第三話 異世界 そして食事
「ハーハッハッハ・・・・・は?」
暗い森の中一筋の光が走りそこから高笑いする男、轟が現れた
「これはあかん・・・・・」
そう暗い森である
なんとか月明かりによって手前は見えるが奥は何も見えない
とりあえず持ち物の確認をしてみると腰にはダガーの他に布袋と皮袋があった
こんなものあったっけと皮袋を触ってみるとひんやり、少し揺らすとちゃぽんって音がした、どうやら水筒のようだ
布袋のほうはなにかはいっているようすはない、あけてみると一枚の紙だけがはいっていた
[町はあっち↑ がんば!]
という文字とかわいらしい絵が描いてあった
「どっちだよ!!!!」
初日から迷子である
続けて運が悪いことに声で集まってきたのか遠くから雄たけびが聞こえてくる
足音は完全に自分に近づいてきておりそれが自分の死へのカウントダウンのように感じる
「は、はろはろー・・・」
もしかしたら友好的かもしれないかすかにあるようなもうないような希望をもって声を書ける
もちろん声は届かない
「ワォォオオオオン」
「ああぁ・・・もうだめだぁ・・・・・」
顔には絶望を通り越し諦めの表情が宿りその場に座り込む
その刹那
「何をしておる早く走るのじゃ!!」
こっちじゃこっちと可愛らしいしかしどこか貫禄を感じる声が響いた
声のするほうをみると魔法使いっぽいとんがり帽子、そして黒いマントで体を隠した銀髪、赤目の少女がいた
「やっぱ・・だめだぁ・・・・・・」
もしかしたら助かるかも、少しの期待を抱いたのものそれがすぐ壊されこころが折れそうになっていた
そしてせめてもっとセクシーなお姉さんならなぁ・・・と
「き、貴様我を見た目で判断しおったな・・・!い、今はそれどころじゃない、早く来い」
そういうと怪しい少女は轟の手を取り走り出した、手をぎゅっと握り締め走り出した
しかし轟はそれどころではなかった
「えっ・・・・」 ドキッ
生まれて初めて強く手を握られた轟
先ほどのもっとセクシーなお姉さんならはなんだったのかときめいてしまった、そして恋焦がれた少女のように少女を見る
しかしすぐその視線に気づくとすぐ
「ひっ・・・なんじゃその目は」
キモい、そう言いたげに少女は顔を歪ますとすばやく手を離す
そしてついてくるのじゃというと走っていった
「・・・・・これが恋か、いやそれどころじゃなかった!」
少し手を見つめてから冷静を取り戻すと前を走る少女を追いかけ走り出した
森を抜け草原にでると町が見えた
その町は大きな壁で囲まれており、その壁には大きな鬼でも通れるんじゃないかと思うほどの巨大な扉がついていた
「ほれ、もう町はすぐじゃ この草原はモンスターもそれほどおらん」
さぁゆけとでもいうようにしっしと手でやりそういった
「あ、ありがとう、き、君のおかげだよ、今の、命があるのは また今度会えればなにかお礼する」
すごい疲れたように話す
それもそうである、まともに走ったのなんて轟からしたら何年も前の出来事だからだ
「よくぞこれまで生きてきたのぉ・・・」
関心するようにそういったのちはやく轟から去りたいのか逃げたいのか逃げたいのか一言さらばじゃ!といい目を閉じる少女
すると炎が少女を包みこみ、炎が消えるとそこに少女はいなかった
「おぉ・・・魔法だ・・・・・」
初めて見る魔法に対して感動を覚えるのもののまた襲われちゃかなわない、そう重い早足で町に向かったのだった
少し歩くと門があった
あたりにはもう遅いから入っていくものはおらず門前の兵士しかいない
「お疲れ様です」
にこやかに挨拶して門を潜ろうとする轟、しかしそれはかなわない
ハハハと門兵をみる、門兵もハハハと轟を見つめ返す
「意地悪しないでくださいよ」
ハハハと門兵が見てくる
「ちょっとお兄さん身分証明証がないと入れないよ」
・・・・・・?轟には理解が出来なかった
「は、はぁお疲れ様ですー」
通ろうと進みだす、しかしそれはかなわない
「ダメだって、お兄さん。あっちょ、こら走るな!!!」
無理やり通ろうとするデブ、先ほどの体力の消耗がなかったかのように軽やかに走る
