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エターニャへようこそ〜アマテラス伝説〜  作者: 古葉七
第三部 〜ダンジョンシティと聖なる獣〜
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距離感のバグってる2人

冒険用の装備に着替えてから2人と合流する。


「昨日は様子見だったが今日から本格的に探索するぞ」


『おおー!!』


ガイの言葉に全員が声を上げる。


昨日と違って本格的な探索のための装備は揃えてある。


ガイとニーナが店を見たところ、初心者探索セットという形で1PT限定1個で安く売られていたらしい。


「ね〜ガイ。

私ばっかり荷物が増えていってるんだけど。

ちょっと持ってよ」


「俺はシーフだから身軽さが命なんだよ。

ニーナならそれくらい軽いもんだろ?」


森の中を歩いていくガイにニーナがちょっかいをかけながら進む。


見た目にはふざけているように見えるが周囲への警戒を怠っていないのは流石としか言えない。


そんな2人の様子を見てカエデが唸り声をあげる。


「カエデ、どうしたの?」


「拙者、昨日恋愛かどうかはよく分からぬと申したではござらんか」


その言葉に私は昨日のやりとりを思いだして思わず頬が熱くなるのを感じる。


「い、いきなり昨日のこと思い出させるようなこと言わないでよ。

それで、それが唸ったのと何か関係あるの?」


「うむ、そう言うことに疎いと言う前提で聞いてほしいのでござるが・・・あの2人の距離感は友人や家族としても近過ぎるのではござらんか?」


カエデの視線の先にはガイとニーナがいる。


2人は確かにほぼ密着しているような距離感を保っている。


「うーん、あの2人はいつもあんな感じだったけどね」


「家族としての絆を疑って謝罪した身でこう言うのも何でござるが・・・あの2人は本当にそういう感情が無いのが信じられぬ。

拙者の知り合いに20年近く喧嘩せずに仲良く暮らしておる夫婦がおったのでござるが、雰囲気が全く同じに感じるでござるよ」


確かにあの2人は口喧嘩程度に揉めることはあれど本格的な喧嘩はしない。


何故ならばお互いに許容量の境目をしっかりと認識しているからだ。


そして、私も一緒になることは多かったがそれ以上に2人がいる時間は多かった。


カエデがそう思うのも無理はない。


「気持ちは分かるよ。

でもね、あの2人はあれで全く恋愛感情はないんだよ」


「・・・本当にござるか?」


「ガイは昔誘拐から救ってくれたシーフのお姉さん達に初恋したんだけど、未だにその想いが消えずに残ってるの。

ニーナはそうは見えないかもしれないけど趣味は本を読むことで様々な物語を読んでる。

その本の登場人物に心奪われてるから現実の男の人は興味ないんだって」


私がそう説明するとカエデは前の2人をじっくり観察する。


「ふむ、つまりお互いに全く異性として意識していないために気軽になっている。

そのせいで距離感が一般人から見るとおかしくなっているという事でござるか」


「そうそう。

孤児院周りでも2人は噂になっていたけど、その方が余計なもんが寄り付かないからって放っておいたからね」


「やはり恋愛というものはよく分からぬでござる。

しかし、あの2人のやりとりを羨ましく思う気持ちはあるでござるな」


そう言ってカエデがこちらを見て笑いかけるので


「私は人前ではベタベタしないからね」


と答える。


「人前でなければ良いでござるか?」


と尋ねてきたので


「へ・・・部屋の中ならいいよ」


と答えるので精一杯だった。

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