攫われた4人
「古い鱗を剥がしてもらったら気持ちよくなって眠くなってきたよ」
「今日はこのまま寝ていいらしいから無理せず寝ていいよ。
私は挨拶してくるから」
私は眠たそうなカイトにそう告げてガルシア様の所に向かう。
ガルシア様の隣にはロバートさんがいて、多数の街の有力者と思われる人に囲まれていた。
「うーん、これは挨拶は無理そうかな」
私は諦めてパーティ会場を1人で散策する。
ドラゴンの横にいた少女に声を気にするものはいるようだが声をかける勇気のあるものはいないようで気楽なものだ。
そうして暫く1人で堪能していると近くに見知った気配を感じたので人目のつかない場所に移動した。
「なにかありましたか?」
私がそう声をかけると何もない空間からユリさんが現れた。
「ターニャさんの予想通りです。
裏稼業のものが現れて4人を攫っていきました」
「はぁ、掠め取るくらいなら軽くお仕置きするくらいにしておこうかと思いましたが誘拐しちゃいましたか。
場所は把握していますか?」
「はい、案内しますのでついてきてください」
カイトを連れてきた時点でポリタンの裏組織が何か狙うだろうとは思っていた。
ドラゴンと言えば全身が高級素材だ。
何かしらのおこぼれに与ろうとしてもおかしな話ではない。
ドラゴンと接触した子供達などいつ攫われてもおかしくはなかった。
そこで私は竜の鱗を持たしてそれを奪わせることで彼らが満足することを狙ったのだが、どうやら相手は想像以上にバカで強欲であったようだ。
「お待たせしました。
中はどのような様子ですか?」
路地裏の一角にある建物を盗み見るサラさんに声をかける。
「最低限の見張りは残していますが、自分たちが誰にも監視されずにやりきったと勘違いして宴会を始めていますね」
「誘拐に及ぶような頭のたりない連中ならそうでしょうね」
「それと気になることが1つ。
建物内に商業ギルドのギルド長と思われる男が入って行きました」
サラさんのもたらした情報に私は頭を抱える。
「領主が優秀でも腐った連中というのは何処からでも湧いてくるみたいですね。
私は正面から乗り込みますので2人は4人の救出を。
監禁場所は把握していますか?」
「もちろんです。
いつでも助け出せますよ」
「お任せください。
ここの連中には全く気付かせませんよ」
自信満々に言うクレスト姉妹に私は大きく頷く。
「よろしい。
それではカチコミに行きますよ!」




