冒険者ギルドの買取
無事に勝利したエドさんに私は駆け寄っていく。
「うわ〜エゲツない戦い方しますね、エドさん!」
「君に言われたくはないな」
「何でですか〜私は真っ直ぐいってぶっ飛ばすだけですよ!!」
「それで全部叩き潰せるからタチが悪いと思うがね。
まぁ、いい。
宝箱を開けてみるとするか」
エドさんはそう言ってボス部屋の箱を開けると中からはポーションが二本とゴブリンの使う粗末なナイフが出てきた。
「これは・・・ハズレだな。
まぁ、いい。
ターニャの店で販売して足しにでもしてくれ」
「えっ?ポーションぐらいは持っててもいいんじゃないですか?」
私がそう言うとエドさんは肩を竦めました。
「先ほどの話を聞くと中々飲もうという気も起きなくてな。
基礎レベルだが回復魔法も使えるし俺には必要ないよ」
「分かりました。
じゃあ、遠慮なく貰っておきますね!」
ボス部屋を抜けて下の階層に進むと、今度は一変して如何にもダンジョンという暗い洞窟が現れる。
その最初の部分の床には魔法陣が描かれていた。
「ここから帰れますし、次に探索するときはこの位置から再開できるんですよ」
「なるほど。
とりあえず今日のところは帰るか」
「はい、そうしましょう」
私たちが魔法陣を使って冒険者ギルドに戻るとマオさんが出迎えてくれた。
「おかえりなさい。
探索の成果はどうだった?」
「とりあえず1階層を突破してきたところです。
ギルド長に話があるのですが良いですか?」
「あっ、はい。呼んでくるわね」
マオさんはそう言って奥にある部屋に入っていった。
「それでは俺は話どおりに支払うお金と期日を調べてくる」
エドさんはそう言ってその場を後にした。
しばらく待つと奥からギルド長が出てくる。
「おう、流石に楽勝だったみたいだな。
それで話ってなんだ?」
「ダンジョン探索の成果なんですけど、これってギルドに卸さなくてもいいんですかね?
素材を商業ギルドに持ち込んで完成したものを店で売りたいと思うんですが問題ってありますか」
ギルド長は私の言葉に何を言ってるのか分からないという顔をしていたが、しばらくすると思い当たることがあったのか「ああ!」と言って手を打った。
「そういやターニャの成果は基本全買取してたな。
今更な話になるんだが本来は冒険者ギルドってのは素材の買取はしてねぇんだ」
「え!?じゃあ、何で買い取ってくれたんですか?」
「お前の親父さんがな、成果が即金になった方がヤル気も出るし実感も湧くからそうしてくれって頼んできて仕方なくなぁ。
まぁ、あの頃は依頼が多かったからこっちとしても渡りに船って感じだったんだけどな」
「依頼?」
私が尋ねるとギルド長は壁際にあったボードを指差した。
「特定の素材を欲しい連中はウチに依頼してあそこに張り出すんだ。
何なら納品してみるか?」
「ちょっと見てみますね・・・うーん、なるほど」
いま鞄に入っているのは
ポーション 2個
セージ 40個
トカゲの尻尾 15個
トカゲの皮 18個
ゴブリンの牙 12個
森狼の牙 8個
大猪の肉 10個
ゴブリンダガー 1個
「うーん、この3つかな?」
私はセージ10個、ゴブリンの牙1ダース、大猪の肉あるだけ。
という3つのアイテムをギルドに納品する。
「ありがとよ。
セージはポーションに使うし猪肉も市場に出回るしで、両方に需要があるから助かったぜ。
ついでに尻尾は無いのか?」
「あ〜尻尾は錬金でポーションに変えてもらおうと思って・・・皮とかも加工してもらってお店で販売しようかと」
「なに!?」
私の言葉にギルド長の動きが止まる。
あ・・・あれ?
やっぱり完成品とか目の前で売られたら不味かったかな?
「あの〜やっぱりまず・・・」
「そりゃ、いい話だ!!」
私の言葉はギルド長の大声でかき消されてしまった。