借金発覚!!
読者の推移を見るためにタイトルをなろう系に寄せました。
よろしくお願いします。
私の名前はタチアナ。
皆からはターニャの愛称で呼ばれている。
私は死別した父から受け継いだ店を細々と経営していた。
と言っても大したものは取り扱っていない。
毎日お弁当をいくつか作り、ダンジョンに向かう常連の冒険者さんが購入してくれる程度の規模のお店だ。
それでも、私1人が暮らせるお金を稼ぐのは何とかなっているので問題ない・・・そう思っていた。
ある日、店の扉を開けて男の人が入ってきた。
その人は長身で長く青い髪を後ろで一歩を縛っている眼鏡をかけた男の人だった。
「いらっしゃいませ!
・・・でも、ごめんなさい。
今日はもう品切れなんです」
私のお店は常連の方達の弁当分しか用意していないのでダンジョンに向かい終わった昼前には全て売り切れてしまう。
「いや、俺は客で来たわけでは無いんだ。
ここはブレッドストアで間違いないか?」
「はい、そうですが何かご用ですか?」
ブレッドというのは亡くなった父の名前だ。
父が死んでからそのまま受け継いだ店を使用しているので名前もそのままだ。
「君はタチアナ・アマリスで間違いないか?」
「はい・・・あの本当に何の御用なのでしょうか?」
度重なる質問に不安になる。
目の前の男性は小綺麗な格好をしており暴漢には見えないが意図が見えないのは素直に怖い。
「では、単刀直入に言うがブレッド・アマリスの死亡届けは受けたが、この店と土地の相続手続きは確認が取れていない。
相続税を納めなければこの店は土地ごと行政に没収されるぞ」
「え・・・えええええええ!!」
確かに私は父が死んだ時に死亡届けを行政機関に提出した。
しかし、店はそのまま経営していいと思いそのままにしていたのだ。
「何度か催促する手紙が出ていたとは思うが・・・まぁ、知らなかったなら何のことか分からんか」
男の人は私を見てそう呟く。
「それで貴方はこの店を取り上げに来た人ですか?」
「ん・・・ああ、いや違う。
俺はある人から頼まれてこの店の状況を見て、必要ならブレッドさんの娘にキチンと引き継がれるように手を貸して欲しいと言われたんだ」
「本当ですか!・・・あの、貴方のお名前は?」
「ああ、紹介が遅れたな。
俺はエドワード・トラニス。
先ずは君の店の経営状況を教えてくれないか?
家と土地を相続するにもかなりの金額がかかる。
しかも、この店はダンジョン前で立地もいいからな。
期限が来る前にお金を払ってしまわなければ。
この時間に売り切れてしまうということは経営は順調なのかな?」
エドワードさんに言われて私は家計簿を取り出した。
「えへへ〜これが家計簿です。
父さんに言われて書いてた甲斐がありました」
「・・・家計簿?
帳簿ではなく・・・何か嫌な予感がしてきたな。
とりあえず見せてくれるか」
エドワードさんは私から家計簿を受け取るとパラパラとめくり始める。
そして一瞬で読み終わると頭を抱え始めた。
「・・・まさか、ここまで酷いとは。
しかし、一度引き受けた以上は全力を尽くさねばならないか。
タチアナ!」
「はい?」
真剣な顔つきになったエドワードさんが私の名前を呼んだ。
「先程も言ったがこの店を存続させるには莫大なお金が必要だ。
その為には今の経営を全て変えていかなければいけない。
私も全力でサポートするつもりだが君が頑張らなければそれを達成することは非常に困難だろう。
13歳の君では耐えきれないほどに辛い出来事に出くわすかもしれない。
それでも頑張れるか?」
エドワードさんの言葉に私は拳をギュッと握り込む。
「私、お父さんとの思い出がある店を守りたいです!
エドワードさん、どうか力を貸してください!」
私はそう言ってエドワードさんに頭を下げた。
「タチアナにその決意があるなら問題ない。
必ずこの店を守ろう。
それと、私のことはエドでいいぞ」
「私のこともターニャでいいですよ。
皆にもそう呼ばれていますから」
「分かった、ターニャ。
これからよろしく頼む」
「私の方こそよろしくお願いしますね。
エドさん」
これは父から受け継いだ店を存続させる為に頑張る少女と、それを手助けする為にやってきた青年の出会いから始まる物語。