この距離、勝った!そう思った刹那
「クローズ!!」
門兵がそう叫び轟に手を向けるとそこから半透明の紐が飛んでゆき轟に絡まる
「グゲっ!?いったぁ・・・・・・・・!」
急な拘束により顔からこけ、その場にうずくまる
「あ、大丈夫?お、落ち着いて聞いてね?向こうの施設で15シルバー払って持ち物審査うけると入国許可証もらえるから・・・ね?」
さすがに顔からこかしたのはやってしまったと思ったのか心配そうに尋ねると
きいているのか?と轟をつんつんと足でつつきだす
「きゃーーーーー犯されるーーーーーーーーー!!!!!」
急に何を思ったかそう叫ぶ轟、いやーーーいやーーーーーーとそのまま叫び続ける
「き、貴様ぁ!!!」
誤解されては困るあせったように轟の口をふさごうとした
するとそのとき
「あ、あのーお取り込み中よいですか?」
二人は慌てて声のするほうを見る、するとそこには紳士とその護衛だろうかゴツイ鎧をきた二人組みがいた
「も、申し訳ありません、先に処理させていただきます」
そういい門兵は慌てて謝罪をしたのち処理を始める
「いえ、大丈夫ですよ。それよりも彼大丈夫ですか?」
身分証明証を出しながらそういう、ねっころがったデブの心配までするとはなんというよい人だろうか
「少し頭があれなようでした・・・・はい、問題ないですどうぞ」
かわいそうなものを見る目でねっころがるデブを見、そう答えた
それに対し紳士は、はぁと答え厄介ごとに巻き込まれたくないのかいそいそと町に入っていった、.
「とりあえずこい」
紳士たちを見送りそういうと門兵ははぁと疲れたようにそういい轟を引っ張りながら歩き出した
「い、痛い!頭皮が擦れてる!!削れてる!!!歩けますからやめて!はげたくない!!!!」
必死の抵抗もむなしくそのまま引きづられていった
「で、なんであんなに慌ててたんだ?まさか15シルバーすらないとか・・・」
門のすぐそばの建物の中で椅子に座っている轟にお茶を出しながら門兵が尋ねる
「いやー・・・その・・・ハハハ」
「ハハハ」
乾いた笑いが響く
「うっそだろ!?15シルバーだよ!子供の一月の小遣い程度だぞ、よい年してなんで持ってないの!!??」
驚きで目を見開きながらそういう門兵
「よ、よい年はやめろぉ!」
しかし轟からしたらもっている金銭よりもいつの間にか過ぎた年を自覚させるよい年という言葉に心を傷つけられていた
「何か事情があるかわからないけど流石に通せないよ、お兄さんハンターでしょ何か狩って質屋で旅人に売りな」
そして今晩は泊まらしてあげるからさ・・と疲れたようにいう
「あ、ありがとうございます!!」
もう今晩死ぬかもしれない、そう思っていた所に思わぬ助け綱、力いっぱいの声で感謝を言った
「じゃあここだから、はいついでに飯やるよ」
先ほどの建物から少し離れた小屋に轟を連れて行くと干し肉、パン、果物を渡し俺は仕事に戻るからなーとそういって手をふりふりしながら戻っていく
「このご恩忘れません!!!」
またそう力強くかえっていく門兵にいい小屋に入る、頭があれといわれたとこはおそらくもう忘れているだろう
そしてわくわくとした心と共に扉を開けた
「・・・・・・・は?」
そこは馬小屋だった、少し放心してしまうも外よりもましだと自らに言い聞かせ入っていく
「ほら藁あったかい!あったかい!・・・・・・ねよ」
必死によいところを探し藁のあったからをひたすらほめていたが疲れもう寝よう
もらった食べ物は明日ゆっくりと大切に食べようそう思っていた時
「そうじゃろう、そうじゃろう!お主なかなかわかっておるな」
と聞き覚えのある声が聞こえた
「ぬ?お主今日ワシが助けてやった小太りではないか!!」
それはもうわざとらしく下手な演技で言い出した
「え、なんでこんなところに・・・・?」
状況についていけない、ていうかさっきのみられてたのかいやいやそれ以前になんでこんなところに
「細かいところはよいじゃろう、それよりもほら、ほら」
何か渡すのもはないのかと言いたげに手をくいくいってさせる
