友に会いに行く
「そうだ!私行きたいところがあるんですけど付き合ってもらっていいですか?」
宿から出た私達は何処に行くでもなく適当に歩いていたのだが、私はふと友人と交わした約束を思い出していた。
「何処でも付き合うでござるよ!
拙者、この街の事は何もわからぬでござるからな」
「私もそんなに詳しいわけじゃないんですけど。
外ではそっちの喋り方になるんですね」
「あそこまで素の自分を出せるのはマリー殿の前だけでござる。
つまりはあの部屋限定という事でござるな」
「ふふ、そう言われると悪い気はしませんね。
それじゃ行きましょうか」
今から向かう先はここからでもしっかりと見えているので迷うことは無いだろう。
数年前に建てられたという闘技場。
今は世にも珍しい生き物が見られる観光地になっている。
「今から向かうのはあそこに見えている大きな建物なんです」
「ほほう〜拙者の国でも中々お目にかかれない大きさの建物でござるな」
「あそこは元々は闘技場として建てられたんです。
最初に行われた大会では私達のお姉ちゃんが優勝したんですよ」
「ふむふむ、度々話に上がっておるマリー殿達の姉上でござるか。
余程優れた武人だったのでござるな」
私の言葉にウンウンと頷くカエデさんに対して私は苦笑いを浮かべる。
「うーん、お姉ちゃんは自分のことを商人と言って譲らなかったですけどね」
「話を聞いている限りでは商人らしい所は無いように思えるでござるな」
「お店はちゃんと経営してるし心構えも商人だとは思うんです。
でも、何かトラブルが起きた時に全部力で解決するところは商人らしくは無かったと思いますね・・・っと着いちゃいましたね」
「中々面白い話でござった。
また聞かせて欲しいでござるな」
カエデさんはそう言って私に一礼しながら笑いかけてくる。
「今度はカエデさんの事も聞かせてくれるなら」
私もカエデさんに笑いかけながらそう言うと
「勿論でござるよ。
帰りは拙者の番でござるな」
と満面の笑みで応えてくれたのだった。
♢ ♢ ♢
受付で見学料を払って闘技場の中に入る。
どうやら友人は観客席の方から見るしかないらしく話す事は出来ないかもしれない。
闘技場を見渡すと中央のステージで目当ての友人は目を瞑ってジッとしていた。
恐らくは昼寝でもしているのだろう。
「立派な竜でござるな。
まさかこのような人里で暮らす竜がいるとは思わなかったでござるよ。
マリー殿は竜見物に来られたのでござるか?」
カエデさんは感心したような声をあげる。
そう言えば彼女には目的を言ってなかった気がする。
「えーっと、見学じゃなくて会いにきたんですよ」




