてゴブリンエンペラーがいるかとも思ったが、全部ゴブリンキングだった。ただ数が……」


全員がオレと同じ思いだったのだろう。エンペラーがいないのは僥倖と言っても良い。しかしキングとは言え31匹と言う数は、手放しで喜ぶには多すぎる。


「ハァ……ここに居てもどうしようもない。取り敢えず撤退するぞ。31匹って数は、落ち着いてから改めて考えよう。全く……喜んでいいのか悲しんで良いのか判断に迷うぜ」


何とも煮え切らない思いを抱えつつも、先ずはしっかりと休息をとりたい。

結局、この場で良い案など出るはずも無く、地上を目指して撤退する事になったのである。



◇◇◇



1日をかけ地上へ出ると、迷宮の入口では騎士2個小隊が野営をしてオレ達の帰りを待っていた。


「2~3日と聞いていましたので、少し心配しました。無事の帰還嬉しく思います」


これはオレ達が迷宮に潜って3日半が経っていた事からの言葉だ。

半日ぐらい……そうは思うのだが、この小隊長さんは、オレが使徒だと知っている。


万が一があれば、世界が終わる可能性がある以上、本当に心配していたのだろう。


「では私共で見張りを行いますので、皆さまはゆっくり休んでください。朝になったら、グレートフェンリルまで護衛致します」

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせてもらいます」


そう言って休憩を取らせてもらったのだが、勿論、交代で見張りはおいてある。

やはり幾ら彼等がオレ達の護衛だとしても、他国の者である以上、心の底から信用するなど出来るはずも無い。


小隊長も それ以上は言ってこなかった事から、ある程度は察してくれているようだ。

そして特に何か起こる事も無く、次の日の昼過ぎには、無事グレートフェンリルの王都へ到着した。


「アルド、どうだったよ? お前なら、楽勝だったろ?」


こう話すのはドーガだ。客室に戻ってやっと一息ついた所で、部屋に押しかけて来やがった。


「楽勝なわけ無いだろ。正直、どうやって攻略するか、頭が痛い」

「相手はゴブリンだろ? どうやったらお前が苦戦するんだ。片っ端から倒していけば良いじゃねぇか」


コイツは……相変わらず何も考えてない。大丈夫か、次代のグレートフェンリルは……


「「ゴブリンの迷宮」は、聞いていた通り物量で圧倒する迷宮みたいだ。他より半分の時間で魔物が沸いて、休憩する時間も無い。しかも迷宮主は1匹じゃなかった」

「は? 迷宮主が1匹じゃなかったって……何だそれ、おかしいだろ」


「そんな事、オレだって知ら無い。でも確かに最深部には31匹もゴブリンキングがいたんだ。エンペラーがいなかったのは助かるが、あの数をどうやって攻略するか……頭が痛い」