しかしついさっき助けられたばっかりだというのに渡すものなんてない
持ち物といえばダガーに弓、弓矢、マント後は袋だけである、流石に女神からもらった一式は渡したくない
「すまないがまだお礼になるような物は持っていない、また今度で頼む」
こんなのでも命の恩人だ、申し訳なさそうに轟はいう
「何をいっておるのだ、あるじゃろそこに」
しかしその少女は何をいっているのだとばかりに視線を向ける
視線の先には先ほど門兵にもらった食べ物があった
「えっ・・・・それとるの、俺の生きる糧なんだけどとるの?」
まさか数少ない食べ物を取られると思っていなかったのか戸惑う轟
「うむ!よこすのじゃ」
そんな轟を無視して満面の笑みで答える少女、
流石に渡したくない、なんとかならないかと考え思いつかず無言になる
なんとか、なんとかならないかと考えておると
「ではもらうぞ、いただきます」
少女は食べ始めた
「・・・・・えっ?ま、待ってええええええせめて半分、せめて半分だけ!!!」
慌てて止めるももう遅くあの小さな体でどう食べたのかすべてなくなっていた
「うむ、美味しかったのじゃほめてつかわす」
そう笑いながらいった、轟はまた泣いていた
「え、ええい!大の男がなくでない、で、でも今のは流石のわしも大人げなかったと思っておる、ただ腹が減っておったのじゃ仕方ないであろう」
大の男に泣かれてしまいやってしまったと思ったのか申し訳ななそうにそういう
「ウェッだ、だってもう食べ物ないしグスッお金もないし」
一食分の飯がなくなったところでっていうものなのだがこの男からしたら明日一日分の食料として考えていたのでショックが大きかったようだ
「お主ハンターであろう、自分で狩ればよいのではないのか?」
轟の見た目はハンターそのものである、使い勝手のよさそうなダガーに弓、身を隠すためのマント
ハンターならばこのぐらいの食事森にでれば簡単に
と考えていたそのとき少女は思い出す、森で獣の声が聞こえただけで生を諦めていたことを
「お主まさか弓扱えぬのか・・・?」
まさか装備して外に出ているのにもかかわらず、まさかと思いながらきく
「ダガーも無理です・・・・」
轟はしっかりと自分は何も出来ないことをアピールした
「頭あれじゃな・・・・」
なんでなにもできないのに森にいたんだと少し引いたように少女は言った
「うぬぅ、まさかそこまでダメなやつと思わなくてのう、すまぬことをしたのう」
「う、うぐぅ・・・!」
ダメなやつでもダメだといわれるのはつらい、相手に悪意がないからさらに辛い
「ワシでよかったら明日狩りを手伝ってやろう」
少し考え少女はそういった、轟にしてみればその言葉は夢のようだった。貰った食料なぞもって明日一日分にしかならない、しかし明日狩りを手伝ってもらいやり方を教わったらどうだ、その日ぐらしだが自分の力で食料を手に入れることができるようになる、明日一日の命ではなくその先も生きられる可能性が出てくるのだ。
「お願いします・・・」
気がつけば轟はそういって土下座をしていた。
少女は引いたりすることなくかまわぬかまわぬよきにはからえはっはっは、とお腹が膨らんだことも相まってか気分よさげにそう答えた。
「時にお主、名はなんという」
一晩同じ屋根の下を過ごすのじゃからのぉと轟が女性に耐性がないのを見抜いたのか趣味なのかニヤニヤと笑いながら尋ねた。
「轟 次郎 とても遠い国から来ました 世の中のことにはかなり疎いです 料理には少し自身があります。」
明日この少女から狩りの技術を教えてもらう、そのせいか何故か敬語で話す。少女も違和感を覚えてかもっとフランクに話せ堅苦しいのは苦手じゃ、と思いのほか反応がなくてつまらなそうにしながら言った。
その言葉に轟はありがとう、と一言言うと目の前の謎の少女に向けて期待を不安を載せた視線を向ける。
少女は視線に気づくとニヤッと笑い立ち上がった。
「我の名はミラ・ゴンザレス!もっとも難しいと言われる幻術魔法を極め、進化させるものよ!!」
