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第九話

クレイム主導の下、第四次ラトロワ征伐が始まったが、戦争を嫌った国民たちは国外へ逃亡したため、総勢5万人しか集まらなかった。この5万自体も、食い詰め者ばかりを集めただけでまともには機能しているとはいえなかった。シルバーの後任は車騎将軍ムッシュ・アルタイルが努めることになった。ムッシュ自体、本来は和平派なのだが他に有能な人物がおらず消去法で選ばれ、しかもクレイムは自分の娘をムッシュに嫁がせたのだ。ムッシュは大将軍に就任し第四次ラトロワ征伐へと向かうのである


【ムッシュ・アルタイル】

「なぜこんな戦いに出なければならないんだ!」


ムッシュは戦っても無駄と分かっており祖国のやり方に不満を抱いていた。国力ばかり疲弊して何の益もない遠征に付き合っていられなかった。おまけに国王は後宮に入り浸り、丞相は我が物顔で自分が国王のように振る舞っている。この2人がいる限りスリザリー王国に明日はない


【ムッシュ・アルタイル】

「いっそのこと寝返るか。」


しかし自分だけが寝返ってよいのだろうか、自分に従っている将兵たちはどうなるのか、ムッシュは一か八か試してみようと全軍を一旦停止させた


【ムッシュ・アルタイル】

「皆の者、分かっているだろうが此度の遠征に勝ち目はない!」


ムッシュはそう宣言すると将兵たちは動揺した。そして次の発言に将兵たちは耳を疑った


【ムッシュ・アルタイル】

「私は敵に寝返ろうと思う!」


ムッシュは堂々と寝返り宣言をいい放ったのだ


【ムッシュ・アルタイル】

「皆の者も知っての通り、今、国では陛下は病と偽り後宮に入り浸っている。おまけに丞相は国王のように我が物顔で振る舞っている。そして此度の遠征だ。スリザリー王国にいても地獄が待っているだけだ。私はこの無益な戦を行うスリザリー王国に甚だ愛想が尽きた。もし私と共にラトロワ王国に寝返る者がいればついてこい!もし拒むのであれば、このままスリザリー王国へ帰るが良い!」


ムッシュの発言に将兵たちは・・・・


【スリザリー軍の将軍A】

「大将軍、我等も大将軍に従います!」


【スリザリー軍の将軍B】

「我等もラトロワ王国に寝返ります!」


【スリザリー王国の将軍C】

「我等、将兵一同、大将軍に従います!」


【スリザリー軍の兵士たち】

「大将軍に従います!」


スリザリー軍の将兵たちも国王と丞相の評判を聞いており、愛想が尽きていた。大将軍であるムッシュがラトロワ王国に寝返ると聞いた途端、自分達も従うのであった


【ムッシュ・アルタイル】

「皆の者、感謝する!」


ムッシュは目から涙を溢した。あの地獄から逃れられるのだと、心の底から感じたのである


【ムッシュ・アルタイル】

「よし!直ちにラトロワ王国に降伏の使者を送れ!」


ムッシュの命に従い、白旗を掲げた使者がミカロス城へ向かった。使者は武器を取り上げられ、ボディーチェックをさせられながら、シメイ・エルサレムと対面した


【シメイ・エルサレム】

「ほう、我が軍に降伏するとな?」


【スリザリー軍の使者】

「はい!」


【シメイ・エルサレム】

「なぜ降伏をする。」


【スリザリー軍の使者】

「大将軍ムッシュ及び将兵たちはスリザリー王国のやり方に愛想が尽きました!国王は病と偽り後宮に入り浸り、丞相は国王のように我が物顔で専横の限りを尽くしています!国民たちは逃亡し、もはやスリザリー王国は有名無実化しております!」


【シメイ・エルサレム】

「ほう、そこまで酷いのか。」


【スリザリー軍の使者】

「御意!」


【シメイ・エルサレム】

「言い分は分かった。少し時間をくれないか、陛下に言上し、そなたらの降伏の許可を取らねばならぬ。」


【スリザリー軍の使者】

「はい!お待ち申しております!」


その後、カエサルから降伏の許可がおり、ムッシュ及び将兵たちの命は助けられた。そしてシメイとムッシュはミカロス城にて対面を果たした


【ムッシュ・アルタイル】

「此度は降伏を受け入れていただき感激の至りにございます。」


【シメイ・エルサレム】

「ムッシュ殿、使者から聞いたが、スリザリー王国はそんなに酷いのか?」


【ムッシュ・アルタイル】

「はい、もはや国としての様相がなっておりません。奸賊クレイムが我が物顔で振る舞っております。オウキは此度の遠征を推し進めたのにも関わらず、自分だけは後宮で遊び呆けています!臣下たちは処罰を恐れ、誰一人諫言する者はいません。」


【シメイ・エルサレム】

「ほう~。」


【ムッシュ・アルタイル】

「私はもはやスリザリー王国には愛想が尽きました。これからはラトロワ王国に骨を埋める覚悟で御奉公いたします!」


【シメイ・エルサレム】

「うむ、分かった!そちにはスリザリー王国への道案内をしてもらう!」


【ムッシュ・アルタイル】

「御意!」


ムッシュ率いる5万の軍が一斉にラトロワ王国に寝返った事を知ったクレイムは激怒した


【クレイム・ブルック】

「おのれ!私の娘を嫁がせてやったというに裏切りおって!」


クレイムはムッシュだけではなく将兵たちの裏切りにも激怒しその家族郎党を処刑しようとしたが、周囲から敵を増やすだけだと諭され、処刑を取り止めたのである。こうして第四次ラトロワ征伐は失敗に終わったのである

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