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第八話

ここはラトロワ王国の修道院、シャルロットは孤児たちと一緒に遊んでいた


【子供A】

「シャル先生、遊ぼう!」


【シャルロット・ラトロワ】

「いいわよ♪」


シャルロットは子供たちから「シャル先生」と呼び慕われていた。彼女はスリザリー王国にいたころよりも安らかな時間を過ごしていた。シャルロットが親身になって身寄りのない孤児たちの面倒を見たおかげで子供たちはシャルロットに懐いたのである


【子供B】

「シャル先生、鬼ごっこしよう!」


【子供C】

「ボール遊びしたい!」


【子供D】

「缶けりしたい!」


【シャルロット・ラトロワ】

「そうね、今日は缶けりしましょう!」


【子供たち】

「はーい!」


シャルロットは子供たちと缶けりをして遊んだ。国内ではスリザリー軍が3度も侵略したが、全て失敗に終わっている。だがスリザリー王国が存在する限り、何度も侵略を続けるだろう、そうすればまた人が死ぬ、シャルロットの心中は後悔がしこりとして残った。出家した今でも、そのしこりは消えることはないだろうが、子供たちと遊んでいる時は、それを忘れたい、シャルロットはそう望むのであった


一方、スリザリー王国ではシルバー・ハートが戦死し、盛大に葬儀が行われた。ゴードンに続き、シルバーが亡くなったことで、国内は厭戦気分が漂っていた。しかしクレイムは第四次ラトロワ征伐の準備を刻々と進めていたのである。クレイムは正常な判断ができる状態ではなかった。相次ぐ敗戦と身内の裏切り、家臣と国民の怨嗟、丞相としての責務、そして先王の遺言が彼の背中にのしかかっていた。何としても成し遂げねばならないという使命感が彼を動かしている。当初の先王の目的を完全に忘れ、私怨が彼の心を支配していた


同じく先王の遺言を託された影武者は、遺言に疑問を抱いていた。3度もラトロワ征伐が行われたが、3度とも失敗に終わっている。結局は国力を消耗させる結果に終わったのである。影武者は先王に成り代わって国王を続けたが、内心辞めてしまいたいという気持ちが満ち溢れていた。実際に国王の座に座ると、ここまでつらいものかと心底感じた。そして彼は今、後宮に引きこもっていた。今まで禁欲的に生活していた影武者だったが、煩わしい政治の世界から逃れるべく、ふらっと後宮に立ち寄った結果、居心地がよく、入り浸るようになった。自分はこの国の王、後宮の女性を好き勝手にできる立場である。禁欲的な生活をしてきた影武者は完全に享楽的な生活に溺れたのである


【クレイム・ブルック】

「陛下はまだ後宮におられるのか?」


【側近】

「はい。」


【クレイム・ブルック】

「こんな大事な時に!」


影武者は女官たちと酒盛りをしていた


【影武者】

「ほら、もっと飲め。」


【女官】

「陛下、これ以上は飲めませぬ!」


【影武者】

「遠慮するな、飲め飲め!」


【クレイム・ブルック】

「失礼します。」


クレイムは酒盛りしている影武者と女官の前に現れた。影武者は嫌そうな顔で応対した


【影武者】

「はぁ~、無粋な奴め、何用じゃ。」


【クレイム・ブルック】

「陛下、第四次ラトロワ征伐の件でお話が・・・・」


【影武者】

「そちに全て任せる、下がれ。」


【クレイム・ブルック】

「陛下、どうか大広間にお戻りください、臣下一同、陛下を心よりお持ち申しております。」


【影武者】

「ワシは病じゃ、病で床にふせっている、そう言え。」


【クレイム・ブルック】

「陛下!」


【影武者】

「クレイム!いつまでそこにいる!下がれと言ったら下がれ!さもないと丞相の職を取り上げるぞ!」


【クレイム・ブルック】

「・・・・御意(こやつ、調子にのりおって!)】


クレイムは今すぐにでも影武者を亡き者にしたいが、まだ王太子は若すぎて、頼りにならないため、国王として影武者を立てるしかない。おまけにラトロワ王国とはまだ戦争中のため、影武者を始末する余裕がない


【影武者】

「今日は大盤振る舞いじゃ!ワシの世継を産む権利を与える!ワシの下へ来い!」


国王同然に振る舞う影武者の姿を見たクレイムは・・・・


【クレイム・ブルック】

「くそ!(ラトロワ王国との和睦がなったら、必ず殺してやる!)」


クレイムは大広間に戻り、国王は病で床に臥せっていると発表しているが、臣下たちは国王は後宮で入り浸っていることを知っていた。もはやこの国は終わりだと確信したが、それを言う気概すらなかった。第四次ラトロワ征伐に向けて準備を進めるのであった

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