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エターニャへようこそ〜アマテラス伝説〜  作者: 古葉七
〜第一部 最強女店主編〜
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エターニャ開店!!

3日後、店の奥に本当に鍛冶場が出来てしまっていた。


想像以上に見事な施設が完成したことに私もエドさんも唖然としている。


私たちが声も発さずに施設を見ていると親方とテムがやってきた。


「待たせたな。

ウチの最新技術を詰め込んだから小さな鍛冶場だが何でも出来るぜ!

後はこいつの腕次第だな」


そう言って親方はテムの背中をバンと叩く。


「いてて、親方は馬鹿力なんだから少しは手加減してくれよ。

ターニャ、随分待たせちまったけどこれ受け取ってくれ」


テムはそう言って注文していた看板を差し出す。


看板は楕円形の金属で出来ており、猫が四つん這いで大きく伸びをしている姿が描かれていた。


反り返った上半身と尻尾で円を作り、その中に『エターニャ』と刻まれていた。


看板の隅には無数の花も描かれている。


「テム、凄いわ!

私が予想していた以上に素敵な看板だわ!

花の絵も素敵ね・・・これは見たことがない花だけど何の花なの?」


「ああ、こいつは葉牡丹の花なんだ。

花言葉に利益や祝福って意味があるから商売繁盛の祈願に最適かと思ってな」


私が問いかけるとテムは自慢げに答えた。


「テムは花言葉にも詳しいんだ。

お客さんのことを考えて勉強してたんだね!」


「あ、ああ。まぁな!」


私が褒めるとテムはややどもりながらも答えた。


しかし、そこにニヤニヤとした笑顔を浮かべた親方がやってくる。


「こいつは花言葉なんて全く興味なかったんだがよぉ、今回の仕事の為にわざわざ勉強したんだよ。

普段は絶対に行かない花屋にわざわざ足を運んでな」


「な、バラさないでくれよ親方!」


「まぁ、それだけ今回の仕事は力を入れて取り組んだってことを褒めてるんだからいいじゃねえか。

お前は腕はまだまだだが、この仕事をする上で一番大事な仕事をやってのけたんだ。

鍛冶の仕事ってのは己の腕を見せびらかすためにやるわけじゃねぇ。

大事なのは顧客のことを考えてどれだけ寄り添えるかだ。

正直、俺のギルドでもそのことを理解している奴は少ねえ。

ターニャ、こいつはまだまだ半人前だがいつの日か誰よりも良い鍛冶士になれるかもしれねえ。

どうかよろしく頼む」


親方はテムと私にそう言って頭を下げた。


「親方・・・俺からも改めてよろしく頼む。

必ずエターニャの役に立ってみせる」


「親方・・・ええ、大事な弟子を確かにお預かりしました。

テムもこれからよろしくね」


私はテムに手を差し出し改めて握手をする。


親方はその姿を見てから


「それじゃ、またギルドでな」


と言って去っていった。


「俺も先に鍛冶場の確認をさせてもらうよ」


テムもそう言って店の中に入っていく。


入り口前に残された私とエドさんは今後について話し合うことにした。


と言っても最初にやることは決まっているのだが。


「先ずは看板の設置をしよう。

本来は身長から俺がした方が良さそうなんだが、こういうのは願掛けの為にも店主が自らするべきだろう。

何か踏み台になるものはあったかな?」


そう言って店の中に行こうとするエドさんの裾を私は引っ張る。


「エドさん、肩車してくれません?」


私が上目遣いでお願いするとエドさんはため息を1つつく。


「全く、そのような技をどこで覚えてくるのやら。

その方が手っ取り早いし仕方ないか」


エドさんはそう言うとしゃがんでくれた。


私がエドさんの肩に乗ると足を押さえて一気に立ち上がる。


「おお〜高い!

これなら楽につけれそうです」


「それは良かった。

周りの視線を集めるからなるべく早く頼む」


「了解です!」


店の扉前の上側に看板を下げる場所がある。


私は今まで使っていた看板を外し新たにエターニャの看板を取り付けた。


「出来ました!」


「じゃあ、降ろすぞ」


エドさんはそう言ってゆっくりと屈んで行く。


下まで到達した私はエドさんの肩から降りて改めて看板の下げられた店を見る。


「何だか一気に私たちのお店だと言う実感がわいてきました!」


「いや、君の店だろう。

私はこの店をサポートするように言われているだけだからな」


「前から思ってたんですけど、それって誰に言われてるんですか?」


「今はまだ言えないな。

店の経営が軌道に乗って借金を返済していけば、そのうち会えるだろう」


エドさんはそう言うと店の中に入ってしまった。


私は看板が出来たことで名実ともに自分の店となったエターニャを見て、今後も頑張ろう己を奮い立たせるのであった。

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