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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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507.ゴブリンの迷宮 part1

507.ゴブリンの迷宮 part1






広場で休息を取って1日が過ぎた。

5時間ごとに湧くゴブリンを交代で殲滅しながらも、最低限の回復は出来ている。


今のオレ達の魔力は、オレ、ライラがほぼ満タン。アシェラとカズイが9割、ルイスとネロが7割と言った所だ。

これは2人ずつが交代で休息を取った結果であり、ルイスとネロが少し疲弊しているのは、しょうがない事と言える。


「じゃあ、行くか……」

「おう。因みに隊列はこのままだろ?」


「ああ……本当はお前を連れて行きたくは無いんだがな。言い出したら曲げねぇんだから、しょうがねぇ。このまま迷宮主の下まで向かう」


ルイスは最後まで、オレとアシェラ、ライラの3人は通路で待機するよう主張したが、頑なに反対させてもらった。

何故なら、幾ら偵察だけのつもりとは言え、戦闘にもつれ込む可能性が0では無いのだ。


迷宮主がエンペラーの可能性が高い以上、ルイス達では荷が重い……恐らく通路の高さもあって逃げられないだろう。

結果、「絶対にオレも同行する」と我を通させてもらった。


「ふぅ……じゃあ、サッサと行くぞ。そろそろゴブ共が沸くはずだ」

「分かったよ、リーダー様。道中はちゃんと指示を聞くから。そんな顔をしないでくれ」


ルイスはオレを見た後、肩を竦めて呆れた様子を見せている。

色々と想定外の出来事はあったが、オレ達は想像よりずっと早く、迷宮主の下へ歩き出したのであった。



◇◇◇



次の広場を求めて歩き出してから、1時間ほどが経った頃。

唐突に斥候のネロが「止まれ」のハンドサインを出してこちらに戻ってくる。


「どうした? 着いたのか?」

「そこを曲がったら広場になってるんだぞ……凄く嫌な匂いがするんだぞ」


「敵はどうだった?」

「軽く見ただけだけど、姿は見えなかったぞ。ただ、奥から沢山の匂いがするぞ……」


「は? 沢山って……ここにいるのは迷宮主じゃないのか? まさか……複数の迷宮主が?」

「オレには良く分からないぞ。沢山の匂いがするだけで……」


ネロの思ってもいなかった言葉に、この場には何とも言えない空気が満ちている。

誰も言葉を発しない中、ルイスが絞り出すように口を開く。


「取り敢えず、少し下がるぞ。ここは広場に近すぎる」


全員が神妙な顔で頷いたのであった。


「これぐらい離れれば良いだろう。さてと……どうしたもんか……アルド、どう思うよ?」

「正直、分からない……迷宮主が複数なんて聞いた事も無い」


「だよな。問題は何がいるかって事だが……」


もしもネロが言うように、複数の迷宮主がいるのなら、敵の強さは一段低いんじゃないだろうか?

それはルイスも考えているのだろう。だからこそ、どう行動するかを迷っているのだ。


「アルド、この中で一番身軽なのはボク。だからボクが1人で見て来る」


こう話すのはアシェラだ。確かにその通りだとは思うが、ここから先は死地かもしれないのだ。

愛する嫁さんを1人で行かせるなんて出来るはずも無い。


「アシェラ、お前1人を行かせられるわけ無いだろ。お前がどうしてもって言うなら、オレも一緒に行く」

「アルド君とアシェラが行くなら私も行く。置いて行かれるなんて絶対に嫌」


3人で、オレが……いや、ボクが……私が……そう話していると、ルイスが割って入ってくる。


「まぁ、待て。分かったよ。全員で行く。その代わり、撤退の指示は絶対に聞け。これが最低限の条件だ。飲めないなら、ここで待っててもらう」


ルイスの顔は真剣であり、有無を言わせぬ迫力があった。


「分かったよ。お前の指示に従う。これで良いだろ?」

「ああ。アシェラとライラもだ」

「分かった」

「指示に従う……」


「2人共 聞いたな? 陣形は同じで行く。ネロ、お前の鼻が頼りだ。悪いが頼らせてもらうぜ」

「わ、分かったぞ。見つからないように進むんだぞ……」


これで方針は決まった。であれば、後はオレの心だけ。

ここまで来たんだ……今更 怖いなんて言えないぞ。腹をくくれ、オレ。


自分自身に言い聞かせつつ、迷宮主がいるだろう最奥を目指したのである。



◇◇◇



再び進み始めて10分が過ぎた頃、広場に辿り着いた。

見た目は他の広場と変わらなく見えるものの、感じる空気はまるで違う。


「祭壇……」


誰が溢したのか、広場の中心には、確かに祭壇のような物が見える。

他の迷宮よりだいぶ小さいが、あれは間違い無く祭壇……ここが本当に最深部なら、あそこには魔瘴石があるはずだ。


そして、ネロの言っていたように、その周りには複数の影の姿があった。


「あのデカさ……本当にゴブリンなのか?」


ルイスが溢した言葉は、先ほどと同じように全員の気持ちを代弁していた。


「あれはゴブリンキングだ……昔、嫌になるほと相手をさせられた……アイツだけは絶対に忘れ無い」


アシェラとライラも、オレと同じように苦い顔で小さく頷いている。

アシェラは分かるが、何故ライラも?


ゴブリンキングに、何か嫌な思い出でもあるのだろうか?