「さ、31匹……」


ドーガはアホ面でオレを見つめるだけ。少しの時間が経った所で、再起動したらしく挙動不審で口を開く。


「ご、ゴブリンエンペラーがいなかったとしても、ゴブリンキングが31匹って……何なんだよ、その数……」


ドーガには悪いが、オレにこれ以上 答えられる事は無い。それ以上は何も言わず、肩を竦めて返しておく。

結局、少しだけギャーギャーと騒いでいたが、邪魔をしていると察したのだろう。最後は落ち込んだ様子で部屋を出て行ってしまった。


ドーガとの会話をカズイに通訳してもらっていたルイスが、肩を竦めて口を開く。


「ふぅ……あの王子は本当に……まぁ良い、今日はこのまま休息を取るぞ。そんで明日は朝から作戦会議だ。それぞれ何か案を考えておいてくれると助かる」


ルイスはこう言うが、ゴブリンキングが31匹……オレとアシェラが前面に出て、ルイス達に補助を頼む以外 方法なんてあるのだろうか。

ありがたい事に、広場の天井は20メードほどあったので、最悪は空間蹴りで逃げられる。


こうなると、問題はやっぱりオレか……今まで通り戦えれば……

そんな思いを抱えつつ、交代で見張りを立てながら、数日ぶりにしっかりと休息をとったのである。



◇◇◇



ゆっくりと休んだ次の日。朝食を摂り終わった後、オレ達は客室で思い思いの場所で座り、作戦会議を始めていく。


「さてと、始めるか。先ずは状況を整理するぞ」


ルイスの言葉に、全員が頷いて賛成の意を示した。


「「ゴブリンの迷宮」は今までの物とは大きく違う点が幾つもある。一番は5時間ごとに敵が沸きやがる事だ。正直、次に潜っても満足な休息は取れないだろう」


確かにあの物量の前に、全員が完全な状態で辿り着けるとは思えない。

交代で見張りをする以上、誰かは消耗を覚悟する必要がある。


「でだ、オレとネロはお前等を万全な状態で最深部に送る事を第一優先にしようと思う。アルドとアシェラは主力として、ライラとカズイさんは魔法使いだ。魔力が減ってる状態で、ゴブリンキングを相手にするのは無謀すぎる」


ルイスの言う事は理解できる話だ。2人なら多少は魔力が減っていても、自分の身ぐらい守れるはずだから。

皆もそう思ったのだろう。反対する意見は出ず、頷いて賛成の意を示した。


「よし、ここまでは良いな。残る問題はゴブリンキング……1匹でもAランクの魔物だ。それが31匹とか……まともにやって倒せる物なのか? アルド、アシェラ、お前等2人の意見を聞かせてくれ」

「ゴブリンキングか……オレが以前と同じように戦えるなら……15……いや、安全を見て10匹は倒せると思う」

「ボクは以前、8匹のゴブリンキングと戦って左腕を奪われた。でも今なら……バーニアも覚えたし、身体強化も魔法も昔よりずっと強くなった! アルドと同じで、10匹は余裕!」


アシェラの左腕……ブルーリングがゴブリンに攻められた時……

目覚めたら、目の前でアシェラの左腕を美味そうに食ってやっがったんだ……あの時の悲しさと悔しさ……そして怒りが蘇ってくる。


「おい、アルド。殺気が漏れてるぞ。ちょっと落ち着け」


我に返って周りを見れば、アシェラ以外の全員が薄っすらと冷や汗を流していた。


「え? あ、スマン……ちょっと昔の事を思い出して……」

「ハァ……お前がそこまでの怒りを見せるって事は、ゴブリンキングに相当 煮え湯を飲まされたみたいだな」


「ああ……10歳の遠征と、13歳のブルーリングの危機。2度とも、死にそうな目にあった。正直、オクタールのオーガや今前回のコボルトなんかより、ゴブリンキングは一番 因縁がある」

「そうか……しかしお前とアシェラを足しても20……残り11匹か……ライラ、カズイさん、空から狙い撃つとして、どれぐらいなら倒せそうだ?」

「……ゴブリンキングに、今の私の魔法がどれだけ利くか……良いところ2~3匹だと思う」

「ぼ、僕の魔法で倒せるのかな……ごめん、やってみないと分からないかも……」


この場には、重い空気が満ちている。

オレとアシェラの20匹にライラの3匹を足しても、まだ8匹もいるのだ。


「本当は、何度か攻撃を分けて、数を減らせれば簡単に攻略出来るんだろうがな……」

「それはアレか? 魔瘴石を取り込んでの特攻を警戒してるのか?」


「ああ、お前等が風竜戦で体験したヤツだ。ナーガさんから、作戦を立てる際には、絶対に考慮に入れておけと口酸っぱく言われてる」


確かに、あの自爆特攻を想定しないのは、アホのやる事だ。

31匹もいるゴブリンキングが、残り僅かまで追い込まれて、何もせずにやられるのを待つはずがない。


何か良い案を聞いても、全員が口を開かない中、ルイスは不安そうな顔で口を開く。


「やっぱりこの方法しか無いか……」


こう話し出した内容は、一見すると無謀とも言える物だった。


「これから話すのは賭けだ。皆の意見を聞かせてくれ……この際、ゴブリンキングは無視しようと思う。おい、アルド、その目はヤメロ。オレはボケてねぇよ。今から概要を説明するから、先ずは聞いてくれ……要は全員で空から奇襲をかけ、順番に魔瘴石を触って呪いを解呪し、直ぐに浄化して迷宮を踏破する。上手くいけば、ゴブリンキング共はそのまま息絶えるはずだ」


コイツは何を……いや、待て、いけるのか?

