エターニャ開店!
私が店を開けると早速ダンジョンから帰ってきた冒険者の人たちが訪れた。
「ターニャちゃん、最近お店開けてないから心配したよ。
朝のお弁当はもう売らないのかい?」
その人は以前にお弁当販売をした時に毎日来てくれた常連の人でした。
「お店の名前も変えてリニューアルするために色々と準備してたんです。
お弁当の販売はやめますが代わりにダンジョン探索に役立つものを置いていますので良ければ見ていってください」
「お弁当楽しみだったから残念だけどダンジョンに役立つものと言われると気になるな。
ちょっと見ていくか。
おい、お前達も見にこいよ!」
彼はそう言って周りの冒険者仲間にも声をかけてくれる。
「わぁ、ありがとうございます」
「へへ、いいってことよ。
それよりターニャちゃん、今度一緒に・・・」
常連さんが何か言いかけた時に私達の前を遮るように巨大な影が現れる。
「師匠、飾ってある鎧の在庫があるか聞かれたので倉庫から出してもいいでしょうか?」
「ええ、もちろんです。
相手の予算にもよりますが、もう一つ上のランクの鎧も一緒にお見せしてください」
「分かりました。
お客人、暫しお待ちください。
そちらと良ければもうワンランク上の鎧もお持ちいたします」
ラーベルはそう言って倉庫の方に向かった。
「は、はは。
中々逞しい男性だね?
新しく雇った従業員かな?」
「従業員兼弟子ですね。
今朝弟子入りしてきて扱き上げてるところなんですよ」
「で、でし?
師匠と弟子って意味の?」
常連さんの言葉に私は首を傾げた。
「多分、それ以外の意味はないと思いますからその通りですよ」
「へ、へぇー。
あ、そんな話よりも今度さ・・・」
「本日の目玉商品でございます!
皆さま是非見て行ってください」
常連さんが何か言おうとした時に店内に大きな声が響き渡る。
そちらを見るとエドさんが集まった冒険者の方達に商品の紹介をしていた。
「こちらはゴブリン殺しの指輪という名前の指輪で、その名の通りゴブリンに対する攻撃力が大幅に上がるという一品です。
取得条件はボス部屋のホブゴブリンをジェネラルを倒さずに100匹倒すというとても困難で面倒な代物となっております。
今回はそちらにおられる店主自らが集めてきた品を限定4品限り、提供したいと思います。
是非、お財布と相談の上でお買い求めください!」
エドさんがそう言うとお客さんが一斉にそちらに向かって行った。
「え、ターニャちゃんがダンジョンに潜ってホブゴブリン100匹倒してきたの?」
「はい。
私と先程のエドさんのどちらでもいいんですが、エドさんがジェネラルを相手にして私がホブゴブリン相手にする方が早いんですよ。
真正面から殴れば一発で倒せますからね」
「は、はは。そ、そうなんだ」
「はい、そうなんですよ!」
私達は向かい合ってはっはっはっと笑いあいました。
「そういえば何かお話があるように思ったのですが?」
「ああ、別に気にしないでくれ。
大した用事じゃないから。
さぁ〜俺も掘り出し物を見つけるぞ!」
常連さんはそう言って店の奥へと向かって行った。
「何だったんでしょうか?
でも、あの方のおかげで予想外に盛り上がりましたね」
私は盛り上がる店内をニコニコと眺めていた。
この日は閉店まで大盛況だったのは言うまでもないことだろう。