KAKKOIIポーズをし自分の後ろには音を出さずに爆発と炎、そして雷までもを発生させた。
かなり自身があったポーズなのだろうかどうだと言わんばかりに轟をちらちらと見て反応を窺っていた。轟はそれに答えるかのようにきらきらとした目で少女を見、力いっぱいの拍手をおくった。
「すげええええええ!爆発近いのに熱くない!こんなの初めてだ!!!」
初めてじゃなかったら逆にすごい、少女、ミラは轟の反応をみると満足そうな顔をするとふふんっとえらそうに座り、ミラが座ったのを確認すると轟は
「ゴンザレスさんは」 「ミラ」
「ミラさんは」 「ミラ」
ミラは堅苦しいのは嫌じゃといっておるだろうと不満そうにすねた顔をした、轟はここまでかと思いほほとぽりぽりと書きながらわがままなお嬢さんをあいてをするかのように、微笑ましいものをみるかのように少し困った、でもどこか楽しそうにわかったよというと話を続けた。
「ミラはなんでここにいたんだ?後俺にもその幻術魔法ってやつ使えたりしない?」
とずっと不思議に思っていた事ともしかしたらと思っていたこ事を聞いた。それに対してミラの反応は悪くげっ・・・と言いたげな顔をした後、こ、答えなダメか・・・?と少し弱い声で言った
轟は思わぬ反応に少し驚いたものの流石に聞きたかったのでききたい、と一言いった。
「そうじゃのぉ・・・幻術魔法はお主には無理じゃ、今じゃ習得に才能があっても60年かかるといわれておる。」
少し悩んでからミラは言った。
轟はそれを聞くと少し残念そうにするも先にもっとも難しいと聞いていたのでまぁそうだろうないった感じでそうか、といった。
今の轟にはそんなことよりも気になることがあった。
「えっとミラは習得に何年かかったの?」
年齢である、先ほどミラは才能があっても60年といった、そう60年である。ミラの見た目はまだ60なんて以前に15にも達してないように見える。また幻想魔法の腕も門兵みたいに唱えることもなく、ド派手な魔法をバンバン使っているからかなりのものと窺える。
「ふっふっふっ・・・・ワシは40年じゃ!!」
良くぞ聞いた、どうじゃ!と言わんばかりのドヤ顔をし、自らの上に幻術魔法で
[奇跡の天才!ここに現れる!!] [すごい!!]
などと書かれたボードを出す、そんなミラを見ながら轟は気にすることなくひたすらに驚いていた。
先ほどのような拍手喝采を考えていたミラは少し落ち込んだ様子で幻を消し轟がなにかいうのを待っていた。
轟は聞いてよいのかな、異世界だからもしかしたら平均寿命が、でも下がることはあっても伸びることはないだとうっと悩んでいた
「ミラって何歳?」
少し静か、いや馬の声がよく響いていた部屋に轟の声も混じる。ミラは、んなっ!?って一言いったのち少し考えて
「お主が世間に疎いって言ったことがよくわかった、しかし乙女にそんなこと聞いてはダメじゃぞ・・・!」
そう注意するように、乙女という部分を強調しながら言った
「乙女?」 「乙女じゃ」
納得がいかないのか轟はうぅん、と唸りながら、ここは異世界だから人間以外にもいろいろいるかも知れない、もしかしたらすごい長寿な種族なのかも・・・と。
ここでまた一つ疑問が沸いた、この子はもしかしたら大人びた話し方、少々じじくさい話し方をしているが子供なのではないか・・・と
「ミラって子供?」 「合法じゃ!」 「合法ですか!?」 「ひっ・・・!」
尋ねるとミラはイラってしたのかすぐに強めに答えた。
少し怖がっているミラを無視して轟はもしかして子供と結婚が合法って事じゃないよね・・・?と確認をした。
ミラは少しむすっとしながら当たり前じゃろ、と言いもう眠いから寝ると藁の中に入っていった
「ん・・・?まだ聞いてないことあるよ、ねぇ、ねぇえってば!」
轟はまだ質問が終わってないことを主張するが、ミラは眠いのか答えたくないのか藁の中から顔を出しべーっとした後また中に篭ってしまった。
「ハ、ハハ・・・」
轟はあれで大人なのか・・・と少し困った表情になるが自分も眠たく、お腹も減っているので別の藁の中に入っていった