反省会と秘めた魔力
「反省会やるぞ!
お前ら集まれ」
木から降りてきたガイが私たちを呼ぶ。
「先ずはニーナ」
「はい!」
名前を呼ばれたので敬礼しながら返事をするニーナ。
「問題なし。そのまましっかりと敵を引きつける役を全うして欲しい」
「あいあいさー!」
元気よく返事するニーナを見て満足そうに頷くと、次にカエデさんの方を指差した。
「何となくは分かってるんだが、カエデさんは何で刀を抜かなかったんだ?」
「ニーナ殿の槌のように重さで潰すのではなく、刀というのは斬ることに特化した武器。
大太刀はこのような森の中で振るうには向いてないでござるよ」
「やっぱりそうか。
アレが最善の手ってわけだな」
「そうでござる」
「分かった、カエデも問題なし。
・・・1番問題があったのは自分だって分かってるよな?
マリー」
先程よりも低い声に身体がビクッと震える。
これはガイが本気で怒っている声だ。
「何でトドメを刺したか確認せずに周りを見ていた?
連携する場合にはその必要もあるけど、今回の目標は1人1殺だったはずだ。
確認するのは自分の仕事が終わった後じゃ無いのか?」
「ごめんなさい」
「俺が怒っているのはその結果どうなっていたかの可能性を考えろってことなんだよ。
あの時、ゴブリンは逃げたから俺のパチンコでトドメを刺して結果無傷で戦闘を終えた。
しかし、あのゴブリンがその隙を見てマリーに襲いかかってきてたら?
他の事に気を取られていたマリーがそれを回避できるのか?
「きっと回避できないと思う。
みんな・・・心配かけてごめんなさい」
私がそう言うとニーナは私の肩をポンと叩きながら
「言いたいことは全部ガイが言ってくれたからいいよ。
次は気をつけなね」
と言ってくれた。
「ガイも嫌な役をやらせてごめんなさい」
「へっ、俺達の仲がこの位で悪くなるわけねえだろ。
でも、次にやらかしたら本当に怒るからな。
・・・それとカエデに感謝しとけよ。
あの時、何かあればすぐにマリーカバー出来る様に立ち回っていたんだ。
あのゴブリンが逃げたのもそれを感じ取っての行動だからな」
ガイの言葉に驚いてカエデさんを見ると彼女はやれやれと言った感じで両手をあげる。
「そういうのは黙ってるから格好良いのに、全部バラしてしまうのは意地悪でござるよ」
「仲間なんだから隠し事しても仕方ねえだろ」
「気が効かないでござるな。
それよりも仲間で隠し事なしと言うなら聞きたいことがあるのでござるが?」
「何でしょう?」
カエデさんの言葉に私は首を傾げる。
「マリー殿は内にそれだけの魔力を秘めているのに魔法を使わないでござるか?
その細い剣を振るうよりも余程攻撃力がありそうでござるが」




