表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エターニャへようこそ〜アマテラス伝説〜  作者: 古葉七
第三部 〜ダンジョンシティと聖なる獣〜
192/285

アマリス?アマテラス?

「やはりその事でしたか。

先に言っておきますが、彼女はいまこの街にはいません。

マリーさん達が知っているようにあの人はふと気がつくとフラフラと何処かに旅立ってしまうような人でしたから」


「そうですか」


トマスさんの言葉にガッカリと肩を落とす。


この街に来れば会えると思っていたのだが、ここまで会えないとは思っていなかった。


(そうだよなぁ……お姉ちゃんすぐに何処かに行っちゃうもんな。

って、あれ?)


自分の考えを頭の中でまとめていると、ある疑問が浮かんだ。


「トマスさん達は私達のこと知っているんですか?」


「ええ、もちろん。

ターニャさんからは可愛い妹分と弟分が出来たと伺っていますよ」


「もちろん俺も知ってるぞ」


トマスさんの言葉にラーベルさんも大きく頷く。


「私とラーベルはビフラーイにあるエターニャ本店の店員だったんですよ。

つまりはマリーさん達の先輩という事ですね」


「そうだったんですか!?」


「ええ、それだけでなく当時ターニャさんとはパーティを組んでダンジョン攻略をする仲間でもありました。

最も、私達はターニャさんに食らい付いていくのがやっとという状態でしたがね」


「俺にとっては仲間である前に人生全般の師匠だけどな。

あの人がいなければ俺はこんな風に胸を張って生きてはいられなかったさ」


懐かしそうに話す2人の気持ちが私にも分かる。


私達もお姉ちゃんに会わなければ、成人した時も学がなく何をしたらいいのか分からない下らない存在になっていただろう。


お姉ちゃんが孤児院を助けてくれたから仕事が出来て勉強も出来、一般的な知識を得ることが出来たのだ。


「ふーむ、アマリス殿というのは本当にすごい人物だったのでござるな。

そう言えばアマリスという名前は拙者の恩人のアマテラス様に似ていて何か良いでござるな!」


「おや、カエデさんはアマテラスという方を探しておられるのですか?」


「そうなのでござるよ。

アマテラス様は八岐という八つ首の竜から我が国を救ってくれた英雄なのでござる。

恥ずかしながら拙者の服装もその時の憧れから真似しているのでござるよ」


カエデさんはそう言って照れる素振りを見せたが、トマスさんの顔色がどんどんと変わっていく。


「おい、トマス。

あの服装、一時期東の国から帰ってきた師匠がハマってた巫女服とかいうのに似てないか?」


「ラーベルは本当にタイミングを考えずに爆弾をぶん投げてきますね。

多分間違いないので言いますが、カエデさんの探しているアマテラスという人はほぼ間違いなくマリーさん達の姉であるターニャさんの事ですよ」


「ほ、本当にござるか!?」


「ええ、彼女の話から8本頭のドラゴンと戦ったと聞いていますからね。

失礼ですが、アマテラスとは東の国でよく知られて犬言葉でないのですか?」


「そ、そうでござる!

我が国のとても偉い神様でござるよ」


「恐らくアマリスという名前が噂と共に広がった時にアマテラスという名前に置き換えられてしまったのでしょう」


「なんと!

まさかマリー殿の姉御殿が拙者の探し人であったとは。

世間とは実に狭いものでござるな」


嬉しそうに笑うマリーであったがその意見には素直に頷けない。


「多分、世間が狭いんじゃなくて、この世界がお姉ちゃんにとって狭すぎるんだよ」


「それは間違い無いでしょうね」


「うむ、師匠は規格外の人だからな」


私の言葉に姉をよく知る2人はうんうんと頷いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