調査の際も、確かに祭壇の真上まで移動して範囲ソナーを打ったんだ。


そのまま奇襲をかければ、魔瘴石を触る程度ならいける気がする。

勿論、交代でゴブリンキングを牽制する必要はあるだろうが。


それに、オレにはアオの加護がある。魔瘴石に触る必要は無いのだ。

オレが皆の護衛に専念出来るのなら……


ルイスは自分が無茶な事を言っている自覚があるのだろう。

話を終えた後は、身を固くし皆の反応を伺っている。


その姿は、まるでイタズラをした子供が、親に見つかるのを恐れているかのようだ。


「ルイス、その場合、オレは皆の護衛に徹すれば良いんだよな?」


オレの反応が想像の埒外だったのか、ルイスは驚いた後、嬉しそうに話し始めた。


「そ、そうだ。やっぱり、どうやってもお前とアシェラが要になるのはしょうがない。そこで、先ずはアシェラから魔瘴石に触ってもらい、呪いを解呪した後、2人で時間稼ぎに専念してもらう。そうすれば、多少の時間稼ぎなら、上手くいくんじゃないかと思ってる」

「なるほど。最初のどさくさに紛れるのが一番確実か……先ずはアシェラの戦力を確実に確保する……確かに理に適ってるな」


「ああ。その次はオレとネロの番。最後にカズイさんとライラが解呪するのが良いと思う」

「2人は空から魔法を撃つ以上、どうしても少し時間がかかるしな……確かに最後に回すのが良いんだろう」


「後は全てが終わった後、お前が魔瘴石を浄化してくれれば、空へ逃げて終了だ。数分もすれば、迷宮主であるゴブリンキングは死に絶える……尤も、複数の迷宮主なんて聞いた事が無いからな。生き残りがいれば、安全を確認しつつ殲滅する」

「魔瘴石を取り込むリスクが無いなら、空へ逃げて休息が取れる。各個撃破出来るなら、ゴブリンキング程度、何匹いようとどうとでもなるか……」


「ああ。色々な作戦を考えてみたが、最終的にはお前とアシェラ頼りになっちまう。でもこれなら……上手くやれば、最低限の負担で済むはずだ」

「オレは良いと思う。どうせ魔瘴石を取り込まれないよう、祭壇には人を配置する必要があるんだ。ついでに解呪が出来れば長居する意味なんか無い」


周りを見ても、それぞれが何かを考えながらも納得した空気を出している。


「誰か反対の者はいるか? 正直、自分で言ってはみたものの、こんなに上手くいくとは思ってない。イレギュラーが起こる可能性があるのも分かってる。ただ、それでも魔瘴石を守りながら、31匹ものゴブリンキングを倒す方法が思いつかないんだ。どうだろう?」

「相手はゴブリンキングなんだ。ダメでも逃げ出すくらいの時間は、何とか作ってみせるよ。オレはルイスの案を支持する」


オレの言葉に他の皆も小さく頷き、反対意見を出す者はいない。

これで作戦は決まった。そこからは細かな点を詰めていき、次の迷宮探索は2日後に決まったのである。





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― 新着の感想 ―
ほう、そういう手で行きますか。 魔瘴石の浄化って一瞬(長くて数秒)でできるんだっけ? 魔瘴石は動かせないのかな?(大きすぎる?) 奪えるなら空中にとんずらすれば・・・
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