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エターニャへようこそ〜アマテラス伝説〜  作者: 古葉七
〜第一部 最強女店主編〜
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初めての小隊

「しかし、君の冒険者カードがそこまで高位だとは思わなかったな」


エドさんが私に話しかけてくる。


「うむ、まさか試験を受けていない私達もPTメンバーとして同行できるとは」


「ターニャは凄いんだな!」


トマスさんとテムも続いて私を褒めてくれる。


「昔、父さんと組んでたときにあちこちの依頼をクリアーしてたら自然とこうなってたんですけどね」


現在、私達はダンジョンの一階層に来ている。


トマスさんとテムはダンジョンなど無縁の生活であったので許可証は持っていない。


しかし、私が父さんに連れられて作った冒険者カードには小隊作成権というものが追加されていた。


これはギルドの依頼を受ける時に自身で見極めたPTを作っても良いという権利である。


通常はどんなに強かろうと冒険者ギルドに所属していない限り、部外者をPTに入れての依頼はNGである。


これにはギルドの名誉を守る他に横暴な輩の犯罪を防ぐためでもあった。


何でも過去に募集人数が複数のクエストに対して足りなかった分をスラムなどから無理やりさらった子供を登録。


途中で子供は始末し、残った人数で多くなった報酬を山分けしようとした者がいたらしい。


その手の人間に限って腕は未熟であり、依頼は失敗。


依頼者、冒険者と共に全滅という目も当てられない悲惨な結果になったそうだ。


そこでギルドでは実績があり、実力を見極める眼を持っているもののみ、小隊作成権という特典を与えることにした。


小隊長の権利を持つものはギルドの垣根を超えてPTを結成することができる。


しかし、その分重い責任がのしかかる上に明らかに力量不足の者がいる状態で失敗すると小隊権利どころかギルドカードまで剥奪もあり得る厳しいものだった。


そのためにこの権利を取得するのは稀であり、あまり知られていない制度とも言える。


私は父さんに将来のために取っとけと言われて取得したが、それがこんな形で役に立つとは思わなかった。


そのことを話すとテムとトマスさんの顔色が少し悪くなる。


「それって大丈夫なのか?

俺たちがヘマしたらターニャに迷惑がかかるんだろ?」


「そうですね。

私も材料をお買いするだけで良かったのですが・・・」


「うーん、二階層くらいまでなら問題ないと思うんですよね。

何せ敵は・・・」


と言って徐に石を拾って林の中に投げつける。


「ぐぎゃ!?」


ゴブリンの悲鳴が聞こえた後に静かになる。


更に前方では突然エドさんの姿が希薄になり、その前にいたオークの首が飛んでいた。


「このように私とエドさんで位置を完全に把握していますので万一にも不意打ちはありません。

そして、向こうに気づかれる前に瞬殺しているので心配するだけ無駄ですよ」


そう言いながら私は再び石をあらぬ方向に投げる。


キャイン!という鳴き声が聞こえたので狼であろう。


「確かに・・・何もしてないな、俺たち」


「来る意味があったのですかね?」


そう愚痴る2人に私は言います。


「もちろん、ありますよ!

レベルアップすればここを出てからも効果を発揮しますからね。

トマスさんも強くなればわざわざ頼まなくても一人で採取できますし、テムも商業ギルドの力仕事楽になるよ!

それに強くないとモテないかもね」


私は悪戯っぽく笑うと二人もフッと表情を崩した。


「確かにモテないのは困りますね」


「俺も興味はねーけど、本当にないけどまぁ付き合ってやってもいいか」


「仲が良いのはいいがもうすぐボス部屋だぞ」


先頭を歩くエドさんが言います。


「ボス部屋ということは怖い魔物がいるってことですかね?」


「じゃあ、俺たちはまた見学か?」


そんな2人に私は話します。


「いいえ、ここで思う存分戦ってもらいます」

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