再びビフラーイへ
現在、私はビフラーイの街に戻ってきていた。
カイトに乗ってひとっ飛びで帰ってきたのだが、いきなりドラゴンが飛んできて軽いパニックになったのはいい笑い話だろう。
「いや、笑い話では済まないんだがな」
「いやはや、今回は流石に私も弁護できんよ」
椅子に座った私の前でエドさんとルイスおじさんが見下ろして圧力をかけてくる。
2人は今回の騒動の火消しのために動き回ってかなり大変だったそうだ。
「考えなしだったのは申し訳ないですが、私も急いで帰る必要があったんですよ。
ポリタンの商業ギルドがガタガタになっていまして」
「それで何故向こうでかなり大きな支店を作ることになったのか経緯を知りたいものだね」
「一応、向こうの街に送っている部下から逐一連絡は来ていたが耳を疑う話ばかりだったよ。
門番をしている兵士とのいざこざからガルシア殿と知り合いに。
冒険者ギルドでクエストを受けてドラゴン退治に行ったと思ったら手懐けて帰ってくる。
その日にパーティが行われた後にポリタンで唯一の闇組織を正面から乗り込んで潰す。
挙句にその闇組織と組んでいた商業ギルドの長が逮捕。
何故数日向こうに行っただけでこれだけの騒ぎが起こせるのやら」
ルイスおじさんは報告書を一枚一枚めくっては私が向こうで起こした行動を確認して頭を振る。
「大人しく偵察をするだけでは済まないだろうと思っていたのだがまさかこんな事になるとは・・・ターニャは毎回私の予想を超えてくるな」
エドさんも呆れた様子でため息を吐いた。
「そうは言っても割と巻き込まれただけですよ。
カイトも手懐けたんじゃなくて昔の弟分に再会したってだけですし。
闇組織を潰したのも知り合った孤児院の子供と院長をまとめて誘拐したからで、そこに商業ギルドの長が来たのも偶然ですから」
「それは分かっている。
というか散々経験していた。
どうも君達はトラブルに巻き込まれやすい血筋のようだね」
「父さんと旅をしていた時もそうだったんですか?」
ルイスおじさんの言葉に反応して思わず聞き返してしまった。
おじさんは先程迄の圧力が消えて懐かしむような微笑みを浮かべた。
「ああ、そうだな。
あいつはトラブルに巻き込まれやすいのに正義感が強くて困ってる人を放っておけなくてな。
それでいてターニャ君のように頭を使う事が出来なくて真っ直ぐ突っ走るから私たちが常にフォローしていたものさ。
ふふ、そう考えるとターニャ君はトラブルに巻き込まれるし放っても置けないのは同じ。
しかし、自分で解決策を考えてそれを実行する計画性もあるだけアイツよりはマシだな」
「街長・・・意外と苦労されてたんですね」
ルイスおじさんの話を聞いてエドさんが同情した表情をしていた。
「懐かしい話よりは今後のことだな。
ターニャ君が何を考えているのか全て話したまえ。
それを聞かない事には私たちも協力出来ないからな」




