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エターニャへようこそ〜アマテラス伝説〜  作者: 古葉七
〜第一部 最強女店主編〜
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2日目の終わりと親方との話し合い

「この部屋のスペースや換気の取り方見てる限り、ここに鍛冶用の施設を置く為だと思うんだよ。

炉を設置するのに費用はかかると思うけど、ここに炉を置いてもらえれば今日の素材くらいなら俺でも武器や防具は作れると思う。

そうすれば手間賃無しで武器防具が販売できるはずだぜ」


テムの言葉に私は首を傾げる。


「それって私たちの店としてはありがたいけれどテムにメリットってあるの?

いま聞いてる話では一切無さそうなんだけど」


「うむ、ターニャが聞かなかったら私が聞いていたところだな。

一見聞こえの良い話に飛びつかずに確認するのは良い商人の証だな」


エドさんも厳しい目つきでテムを見ていた。


そんな私たちの疑問にテムは軽く手を振って答える。


「そんな大した話じゃねえんだよ。

俺は見習いで今看板を任されたけど殆ど仕事なんて回って来ねえんだ。

お得意様は親方や先輩たちについてて待ってるだけじゃ何も打てやしない。

こうやってダンジョンに行って材料が手に入るなら幾らでも武具を作ることができるだろ?

その経験が俺のメリットだな」


「なるほど・・・早くから自由に鍛冶が出来る環境を手に入れることか。

従業員としても扱えそうだし良いのではないか?」


テムの言葉にエドさんは頷きながら私に話を振ってくる。


「そうですね。

今日の分の鉱石は親方たちに任せて炉の設置とテムの出向の件を聞いてみましょう。

親方がどう言うか分からないけど決まったらよろしくお願いするね」


私がそう言ってテムに手を差し出すと彼も私の手を取って握手に応えてくれた。


「ああ、話がうまく言ったなら必ず力になるさ」


こうして2日目も無事に終了した。


自動販売棚も物珍しさと買い物の手間の軽減から好調だったそうだ。


信じられないような話だが、冒険者の中にも人付き合いが苦手な人たちがいる。


店員を介さずに好きなアイテムを買えるこのシステムはそれらの人たちにかなり受け入れられていた。


次の日、私は早速商業ギルドに行き親方に昨日のテムとの話をしてみた。


「なに?ターニャの店に炉を設置してテムを貸し出して欲しいだって。

ふーむ・・・そりゃ出来ないことは無いがあいつは見習いだぞ?

他ならぬターニャの頼みだしもっと腕の良い職人を向かわせても良いぞ」


親方はそう言うが私は首を振る。


「昨日、彼と話をして見習いとしての歯がゆさとやる気がよく伝わりました。

私も商人としては見習いですから気持ちがよく分かるんです。

だから、炉が出来た後は彼に使わせてあげたいんです」


私がそう言うと親方はニカッと笑う。


「分かった!ターニャがそう言うならテムを出向させよう。

炉の代金だが・・・そうだな。

見習いの面倒を見てもらう迷惑料ってのもあるし、このミスリル鉱石と交換でいいぜ」


親方はそう言って私が持ってきた鉱石の中のミスリルを指差した。


「え?でも、それだけじゃ明らかに足りませんよね?」


「まぁ、気にするな。

ターニャの所で腕を振るってテムが育ってくれるならそれでいい。

その為にもしっかりとした設備を作ってやるから期待しといてくれよ!」


「親方・・・ありがとうございます」


「炉の設置は今日から作業を始めてやるよ。

作業が終わるには3日ぐらいを見ておいてくれ。

その頃には看板の制作も終わってるだろうから同時にテムを出向させてエターニャの従業員として扱ってくれよ。

それと今のあいつの実力じゃ鉄や銅が限界だから、それ以上の素材はこっちに回してくれると助かる」


そう言って親方が頭を下げる。


「分かりました。

これからもダンジョンに潜りながら経営していくつもりなので、上位の鉱石は親方たちを頼らせてもらいます」


「ああ、頼む。

それじゃ、今日の分の仕入れと持ち込んだ鉱石で武具を作ってやるから待ってな」


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