頭を捻るも、それ以上ライラは言葉を発する事も無い……興味はあるものの、世間話に興じる余裕などあるはずも無かった。


「アルド、アレがゴブリンキングだとして、アイツ等は魔法を使えるのか? 出来れば、お前のソナーで、正確な規模を知りたいんだが……」

「ゴブリンキングは魔法を使えないはずだ。ただ、ここからは見えないが、あの群れにメイジや魔法を使える上位種がいたら、間違い無く気付かれる」


「そうか……」


どうすればいいのか……ルイスは判断出来ないのだろう。

万が一、魔法が使える上位種がいたなら、確実に戦闘になるのだから。


しかし、ここまで来たのだ。群れの正確な規模と種類を知りたいのも事実。

少しの不安と共に、オレはルイスへ話しかけた。


「オレが空からソナーを打ってくる……」


オレの言葉を聞き、最初に反応したのはライラである。


「私も行く! アルド君を1人に出来ない……」

「ライラが行くならボクも行く!」

「2人共、待ってくれ。なるべく見つかるリスクは避けたいんだ。オレにしか範囲ソナーを使えない以上、1人で行くのが1番リスクが少ない。だから、な? 頼むよ、アシェラ、ライラ」


2人は眉尻を下げて黙り込んでしまった。

オレが万全の状態なら、こんなにも心配されないだろうに……


自分の不甲斐なさを感じつつ、ルイスへ向き直った。


「聞いてた通りだ。偵察はオレ1人で行く。リーダーとして許可をくれ」

「まぁ、待て。範囲ソナーを打てるのが、1人しかいない以上、お前の言う案が最適なんだろう。だがな、オレ達はパーティーだ。誰か1人に押し付けるような真似を許すつもりは無い」


ルイスはこう言うが、一体どうするつもりなのだろう。


「まぁ、そうは言っても、お前に範囲ソナーを打ってもらう以上の案は無いんだけどな。ただ、最悪はそのまま戦いになる可能性もあるんだ。全員で待機する。これ以上は譲歩できない」

「分かったよ。それで良い」


「じゃあ、細かい点を詰めるぞ。通路まで下がって作戦会議だ」


これで大筋の方針は決まった。ルイスの言う通り、通路に戻って細かな部分を詰めて行ったのである。



◇◇◇



「この通路はゴブリンが近寄らないみたいだね。踏破の時には、ここで最後の休憩を入れても良いんじゃないかな?」

「そう言われてみれば、この通路にはゴブは来ませんね。カズイさんの言う通り、次はここを休憩地点にしましょう」


範囲ソナーの件だけでは無く、それぞれがこの迷宮で気付いた事も出し合って、非常に実りのある話し合いとなった。


「おっしゃ、纏めるぜ。範囲ソナーを打つのはアルド1人。知りたい事は敵の種類と数。出来れば配置なんかも知れると助かるが、そこは分かる範囲で良い。念のためオレ達は通路の出口で待機する。万が一、アルドが見つかるようなら、各自 魔法で後続の足を止める事に徹しろ。間違っても突っ込んだりするなよ。良いな? ネロ、アシェラ」

「わ、分かってるんだぞ」

「分かった……」


「範囲ソナーを打つタイミングはアルド、お前に任せる」

「ああ、分かった」


「よし、サッサと片づけて地上に戻るぜ。いい加減、黒パンと干し肉にはウンザリしてるんだ。皆も柔らかいベッドで寝たいだろ?」


ルイスの言葉に全員が大きく頷いている。

このゴブリンの迷宮では、呑気に料理を作ったり ゆっくり休息を取るなど出来ない事からの反応だ。


「じゃあ行ってくる。後は任せた」


それだけ告げて、オレはゆっくり歩きだす。

改めて見る広場は、中心に祭壇があるだけで隠れられそうな場所などありはしない。


しかも他の広場より数段広く、オレの範囲ソナーでは、全てを調べるには中心からでないと射程が届かないのだ。


「やっぱり上しか無いか……見つからないのを祈るしか無いな……」


見つかる可能性は勿論ある。しかし障害物が何も無い空間を歩いて近づくなど、見つけてくれと言っているようなものだ。

結果、空間蹴りを使い祭壇の真上を目指して空を駆ける事にした。


「この広場はドーム型になってるんだな。ある程度まで上れば、見つからないと思うんだが……こればっかりは賭けか……」


全てを完璧にこなすなど出来ない以上、ある程度のリスクは飲み込むしかない。

心臓の音が聞こえるほどの緊張の中、祈るように空を駆けていく。やはり人型故、上には注意を向けにくいのか、何とか見つからずに辿り着く事が出来たのである。


「ここまでは上手くいったか。後は魔法使いがいない事を祈るのみだな……」


眼下には祭壇がそびえ立ち、中心には微かに赤く光る物が見えた。

恐らくあれは魔瘴石……このままバーニアを使えば、ゴブ共に気付かれる前に奪えるんじゃ? 一瞬、オレの中で悪魔が囁くが、今回の迷宮探索は全員の「呪い」の解呪をする必要があったのを思い出す。


「危ねぇ……ここでやらかしたら、全部やり直しじゃないか。大人しく範囲ソナーを打っておこう。怒られたく無い」


うっかり魔瘴石を浄化しようものなら、またどこかの迷宮に入り直さないといけないわけで……正座で土下座コースだぞ、それは。

頭を振って、直ぐに最大で範囲ソナーを打ってみた。


……敵は全てゴブリンキング。数は……クソッ、31匹だと、ふざけてるのか。


あまりの多さに苛立ちが募るが、この場で出来る事は既に無い。


「取り敢えず戻ろう……先ずはルイスに報告だ」


頭の痛い問題を抱え、ルイス達が待つ通路へ戻ったのであった。





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