ある日の双子達 2
「やはり・・・なんて怪しい場所に通っているのだ!」
2人の行き先を見て憤るピエールさんであったが、私はここに見覚えがあった。
「あ〜多分、想像している感じではないですよ。
折角ですし入ってみますか」
「あ、おい!ちょっと待て!!」
私はピエールさんの返事も聞かずに中に入っていく。
中に入ると受付のような場所があった。
受付のようなと言ったのは壁に穴が開いて、顔を隠して口元しか見えないようにしてあるからだ。
「あら可愛らしいお嬢さんとお坊ちゃんね。
来る場所間違えているんじゃないかしら?」
どういう理由か、受付側からはこちらが見えているらしい。
挑発するような口調の女性に私は冷静に答える。
「片目の大将にターニャが来たと伝えてください。
それで分かるはずです」
「!?・・・ちょっと待ってなさい!」
女性が慌てて奥に消えていくのが分かる。
「なぁ、一体どういう事なんだ?」
「まぁまぁ、すぐに分かりますよ」
そうしてしばらく待つとカウンター横の扉を開けて1人の男性が現れた。
私が言った通りに片目に眼帯をし、黒い挑発を後ろに縛った40過ぎの男である。
「よぉ、久しぶりじゃないか?
今日は客としてきたのかい?」
「いえいえ、実は私の所の従業員がそちらに世話になっているようなのでご挨拶しておこうかと。
双子の男なんですが」
「ああ、あいつらの!
そうか、あいつらターニャの関係者か。
通りで筋がいいと思ったぜ」
「良ければ見学させてもらえませんか?」
「もちろん大歓迎さ。
なんなら最難関のコースを遊んで行ってもいいんだぜ」
「それは状況を見て決めましょう。
さ、ピエールさん。
店の奥に行きますよ」
「何かよく分からんがターニャの顔の広さだけはよく理解したよ」
片目の大将に案内された先は広い空間だった。
そこでは10代から20代前半くらいの若者たちが様々な訓練を積んでいた。
的に向かってナイフを投げるもの。
僅かな出っ張りを掴んで壁をよじ登るもの。
垂らされたロープを登るもの。
鍵の解錠を学ぶもの。
トラップの外し方を学ぶもの。
そう、ここはシーフギルドの本部であり、私を案内したのはこのギルドを統括するマスターであった。
「というわけでここはシーフギルドでした!」
「あ、ああ。
これだけの人数が訓練をしている姿は圧巻だな」
「パッと見た感じ双子はいませんね。
やっぱりあそこのコースですか?」
「ああ、奴らもう中級者をクリアーしちまって今は上級だ。
フラッと現れた新人があっという間に名前を上げっちまったもんだからウチの娘たちが舞い上がっちまってな」
「ああ、あの2人は大将の娘なんですか。
ん〜似てないですね」
私が大将の顔を見ながらそう言うと彼は嬉しそうに笑った。
「そうなんだよ、本当にカカアに似てくれて良かったぜ。
俺に似た娘なんか産まれっちまったら可哀想で仕方ねえよ」
そんな世間話をしながら訓練場の中を歩いていくと、その中に明らかに異質な場所がある。
正方形の小屋としか言いようのない場所。
窓はなくドアは一つだけ。
「着いたぜ、あいつらはこの中で訓練中だ」
お気づきでしょうか?
タイトルに反して双子が出ていないことに・・・。




