ターニャVSエド 前半
闘技大会の優勝者であるエドさんと戦うためにステージに向かう。
ふと実況席の方を見るとトーマスさんとピエールさんが座らされていた。
たぶん、強引に連れてこられんだろうなと思うと可哀想な気もする。
しかし、私も大変だったので是非同じ気持ちを味わってほしいものである。
前を見ると既にエドさんがステージに上がって待っていた。
「エドさん、元はアサシンだったんですね」
「ああ、そうだ」
「この試合終わったら話してくれますか?」
「君が俺に勝てれば話してもいい。
俺に石を渡したのもそういう意図があるからだろうしな」
「じゃあ、遠慮なくやっちゃいますね」
「その前に、これを君にと預かっている」
エドさんはそう言って私に何かを投げてきた。
受け取ったそれを見て私は驚愕する。
「クラスチェンジの秘石?」
「君が本来の力を取り戻したなら俺では足元にも及ばないだろう・・・どうする?」
問うエドさんに答えるように私はその石をポケットにしまう。
「貰えるものは貰いますけど私は商人でいたいんです。
今の中途半端な状態で状態でクラスを変えるつもりはありません」
「そうか・・・君はそういう人間だったな。
俺とは違うか・・・」
「それはそうでしょう。
みんな同じ人なら世界怖すぎますよ」
「ははは、確かにな。
さて、もうそろそろ始めようか」
「そうですね、行きますよ!」
私は開始の合図と共に距離を詰めてエドさんの前で左足を強く踏み込み右手を掌底のかたちで近づけていく。
「鎧通し!!」
エドさんに攻撃が当たる!
と思った瞬間に彼の存在がその場から消えて攻撃が空を切る。
この技の厄介なところは透明になるとかそんなチャチなものではない。
姿が消えるだけなら気配を探れば良い。
それが無理なら範囲攻撃でもいい。
しかし、この技は自身の存在をほぼ消してしまう技である。
自分自身を否定し暗殺する事で存在を抹消する技。
唯一残すのは殺気のみである。
この技の恐ろしいところは、しっかりと制御できていなければ自身の存在を完全に抹消してしまう所にある。
本当に死んでしまうのだ。
持久戦に持ち込めば技も解かれるだろうが、無理して技を使用し続ければ本当に死ぬ可能性が出てくる。
「まぁ、仕方ないかな」
私は奥の手を使うことにした。




